就労移行支援事業の開業の手引き【大阪・京都・奈良 編】

就労移行支援事業とは

就労移行支援事業所とは、障がいのある方が一般企業へ就職することができるようにサポートする障がい福祉サービスです。

就労移行支援事業所は、地方自治体から指定を受けてサービスを提供しています。少し古いデータになりますが、全国には約3,400ヶ所の就労移行支援事業があります(平成29年10月1日現在:厚労省データ)。就労移行支援事業所を利用者している利用者数は全国で33,179人(平成29年9月:厚労省データ)、利用者の内訳は精神障がい者60%、知的障がい者20%、身体障がい者20%となっており、精神障がい者の利用者割合が高いのが特徴です。

大阪府、京都府、奈良県でも就労移行支援事業所は増加しています。当事務所でも就労移行支援事業は、開業支援のご相談の多いサービスであります。ただ、利用者さんの利用期間が原則として2年間という制限があるため、開業資金から営業方法・運営のことまでを開業する前からどれだけ事業計画として検討できているかどうかで成功できるかどうかが変わってきます。

就労移行支援は、一般企業への就労を目指して事業所に通い、一般企業で働ける能力や技術を身につける職業訓練や就職活動のサポートを行い、就職後はその職場で働き続けられるようにサポートを行います。

職業訓練では、職業スキルはもちろんのこと研修や職場実習を通じて体調管理やコミュニケーションなど働き続けるために必要な知識や経験を身につけていきます。就職活動では、キャリアカウンセリングや応募書類作成、面接指導などのサポートを行い、職場定着支援では一般就労後の相談対応や企業との連絡調整を行います。

就労移行支援事業所を利用できる方

就労移行支援事業所を利用するためには、以下の条件が必要になります。①~④のすべての条件を満たしている方が就労移行支援事業所を利用できます。

(あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許、きゅう師免許の取得による就労移行支援を行うケースもありますが、ここでは割愛いたします。)

①一般企業で働くことを希望している方

就労継続支援A型や就労継続支援B型のような福祉的な支援を受ける就労を目指す場合はあてはまりません。

②身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、難病等があること

障害者手帳を持っている方はもちろん、持っていない方も医師の診断や自治体の判断によって受給者証を取れるのであれば利用できます。就労移行支援事業所の場合は、精神障がいをお持ちの方が多いのが特徴と言えます。

③18歳以上65歳未満の方

65歳以上の方でも例外的に利用できる場合があります。

④離職中の方

原則として、働きながら就労移行支援事業を利用することはできません。就労移行支援は「働けない状態にある」人が対象者となっています。アルバイトや短期派遣の仕事をしながら利用しようとしても就労移行支援サービスを利用することは基本的にはできないことになっています。

就労移行支援を開業した際のメリットとデメリット

就労移行支援事業を開設する際に検討しておきたい点として、就労移行支援事業の良い点や悪い点はどのようなものなのでしょうか?まず、就労移行支援の事業所としてのメリット・デメリットを考える前に、就労移行支援を利用しようとする利用者さんから見たメリット・デメリットを考えてみましょう。

【就労移行支援の利用者視点のメリット】

①健康管理の能力や生活のリズムを身につけることができる。

就労移行支援を利用して一般企業へ就職を目指す場合、毎日職場へ出勤しなければなりませんので、企業側としても健康管理の能力を重視します。

②希望する仕事に就労できるように、それに合わせた個別のプランを専門スタッフに立ててもらうことができる。

就労移行支援から一般企業に就労するにしてもその仕事内容は様々でありますし、そのスキルや能力も様々になります。そのため障がい者就労に詳しい就労移行支援専門のスタッフが一般就労へ向けた個別プランを立ててくれます。

③就労移行支援事業所に通いながらスキルアップやトレーニングを受けることができ、希望する職種に就労できるようにサポートを受けることができる。

就労移行支援事業所では、スキルアップの支援やトレーニング研修などといったプログラムで支援を受けることができ、職場研修や面接指導のような就労支援もサポートしてくれます。

【就労移行支援の利用者視点のデメリット】

①就労移行支援事業所を利用するのに一定の利用料が発生する場合がある(無料で利用できる場合もあります)

就労移行支援の利用料(自己負担額)は、前年の世帯収入によって決定します。世帯収入は本人と配偶者の収入合計であり、親の収入は計算には入れません。

②障害者雇用枠での就職を前提としたプログラムや就職支援メニューを用意している事業所も多いため、一般枠での就職を希望する利用者と事業所から提供されるプログラムや就職支援メニューの点で合致しない場合もある。

最近では多種多様な特徴のある就労移行支援事業所がでてきています。利用者側からすればそれだけ選択肢が広がっていると言えますし、事業所側からすれば支援の内容が問われる時代になってきています。

上記のような利用者視点のメリット・デメリットに対して、就労移行支援事業所からみた事業所視点のメリット・デメリットはどのようなものが考えられるでしょうか?

就労移行支援事業所のメリット

①企業の業界でのネットワークなどを活かして、一般就労への支援をすることができる。

就労移行支援事業に新規参入する場合、経営者を中心した今までの業界内での経験やネットワークを利用して特徴ある事業所運営ができるでしょうし、一般就労への支援ができるでしょう。

②就労継続支援事業との多機能型としたり、同じグループ内の就労継続支援事業所を利用していた方が一般就労を希望する場合に就労移行支援を提供することがでる(就労移行支援の支給決定が必要)

就労移行支援のような障がい福祉事業は原則として定員の決まったビジネスですので、売上の天井には限界があります。そのため障がい福祉事業で収益をあげて安定した経営をしようと思えば、事業を上に展開(一事業所だけで売り上げを追い求める)するのではなく横に展開(事業所の数を増やしていく)するのが賢い事業展開と言えます。

就労移行支援事業所のデメリット

①就労移行支援の場合、利用者の利用が原則として2年間であるため、それ以上の期間の売上は就労定着支援でカバーしなければならない。

就労移行支援事業の次なる事業展開として就労定着支援をおすすめします。就労定着支援は報酬単価はそれほど高いものではありませんが、就労移行支援の延長線上のサービスとしては経営しやすいサービスです。

②一般就労後6ヶ月以上定着しなければならない。

就労移行支援の利用者さんは基本的に精神的にも安定していない方が多いため、就職後6ヶ月以上の安定した就労が難しい場合も多いのが現状です。一般就労後6ヶ月以上定着しなければ就労移行支援事業所としての実績はカウントされませんので、就職後もサポートが必要になります。

③現実的に一般就労への実績が「0」の就労移行支援の事業所もある。

上記②と関連しますが、一般就労後6ヶ月以上定着しなければ実績としてカウントされません。 就労移行支援事業の報酬は「就職後6ヶ月以上定着率」で決まりますので、現実には一般就労への実績が「0」の就労移行支援の事業所もあるのです。

就労移行支援事業所の営業先

就労移行支援事業所はどこに営業をかければいいのでしょうか?まず、事業所の営業先を検討する前に、ここでも利用者さんからの視点に立って、利用者さんはどこで就労移行支援事業所を探しているのかを考えてみましょう。

①市町村へ相談している。

利用者さんが自分の住んでいる市町村長の障害福祉課で就労移行支援事業所を探しているケースがあります。市町村によっては、市内の就労移行支援事業所の所在地や特徴を一覧でまとめて冊子化しているところもあります。

②専門機関へ相談している。

通院先(病院・診療所)、障害者就業・生活支援センター、就労支援センター、相談支援事業所、ハローワーク等の職業紹介事業者など。

③就労移行支援事業所のwebサイト

現在では、大手企業が障がい福祉サービス事業を集めたwebサイトも多くあります。そういったサイトでは就労移行支援事業所独自のwebサイトをリンク付けしていたり、特徴ある事業所であることをアピールしていたりしています。

上記のように就労移行支援事業所を探している利用者がどこで通所したい事業所を探しているのかを理解すると、就労移行支援事業所が営業する先もそれに合わせて営業する方が合理的と言えます。

①市町村では就労移行支援の指定をとっていますので、営業先というよりも市町村によっては事業所一覧をホームページに載せている場合があります。そのため、事業所の営業先とはなりませんが、これから利用者さんの支給決定のことでのやり取りもできてきますので、良好な関係を築いておきましょう。

②就労移行支援事業の場合、精神障がい者の方の割合が多いのが特徴ですから、心療内科や精神科に通っている方も多く、将来の就労に不安をお持ちの方も多いと思われます。そのため、病院やクリニックに営業をかけてみるのも効果的です。

③意外と無視できないのが事業所独自のホームページです。就労移行支援事業の利用を希望する方は障がいの程度も比較的軽い方が多いので自分自身でスマホやパソコンで通いたい事業所を探しているようです。就労移行支援の利用を希望する方に選んでもらえるWEBサイトを作りましょう。

就労移行支援事業の開業資金(初期コスト)

就労移行支援事業所の開設には、一般的には多額の設立費用(開業資金)がかかるといわれています。具体的にはどれくらいのコストがかかるのでしょうか? 条件によって異なりますが、収支をシミュレーションすることによって概算額を把握することができるようになります。

就労移行支援事業の開業資金

項目 見積額(円) 備考
法人設立費用 300,000 株式会社設立
物件費用(賃貸家賃) 600,000 家賃2ヶ月分
物件費用(保証金・礼金) 900,000 家賃3ヶ月分
物件費用(不動産仲介手数料) 300,000 家賃1ヶ月分
人件費 300,000 サービス管理責任者1名1ヶ月分
内装工事費用 200,000  
消防設備工事費用 200,000 誘導灯・感知器
事務所備品など 100,000 机・イス・鍵付き書庫
その他 100,000  
合計 3,000,000  

① 法人設立費用

法人設立費用については、法人形態によって費用も異なりますが株式会社を設立したとした場合、定款認証代、司法書士さんへの設立登記報酬、登録免許税などを含めて30万円位を見積もっておきましょう。ちなみに、依頼する司法書士さんにもよりますが、合同会社の場合であれば登録免許税等を含めて15万円~16万円位になるようです。

また、NPO法人を設立して開業される方もいらっしゃいますが、NPO法人の場合、設立手続きに比較的時間がかかりますし、民間金融機関からの融資が受けにくいですので、その点も考慮にいれて法人形態を決定するようにしましょう。

就労移行支援を開業する際の法人設立で注意しなければいけないのは、事業目的(定款の目的条項)を就労移行支援を開業するのに適したものとなるようにすることです。この事業目的が就労移行支援に適さないもので定款認証されたり、法人設立登記されてしまっている場合には、事業目的を就労移行支援の開業に適するように変更していただく必要があります。その場合は、変更の登記が必要になりますので、費用も時間も無駄にかかってしまいます。法人設立を司法書士さんに依頼したとしても、定款認証前(法人設立登記前)に就労移行支援に詳しい行政書士に内容の確認をしてもらうことをお勧めいたします。

② 物件家賃(家賃2ヶ月分)

新たに就労移行支援事業をはじめる場合に、新しく建物を建ててその1フロアを就労移行支援の事業所として使用している法人様もあるかと思いますが、ここでは賃貸でテナントを借りて就労移行支援をはじめる場合を考えてみます。

就労移行支援事業所の場合は、利用者さんが通学(通所)するのに便利な場所を選ぶのが一般的でしょう。そのため、街中の戸建てや作業所というよりもある程度の大きさのテナントビルのワンフロアを借りてはじめられる事業所様が多いようです。通学(通所)するのに便利な場所ですから、駅近くのテナントビルなんかが好まれます

就労移行支援として使用する物件の広さは、就労移行支援事業所の定員を目安に考えます。就労移行支援事業所の定員を20人とした場合、訓練作業室の大きさは1人あたり3㎡必要とされていますので、「20人×3㎡=60㎡」が最低でも必要になります。また、自治体によっては、1人あたり3.3㎡が必要とする自治体もありますので、事前に確認するようにしましょう。

訓練作業室が60㎡とした場合、ここに相談室や事務室のスペースなどが必要になってきますので、就労移行支援の事業所としての使用部分全体で最低でも70㎡~80㎡位の大きさが必要になることになります。

物件家賃については、大阪、京都、奈良でも賃料相場に違いがあるでしょうから、駅近くの物件であったとしても賃料相場を周辺の同じような物件と比較しながら検討するようにしましょう。賃料は毎月必ずかかる固定費になりますので、ここはできるだけ抑えた金額にしたいところです。ここでのシミュレーションでは賃料は1ヶ月30万円と仮定して考えてみます。

そして、開業費用を抑えたいので、就労移行支援の指定日の当日を賃貸借契約の開始日としたいところですが、指定日よりも以前から物件の内装工事や消防設備工事が必要な場合がありますので、最低でも指定日までの家賃が2ヶ月分位はかかると思っておいた方かよいでしょう。。

③物件費用(敷金・礼金)

就労移行支援として利用するテナントを借りる場合に、結構重くのしかかる費用にテナントにかかる敷金や礼金があります。

敷金(保証金という場合もあります)は就労移行支援として利用するテナント物件によりますが賃料の3ヶ月~4ヶ月分がかかることが多いようです。

礼金については、テナントを退去する場合も基本的には返ってこないお金になります。こちらも賃料の3ヶ月分~4ヶ月分を求められる場合が多いようです。もっとも現在は家主側も空室リスクを考えると、礼金をとっているようではテナント入居者を確保できないと考えて「礼金必要ナシ」を謳い文句にしてテナント募集している物件もあるでしょうから根気強く物件探しをするようにしましょう。

④不動産業者の仲介手数料

就労移行支援として利用する物件の仲介をしてくれた不動産業者へ仲介手数料1ヶ月分の報酬が発生します。ここでのシミュレーションでは賃料1ヶ月分を30万円と仮定していますので、仲介手数料も30万円と考えます。

⑤人件費(サービス管理責任者1名、1ヶ月分)

就労移行支援事業では、サービス管理責任者を配置しなければ指定はとれません。就労移行支援の指定申請手続きを理論的に考えれば指定日から雇用していれば人員基準は満たされるのですが、開業前の準備などがありますから、指定日の1ヶ月位前から雇用しておくのが一般的です。就労移行支援のサービス管理責任者の給料として社会保険料や交通費込みで30万円と仮定してシミュレーションします。

⑥内装費用

この内装費用については、物件によって様々です。スケルトン状態で借りた場合には内容費用も高くなるでしょうし、居抜き物件のように簡易な内装で済むような場合もあるでしょう。内装費用についても豪華にしようと思えばいくらでも金額が高くなってしまいますので、簡易な内装工事で足りると仮定して、ここでは20万円程度と仮定します。

⑦消防設備工事費用

就労移行支援事業の開業費用を検討する場合、意外に見落としがちになるのが消防設備工事にかかる費用です。この消防設備費用にかかる工事も物件によって様々になりますが、誘導灯や警報装置の感知器くらいの工事であれば20万円位になります。しかし、自動火災報知機を付けなければならないとなると建物全体の工事になりますので、工事費用も100万円以上かかる場合もあります。

そのため、就労移行支援の事業所として利用するテナント物件を選ぶ際には、新たに自動火災報知機の設置工事が必要でない物件を探すことも物件選びの重要な判断基準になります。ここでのシミュレーションでは自動火災報知機の設置が必要でない物件を見つけることができて、誘導灯・感知器の工事だけが必要になったと仮定して消防設備工事費用に20 万円を見積もっておきましょう。

⑧事務所備品など

就労移行支援事業所を開設する場合、指定申請の添付書類として事業所内部の写真を添付して提出する必要があります。その際に事務室内に事務机やパソコンなどの備品類はもちろん、鍵付き書庫や相談室の机やイスも準備できている状態で写真撮影しなければなりません。

就労移行支援事業であれば、利用者さんが使用する机やイスも準備する必要があるでしょうし、パソコンスキル向上を謳う就労移行支援事業所にするなら利用定員分のパソコンの準備も考えなければなりません。事務所備品などは中古品でも十分利用できるものがあると思いますので、賢く準備していくようにしましょう。ここの部分は就労移行支援事業所によってかなり幅のあるところかと思いますが、ここでのシミュレーションでは概算額として10万円と考えます。

⑨その他

上記のように就労移行支援事業所を開設する際の開業資金としていくつかの項目を検討してきましたが、上記以外にもパソコンのプロバイダー契約やスタッフの名刺作成などの細々とした費用がかかってしまいます。このような細々とした費用をまとめて10万円を見積もっておきます。


上記のように就労移行支援の開業資金を検討してきましたが、開業資金だけでも約300万円もの資金がかかります。就労移行支援事業の場合は、駅近くのビジネス街に事業所を構えるケースが多いので送迎用の自動車を対象に入れていませんし、行政書士への報酬額も検討に加えていません。

就労移行支援事業のような制度ビジネスの開業資金を考えるポイントは、最初は高めの金額で見積もっておくことです。なんだかんだと細々とした費用がかかるのが普通ですし、内装工事で思いのほかお金がかかってしまう場合もよくあります。就労移行支援の指定申請の手続きに着手したのに、開業前に資金ショートを起こしてしまっては元も子もありません。

また、上記の就労移行支援のシミュレーションでもわかると思いますが、物件にかかる費用の割合が非常に高いのです。そのため就労移行支援事業の開業を思い立ったら、まず初めに就労移行支援の物件探しからとりかかるのが良いと思います。

就労移行支援事業の収支シミュレーション

上記の就労移行支援事業の開業資金(初期コスト)で検討したように開業資金だけでも約300万円がかかってしまいます。

自己資金だけで就労移行支援の開業資金を準備できればいいのですが、一般的には融資を受けて開業することになると思います。融資を受ける際には就労移行支援の事業計画をたてて融資を申し込むのですが、最低でも1年間の収支計画を検討しなければなりません。

ここでは、大阪市で就労移行支援事業を開設した場合の収支計画を検討してみましょう。

就労移行支援事業の「売上」を検討してみましょう。

就労移行支援事業所での売上は、訓練等給付費と言われる支援費が主なものとなります。支援費というのは、福祉サービスで提供したサービスの内容、時間、日数等に応じて国保連より継続的に支給されるサービス費のことです。あくまで予想でありますがモデルケースを設定してどれぐらいの売上が見込めるのかを検討してみましょう。

モデルケース
□大阪市(2級地)での開業【1単位=10.94円】
※京都市(5級地)の場合、1単位=10.59円
※奈良市(6級地)の場合、1単位=10.35円
□定員20人
□基本報酬(新規指定) 811単位
□加算減算は考慮しない
□4月1日指定
□月間25日稼働、利用者全員が月20日通所

※表は左右にスクロールできます。

定員20人 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
利用人数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
単位/日 811 811 811 811 811 811 811 811 811 811 811 811
円/日 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872 8,872
通所日数 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20 20
売上(円) 177,440 354,880 532,320 709,760 887,200 1,064,640 1,242,080 1,419,520 1,596,960 1,774,400 1,951,840 2,129,280

上記の収益シミュレーションは指定日の4月1日から順調に毎月1人ずつの利用者さんを獲得して、開所日に月20日通所してくれた場合のシミュレーションです。上記のシミュレーションからもわかるように就労移行支援の売上をあげようと思えば、どれだけ利用者さんに事業所に来てもらえるのかが重要になります。

売上を検討する際のポイントは、厳しめに(低めに)考えることです。就労移行支援事業の最低定員が20人であるため20人を基準に検討していますが、毎月の開所日全日を定員20人マックスで通所してもらえると考えるのは現実的ではありません。利用者人数を低めに考える、通所日数を少なめに考える・・・というように厳しめに(低めに)検討するようにしましょう。

就労移行支援事業の「経費」を検討してみましょう。

次に、月々にかかる経費を検討してみましょう。

経費を検討する際に気をつけなければならないのは、就労移行支援事業のような障がい福祉サービス事業では人件費割合が高いという点です。それは、就労移行支援事業のような障がい福祉サービス事業では人員基準を守りながら運営していかなければなりませんので、どうしても一定数以上の人員を配置しなければならないからです。

そして、就労移行支援の人員基準は「前年度の平均利用者数」をもとに計算されるのですが、新規で指定を受けた場合は、まだ実績がありませんので便宜上、「定員人数×0.9」で計算された人数を平均利用者数として人員基準を検討します。

定員20人 × 0.9 = 平均利用者数18人

新規開設から6ヶ月間の人員基準は、定員が20人であれば平均利用者数18人と設定されて計算されます。現実的には6ヶ月経過後も利用者数18人というのは厳しい数字です。ただし、必要経費としての人件費を考えるうえでは、厳しめに(高めに)見積もっておくべきですので、1年間を通して平均利用者数18人として経費を検討してみましょう。

※表は左右にスクロールできます。

平均利用者数18人 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
人件費 管理者サビ管1人 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000
職業指導員 2人 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000 500,000
生活支援員 1人 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000 250,000
就労支援員 1.2人 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000
家賃 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000
水道光熱費 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000
通信費 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000
事務費 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000 50,000
その他 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000
合計 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000

上記のように就労移行支援の経費については売上ほど変動がありませんが、1ヶ月に190万円もの経費がかかることがわかります。就労移行支援の経費について検討する場合のポイントは、高めに(多めに)経費がかかるように仮定することです。

就労移行支援事業の「利益」を検討してみましょう。

上記で検討した「売上」と「経費」を合わせると、就労移行支援事業ではどれだけの「利益」が出るのかを検討してみましょう。

※表は左右にスクロールできます。

  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
売上 177,440 354,880 532,320 709,760 887,200 1,064,640 1,242,080 1,419,520 1,596,960 1,774,400 1,951,840 2,129,280
経費 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000 1,900,000
利益 -1,722,560 -1,545,120 -1,367,680 -1,190,240 -1,012,800 -835,360 -657,920 -480,480 -303,040 -125,600 51,840 229,280

シミュレーション表を見てみると、新規指定で4月1日から就労移行支援の開業をした場合でも開業から11ヶ月後の翌年2月にようやく収支が黒字になっています。開業の際に金融機関から融資を受けて開業した場合には、この「利益」欄の金額からさらに毎月の返済額を返済していかなければなりません。

上記の就労移行支援の収支シミュレーションは厳しめに作成していますが、現実的にもこれくらいの収支になるのではないでしょうか?法人税の納付や金融機関からの融資分の返済を考えると最低でも1年間は赤字覚悟で考えておくべきでしょう。

就労移行支援事業を開業して成功させるには?

大阪市で就労移行支援事業を開設する際の開業資金や収支計画を検討してきましたが、結局のところ大阪、京都、奈良で就労移行支援事業を成功させるにはどうすればいいのでしょうか?

あくまで当事務所が今まで大阪、京都、奈良での就労移行支援事業所の開業支援や運営支援を行ってきて感じたものでありますが、いくつかのポイントがあるではないかと考えています。

特徴のある就労移行支援事業所づくり

大阪でも、京都でも、奈良でも就労移行支援事業所の数は年々増えています。事業所数が増えていくなかで、就労移行支援を利用したいと希望する利用者さんに選んでもらわないといけません。

今までの就労移行支援では、一般的な事務作業スキルや資格を身につけてもらって一般就労へとつなげる事業所も多かったのですが、最近では、エステ業界に特化した就労移行支援事業所や、e-sportsに特化した就労移行支援事業所、IT専門の就労移行支援事業所もでてきました。

利用者さんも就労移行支援を利用するなら特殊な技能を身につけて、あるいは興味のある分野で就労したいとの思いもあるでしょう。就労移行支援事業所としても得意な分野や経験のある業界で活動でき、業界内のネットワークを使って就労につなげることができるというメリットもあります。非常に面白い発想と思いますし、企業側の今までの業界での経験や知恵で創意工夫ができる部分ではないでしょうか?

そのため、これからはただ単に「就労移行支援事業所」というよりも「特徴のある就労移行支援事業所」であることが大切になってくるように感じています。

就労移行支援事業所の物件選び

上記の「開業資金」で検討したように、就労移行支援事業所の開業は、物件にかかる費用の割合が大きいのが特徴ですので、就労移行支援事業所として使用する物件の選択が重要になります。

ここで立地ばかりを考えてあまりに高い家賃の物を選んでしまうと固定費が高くなりますので、開業後の運営が厳しいものとなってしまいます。また、物件によっては消防設備費用などが嵩むと開業資金も高額になってしまいますので、運営面で取り返すのが長期になってしまって安定した経営が難しくなってしまいます。

そのため、就労移行支援事業所として使用する物件は、就労移行支援事業を思い立った日から早め早めに良い物件を探すようにしておきましょう。大阪、京都、奈良のいずれの地域で開業する場合も地元の不動産業者に問い合わせてみるのがよいでしょう。

人を大切にしている

就労移行支援事業所では、必要な資格や経験を持ったサービス管理責任者や職業指導員・生活支援員・就労支援員といった従業者を一定人数一定時間、配置しなければなりません。要するに、就労移行支援事業の人員基準を満たしていなければなりません。

仮に必要な人員を揃えられないのであれば就労移行支援の指定はとれませんし、運営においても減算となり、売上が30%カットや50%カットとなってしまいます。就労移行支援で求められる必要な人員を配置できてない状況が長期に続くようでは指定取消の対象ともなります。当事業所が関与した就労移行支援の事業所でも従業者の度重なる退職が続き人員配置を守ることができずに閉鎖となってしまった事業所もございます。

そのため、従業者に退職されると安定した経営が難しくなり、資金面でも苦しくなります。従業者には長く勤めてもらえるように会社としての企業努力も大切になります。

緻密な事業計画

就労移行支援のような福祉事業は、「簡単に儲かる」みたいなイメージがあるのでしょうか、事業計画も考えずにイメージだけで開業したいとのご相談が今でも多いです。

福祉事業は社会的にも意義のある事業でありますが、決して楽な仕事ではありません。経営面からみても決して簡単に儲かるようなビジネスではありません。

この点を理解したうえで就労移行支援の開業前から綿密な事業計画を立てて開業した事業所と、イメージだけで開業した事業所では、開業後の運営面でれっきとした差となって表れています。福祉事業の世界では「想いがあれば大丈夫」と言って開業される方もいらっしゃいますが、就労移行支援の事業計画も立てないで開業することは「想いがある」とは言えません。

就労移行支援事業は社会的に意義のある仕事であるからこそ、「絶対に廃業させない」といった確固たる決意が必要なのではないでしょうか?

スタッフ全員に学ぶ姿勢がある

就労移行支援事業のような制度ビジネスは制度に則って運営されなければならないのですが、制度が非常に複雑になってきています。また、就労移行支援事業はコンプライアンスも高く求められる事業です。

そのため、管理者やサービス管理責任者だけが制度を理解していればいいというものではなく、就労移行支援にたずさわるスタッフ全員が制度を学んでより良いサービスを提供するように学ぶ必要があります。

よくある話ですが、経営者が就労移行の人員基準を理解できておらずに実地指導の際に基準違反を指摘されてそれだけで1千万円近くもの報酬返還を指導されるということもあります。

厳しいようですが、福祉ビジネスの制度が複雑でややこしいから「学ぶのが嫌だ」と思うのなら、就労移行支援事業の開業を見合わせてみることも大切な選択と言えるでしょう。


就労移行支援事業のような障がい福祉サービス事業は、制度が急激に複雑化しており、コンプライアンス(法令遵守)を意識しながら他方では売上を計上して利益を出していかなければなりません。「経営」という視点からみれば、非常に舵取りの難しいビジネスと言えるのではないでしょうか?

当事業所では、大阪、京都、奈良の事業所様の就労移行支援事業の開業支援や運営支援を行っております。就労移行支援事業の開業・運営の経営パートナーとしてご利用ください。

就労移行支援事業の開業支援ご依頼の流れ

① 就労移行支援事業所としての物件探しをはじめましょう。

就労移行支援事業を開業するには、まずは物件がなければ話が進みません。そして、「物件の賃貸借契約のタイミングはいつにしたらいいのか?」というご相談が多いのですが、正式な賃貸借契約は自治体担当部署との事前協議(事前相談)を経た後に締結することになります。

就労移行支援事業は、一般就労を目指して職業訓練をする場であるので「学校」のようなイメージがあり駅周辺やビジネス街のテナントビルに入居している事業所が比較的多いように思います。実際に学校のようなカリキュラムを組んで一定の時間にならば学校のようなチャイムが鳴る事業所もあります。

② 就労移行支援事業のスタッフとなる人材を集めましょう。

就労移行支援事業では、管理者やサービス管理責任者を中心に必要な人員が揃っていなければ指定基準を満たしていませんので、開業することはできません。職業指導員や生活支援員は資格要件はありませんが、サービス管理責任者は任用要件が厳しいので、就労移行支援事業の開業準備のはやい段階から一緒に事業所を盛り上げてくれる人材を集めておきましょう。

③ 当事務所へ依頼しましょう。

上記①②の目途がついた段階でご依頼いただくのが一番スムーズでありますが、①の物件選びも②の人材集めの点を就労移行支援事業の開業においては核となる部分ですので、はやめにご相談いただければ、物件選びの注意点や人員配置の考え方などもアドバイスいたします。

就労移行支援事業の開業支援の料金(行政書士の報酬)

料金 380,000円(税別)

上記金額は大阪・京都・奈良で就労移行支援事業を開業される方の開業支援の料金となります。

大阪・京都・奈良以外での就労移行支援事業の開業をご検討の方は別途お見積りとさせていただきます。

※法人設立業務は提携司法書士が行います。提携司法書士との別途契約となります。

※建築士の用途変更や消防設備業者の工事などの費用は担当業者との別途契約となります。

※福祉・介護職員処遇改善加算の同時申請は別途料金となります。

就労移行支援事業の開業支援をご依頼いただく際に、ご準備いただくとスムーズな資料

物件の図面(情報)

・物件の所在(住所地)

・間取り(窓の位置・大きさがわかれば尚良)

・各部屋の面積がわかるもの

サービス管理責任者の情報

・履歴書

・資格証

・実務経験証明書

・研修修了証

上記書類などの各コピー

法人の定款・登記簿

事業の「目的欄」が適切に記載されているかどうかを確認します。

適切でなければ変更手続きをする必要があります。

業務に関するお問い合わせはお電話またはメールにて承っております。(事業開業に関する具体的なご相談は面談で行っておりますが、まずはお電話・メールにて状況をお伝えください)

  • メールは24時間承っておりますが、返信に2営業日ほど頂く場合がございます。

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