自立訓練は、障がいのある方が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、一定期間、身体機能または生活能力の維持・向上に必要な訓練や相談、助言などを行う障害福祉サービスです。
自立訓練には、主として身体機能や日常生活動作の維持・向上を図る「機能訓練」と、日常生活能力や社会生活能力の維持・向上を図る「生活訓練」があります。事業所を開業するためには、法人格を取得したうえで、人員、設備および運営に関する基準を満たし、指定権者から障害福祉サービス事業者の指定を受けなければなりません。
本記事では、自立訓練事業所の開業を検討している事業者向けに、指定基準だけでなく、指定申請前に確認すべき事項、開業後の運営、基本報酬および主な加算の実務まで解説します。
1 自立訓練とは
自立訓練は、利用者に対して漫然と長期間サービスを提供するものではありません。利用者ごとに解決すべき課題と達成目標を定め、標準利用期間を意識しながら、地域生活への移行、生活の安定、社会参加などにつなげる訓練系サービスです。
| 区分 | 主な目的 | 主な支援内容 |
|---|---|---|
| 自立訓練(機能訓練) | 身体機能・生活能力の維持向上 | 理学療法、作業療法、言語訓練、歩行・移動、 食事・更衣等の日常生活動作、生活全般の訓練 |
| 自立訓練(生活訓練) | 日常生活能力・社会生活能力の維持向上 | 生活リズム、食事、家事、金銭・服薬管理、対人関係、 交通機関利用、一人暮らし等に向けた訓練 |
根拠・留意点:障害者総合支援法第5条、指定障害福祉サービス基準第160条・第171条。解釈通知は、機能訓練について、単に身体機能の維持・向上を図るだけでなく、地域で自立した生活を営むための生活全般の課題を解決する総合的支援を求めています。
2 自立訓練(機能訓練)
自立訓練(機能訓練)は、身体障がい者に限って利用できるサービスではありません。利用者の障がいの種類ではなく、身体機能または生活能力の維持・向上のために必要な訓練の内容によって判断されます。
想定される支援には、歩行・移動訓練、食事・更衣・排せつなどの日常生活動作訓練、コミュニケーション訓練、福祉用具の使用訓練、家事・外出訓練、住宅環境に関する助言、退院後の地域生活への移行支援などがあります。
3 自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)は、知的障がい、精神障がい、発達障がい、高次脳機能障がいなどのある方を主な対象として行われていますが、対象は障がい種別だけで決まるものではありません。本人の生活状況と、地域生活に向けて習得・維持する必要がある能力を個別に評価します。
支援内容としては、生活リズム、調理・掃除・洗濯、金銭管理、服薬・健康管理、対人関係、公共交通機関の利用、行政手続、社会資源の利用、一人暮らし・グループホームへの移行、就労系サービスへ進む前の準備などが考えられます。
4 標準利用期間
| サービス | 標準利用期間 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 機能訓練 | 1年6か月 | 頸髄損傷による四肢麻痺等、一定の場合は3年 |
| 生活訓練 | 2年 | 長期間入院・入所していた方など一定の場合は3年 |
標準利用期間を超えて引き続き利用する必要がある場合は、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められることが必要です。事業者の判断だけで利用を延長することはできません。利用終了時期を起点に、本人、家族、相談支援専門員、市町村、移行先の関係者と調整します。
根拠・留意点:「介護給付費等の支給決定等について」に定める標準利用期間。個別の支給決定および更新の取扱いは市町村に確認が必要です。
5 指定を受けるための基本条件
1. 法人格を有すること
2. 定款の目的に障害福祉サービス事業を行う旨が記載されていること
3. 人員基準を満たすこと
4. 設備基準を満たすこと
5. 運営基準を満たすこと
6. 指定権者の事前相談・指定申請手続きを完了すること
会社、一般社団法人、NPO法人、社会福祉法人などで申請できます。ただし、法人設立後に定款目的の追加が必要にならないよう、設立または目的変更の段階で予定するサービスを整理しておきましょう。
6 利用定員
自立訓練事業所は、原則として20人以上の利用者を利用させることができる規模が必要です。生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援などを一体的に行う多機能型事業所では、事業所全体の定員を20人以上とし、自立訓練のサービス単位を6人以上とする取扱いがあります。
多機能型では、単に定員を小さくできるだけではありません。サービスごとの指定、人員配置、設備の共用、従業者の兼務、会計区分、利用者への説明などを一体として設計する必要があります。
根拠・留意点:指定障害福祉サービス基準第159条・第169条および多機能型に関する特例。自治体条例で表現や追加要件が異なる場合があります。
7 機能訓練の人員基準
| 職種 | 配置基準・要点 |
|---|---|
| 管理者 | 原則専従。 管理上支障がない場合は、事業所内の他職務または他事業所等の職務との兼務が認められる場合あり |
| 看護職員 | 1人以上。 看護職員・PT等・生活支援員の総数は常勤換算で「利用者数÷6」以上。 看護職員は1人以上常勤。 |
| 理学療法士 or 作業療法士 or 言語聴覚士 |
1人以上。 確保困難な場合は、一定要件を満たす機能訓練指導員(看護師など)で代替できる場合あり |
| 生活支援員 | 1人以上。 看護職員・PT等・生活支援員の総数は常勤換算で「利用者数÷6」以上。 生活支援員は1人以上常勤。 |
| サービス管理責任者 | 利用者60人以下は1人以上。 61人以上は、60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人追加。 1人以上は常勤 |
訪問による機能訓練を行う場合は、通常の配置とは別に、訪問訓練を担当する生活支援員を1人以上確保します。通常配置の職員をそのまま訪問担当として二重にカウントすることはできません。
指定自立訓練(機能訓練)の提供に当たっては、適切な訓練を行える勤務体制を定め、常時1人以上の従業者を訓練に従事させます。解釈通知は、生活支援員が複数の勤務体制を組む場合、それぞれの勤務体制において常時1人以上の常勤の生活支援員を配置する取扱いを示しています。したがって、単なる営業時間ではなく、実際に利用者へサービスを提供している時間帯を通じて必要な配置を確保するという整理が適切です。
根拠・留意点:指定障害福祉サービス基準第156条、解釈通知第八の1・3。人員算定の利用者数は原則として前年度の平均値を用い、新設時等は推定数によります。
8 生活訓練の人員基準
| 職種 | 配置基準・要点 |
|---|---|
| 管理者 | 原則専従。 管理上支障がない場合は兼務が認められる場合あり |
| 生活支援員 | 通常の生活訓練は常勤換算で「利用者数÷6」以上。 最低1人以上を配置し、うち1人以上は常勤 |
| 地域移行支援員 | 宿泊型自立訓練を行う場合、事業所ごとに1人以上 |
| サービス管理責任者 | 利用者60人以下は1人以上。 61人以上は、60人を超えて40人またはその端数を増すごとに1人追加。 1人以上は常勤 |
宿泊型自立訓練を行う場合、生活支援員の必要数は、「通常の生活訓練利用者数÷6」と「宿泊型利用者数÷10」を合算して計算します。最低1人以上を配置し、うち1人以上は常勤です。
健康管理が必要な利用者のために看護職員を置く場合、生活支援員と看護職員の合計で必要な生活支援員数を満たす取扱いがあります。ただし、生活支援員と看護職員をそれぞれ最低1人以上配置しなければなりません。
訪問による生活訓練を行う場合も、通常配置とは別に訪問担当の生活支援員を1人以上確保します。
根拠・留意点:指定障害福祉サービス基準第166条、解釈通知第九の1。宿泊型のサービス管理責任者も、業務を適切に遂行できる勤務時間の確保が必要です。
9 設備基準と物件選定
自立訓練事業所には、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室その他運営に必要な設備を設けます。訓練・作業室は、訓練に支障のない広さを確保し、訓練内容に応じた機械器具等を備えます。相談室は、相談内容が漏れないようプライバシーを確保できる構造とします。
面積の数値が全国一律に定められていない設備であっても、予定する定員と支援内容に照らして十分でなければなりません。複数の活動を同時に行う場合は、活動内容ごとに区分し、安全かつ円滑に訓練できる計画が必要です。
宿泊型自立訓練では、通常の設備に加えて居室および浴室が必要です。居室は原則1人部屋で、収納設備等を除いて7.43平方メートル以上とします。
物件契約前に確認する項目
- 用途地域と立地規制
- 建物用途、検査済証の有無、用途変更の要否
- 消防設備、避難経路、防火対象物の取扱い
- バリアフリーおよび利用者の安全性
- 貸主・管理規約上の事業利用の可否
- 指定権者の条例、審査基準および事前協議の手順
賃貸契約後に、建築基準法や消防法、指定基準を満たせないことが判明すると、開業延期や多額の追加工事につながります。候補物件の段階で、指定権者、消防署、建築担当部署等と協議することが重要です。
根拠・留意点:指定障害福祉サービス基準第158条・第168条、解釈通知第八の2・第九の2。設備の詳細は指定権者の条例・審査基準を必ず確認します。
10 運営基準と日々の実務
指定後は、申請時に書類を整えたというだけでは足りません。基準に沿って実際に運営し、その事実を記録として残す必要があります。主な運営業務は次のとおりです。
- 重要事項の説明、利用契約および受給者証の確認
- アセスメント、個別支援計画の作成、説明・同意・交付、モニタリング
- サービス提供記録と利用者確認
- 利用者負担額の受領、上限額管理、法定代理受領の通知
- 従業者の勤務体制、研修、秘密保持および個人情報管理
- 苦情、事故、緊急時および非常災害への対応
- 虐待防止、身体拘束等の適正化、感染症対策、業務継続計画
- 給付費請求、加算要件の確認、変更届・体制届の提出
- 運営規程、各種委員会、研修・訓練および関係記録の整備
生活訓練に関する個別支援計画、サービス提供記録、身体拘束等、苦情、事故、市町村通知等の記録は、国の基準上、サービス提供日から少なくとも5年以上保存します。自治体条例や補助事業、法人規程でさらに長い保存期間を定めている場合は、その期間に従います。
11 個別支援計画とモニタリング
自立訓練では、利用期間の終了後に実現したい生活を起点として個別支援計画を作ります。単に「生活能力を向上させる」と記載するのではなく、担当者、期限、具体的な支援内容および達成の判断基準を明確にします。
サービス管理責任者は、原案について担当者会議を開き、利用者または家族へ説明して文書による同意を得たうえで交付します。自立訓練では、少なくとも3か月に1回以上、計画の見直しを検討する取扱いです。状態変化や目標達成があれば、時期を待たずに見直します。
| 長期目標の例 | 短期目標・評価指標の例 |
|---|---|
| 一人暮らしを始める | 週3回、自分で服薬を確認できる/予算内で1週間分の買物ができる |
| 公共交通で通所する | 支援者同行から段階的に移行し、指定経路を単独利用できる |
| 就労系サービスへ移行する | 週5日の通所リズム、報告・連絡、集団活動への参加を安定させる |
12 地域生活への移行と利用終了後の支援
機能訓練事業者は、利用者が地域生活へ移行できるよう日中活動サービス事業者等と連携し、利用調整を行います。さらに、地域生活へ移行した後も、少なくとも6か月以上、生活状況の把握、相談援助、他の障害福祉サービスの利用支援等を行うことが求められます。
生活訓練でも、利用終了直前になって移行先を確保するのではなく、利用開始時から、一般住宅、グループホーム、就労移行支援、就労継続支援、一般就労、医療・相談支援などとの連携を組み込みます。自立訓練の質は、事業所内のプログラムだけでなく、利用終了後の生活につなげられるかで評価されます。
根拠・留意点:指定障害福祉サービス基準第161条、解釈通知第八の3(3)。
13 基本報酬
基本報酬は、通所、訪問、宿泊型、共生型または基準該当のいずれとしてサービスを提供するかにより区分されます。通所型の機能訓練サービス費(Ⅰ)と生活訓練サービス費(Ⅰ)は利用定員によって単位数が変わり、訪問型の各サービス費(Ⅱ)は所要時間等、宿泊型の生活訓練サービス費(Ⅲ)・(Ⅳ)は標準利用期間と実際の利用期間によって単位数が決まります。
機能訓練の基本報酬
- 機能訓練サービス費(Ⅰ)は、利用者を通所させて提供した場合、または施設入所支援を併せて利用する者に提供した場合に算定します。
- 機能訓練サービス費(Ⅱ)は、個別支援計画に基づき、日中活動サービスを利用しない日に利用者の居宅を訪問して訓練を提供した場合に算定します。
- 視覚障がい者に対する専門的訓練は、所定の研修等を修了した歩行訓練士が行う歩行訓練や日常生活訓練等が対象です。
| 報酬区分 | 定員・所要時間等 | 単位数(1日) |
|---|---|---|
| 機能訓練サービス費(Ⅰ) | 利用定員20人以下 | 819単位 |
| 利用定員21人以上40人以下 | 732単位 | |
| 利用定員41人以上60人以下 | 695単位 | |
| 利用定員61人以上80人以下 | 667単位 | |
| 利用定員81人以上 | 629単位 | |
| 機能訓練サービス費(Ⅱ) | 所要時間1時間未満 | 265単位 |
| 所要時間1時間以上 | 606単位 | |
| 視覚障がい者に対する専門的訓練 | 779単位 | |
| 共生型機能訓練サービス費 | 通所による提供 | 721単位 |
| 基準該当機能訓練サービス費 | 通所による提供 | 721単位 |
生活訓練の基本報酬
- 生活訓練サービス費(Ⅰ)は、利用者を通所させて提供した場合、または施設入所支援を併せて利用する者に提供した場合に算定します。
- 生活訓練サービス費(Ⅱ)は、個別支援計画に基づき、日中活動サービスを利用しない日に利用者の居宅を訪問して訓練を提供した場合に算定します。
- 共同生活援助の共同生活住居は原則としてここでいう居宅に含まれませんが、住居外で行う公共機関の活用訓練等には対象となる取扱いがあります。
| 報酬区分 | 定員・所要時間・利用期間等 | 単位数(1日) |
|---|---|---|
| 生活訓練サービス費(Ⅰ) | 利用定員20人以下 | 776単位 |
| 利用定員21人以上40人以下 | 693単位 | |
| 利用定員41人以上60人以下 | 659単位 | |
| 利用定員61人以上80人以下 | 633単位 | |
| 利用定員81人以上 | 595単位 | |
| 生活訓練サービス費(Ⅱ) | 所要時間1時間未満 | 265単位 |
| 所要時間1時間以上 | 606単位 | |
| 視覚障がい者に対する専門的訓練 | 779単位 | |
| 生活訓練サービス費(Ⅲ) | 標準利用期間2年の者・利用期間2年以内 | 281単位 |
| 標準利用期間2年の者・利用期間2年超 | 170単位 | |
| 生活訓練サービス費(Ⅳ) | 標準利用期間3年の者・利用期間3年以内 | 281単位 |
| 標準利用期間3年の者・利用期間3年超 | 170単位 | |
| 共生型生活訓練サービス費 | 通所による提供 | 690単位 |
| 基準該当生活訓練サービス費 | 通所による提供 | 690単位 |
生活訓練サービス費(Ⅲ)・(Ⅳ)は宿泊型自立訓練の報酬です。(Ⅲ)は標準利用期間が2年とされる利用者、(Ⅳ)は標準利用期間が3年とされる利用者について、利用期間に応じて算定します。宿泊型自立訓練を利用している日に、日中に外部または同一敷地内の障害福祉サービス等を利用した場合は、宿泊型の報酬と当該日中サービスの報酬をそれぞれ算定できます。
上表はいずれも1日当たりの基本単位です。実際の請求額は、該当する基本報酬に加算・減算を反映し、福祉・介護職員等処遇改善加算等を計算したうえで、地域区分に応じた1単位の単価を乗じて算出します。届出の有無だけでなく、サービスの提供形態、利用定員、提供日、所要時間、利用期間および記録が算定区分と一致していることを確認します。
根拠・留意点:平成18年厚生労働省告示第523号(報酬告示)第10・第11、報酬算定上の留意事項通知第2の3(1)・(2)。掲載単位は制度確認日現在。
14 主な加算と実務上の注意
| 加算等 | 対象・実務上の要点 |
|---|---|
| リハビリテーション加算 | 機能訓練。 個別のリハビリテーションを原則全利用者に実施。 計画は概ね2週間以内および3か月ごとに評価・作成。 区分Ⅰでは生活機能の改善状況等の評価・公表が必要 |
| 個別計画訓練支援加算 | 生活訓練(宿泊型を除く)。 社会福祉士、精神保健福祉士または公認心理師等によるアセスメント、多職種カンファレンス、 個別訓練実施計画、説明・同意、毎月評価等が必要。 区分Ⅰでは評価・公表も必要 |
| ピアサポート実施加算 | 研修修了者の配置、当事者経験に基づく支援、年1回以上の職員研修、届出と記録が必要 |
| 高次脳機能障害者支援体制加算 | 所定研修修了者の配置等により、高次脳機能障がい者への専門的支援体制を評価 |
| 初期加算 | 利用開始後30日以内。 入院等の場合の起算・再算定は留意事項通知を確認 |
| 欠席時対応加算 | 急病等により利用中止となった際、連絡調整・相談援助を行い、その内容を記録 |
| 食事提供体制加算 | 対象者、栄養面等の要件、経過措置の期限および届出を確認 |
| 送迎加算 | 1回当たりの平均利用者数、送迎回数等の要件を満たし、運行記録を整備 |
| 福祉・介護職員等処遇改善加算 | 賃金改善、月額賃金改善、職場環境等要件、計画書・実績報告等が必要 |
加算は、体制届を提出すれば算定できるものではありません。算定開始前に、対象利用者、職員資格・研修、計画、会議、支援実績、公表、記録などの要件を確認し、毎月の請求前にも要件を満たしているか点検します。
15 減算・返還を防ぐための確認事項
- 人員欠如:常勤換算、常勤・専従要件、前年度平均利用者数の計算を毎月確認する
- サービス管理責任者欠如・計画未作成:退職・休職を見越した体制と計画作成期限の管理を行う
- 定員超過:災害等の例外を除き、定員および過去3か月の平均利用者数等を管理する
- 情報公表未報告:期限内に障害福祉サービス等情報公表システムへの報告を行う
- 業務継続計画・虐待防止・身体拘束適正化:委員会、指針、研修、訓練および記録を実施する
- 短時間利用や欠席:実際のサービス提供内容と報酬算定の対応関係を記録で説明できるようにする
行政による運営指導では、規程やマニュアルの有無だけでなく、勤務実績、個別支援計画、サービス提供記録、会議録、研修記録、請求データが相互に整合しているか確認されます。書類ごとに別々の内容を作らず、支援と請求を一連の業務として管理します。
16 開業前に作るべき事業計画
自立訓練は、指定を受ければ自動的に利用者が集まる事業ではありません。対象者像、紹介経路、支援プログラム、利用終了後の移行先を具体化したうえで、稼働率が低い期間を含む収支計画を作ります。
- 精神障がい、高次脳機能障がい、発達障がい、身体障がいなど、中心とする利用者像
- 利用者の課題に対応できる職員資格・経験と採用可能性
- 一日のプログラムと個別訓練の割合
- 病院、相談支援、行政、グループホーム、就労系事業所等からの紹介経路
- 標準利用期間後の移行先と継続支援体制
- 給付費入金までの運転資金、人件費、家賃、送迎費、採用費
17 開業までの流れ
1、 対象利用者、支援内容、定員、通所・訪問・宿泊型等の事業形態を決める
2、 市場調査、利用者紹介ルート、事業計画および収支計画を作成する
3、法人設立または定款目的を整備する
4、 管理者、サービス管理責任者、生活支援員、看護職員・リハビリ職等を確保する
5、 候補物件について指定権者、消防署、建築担当部署等と協議する
6、 賃貸契約、工事、消防設備整備、備品購入を行う
7、 運営規程、重要事項説明書、契約書、個別支援計画様式、各種指針等を整備する
8、 指定申請書、体制届および加算届を提出する
9、現地確認・補正に対応し、指定後に利用契約とサービス提供を開始する
申請期限や事前協議の要否は指定権者によって異なります。開業予定日を起点に準備期間を計算し、物件契約や採用を先行させすぎないことが重要です。
18 まとめ
自立訓練は、障がいのある方が病院や施設から地域生活へ移行し、本人が希望する生活を実現するための重要なサービスです。一方、開業には、人員・設備基準を形式的に満たすだけでなく、標準利用期間内に成果を生み出す支援プログラム、関係機関との連携、利用終了後の移行支援、適正な報酬請求の仕組みが必要です。
特に、物件を契約した後に指定基準や消防・建築上の問題が判明した場合や、職員を採用したものの資格・研修要件を満たしていなかった場合には、開業時期と資金計画に大きな影響が生じます。指定申請の準備は、物件契約や採用を行う前から始めることが大切です。
行政書士向井総合法務事務所では、自立訓練事業所の指定申請、物件調査、事業計画、加算届、開業後の運営体制の整備までサポートしています。大阪・京都・奈良で自立訓練事業所の開業を検討されている方は、ご相談ください。
根拠資料
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)
- 同基準について(平成18年12月6日障発第1206001号。改正後全文)
- 指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)
- 同基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成18年10月31日障発第1031001号。改正後全文)
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要
- 令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A(VOL.1~VOL.8)
- 介護給付費等の支給決定等について
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00009.html
※本記事は制度確認日現在の国基準を基礎に作成しています。実際の指定申請・運営・請求では、事業所所在地の条例、指定権者の手引き、最新の通知・事務連絡および個別の行政協議結果を確認してください。








