就労系事業所の「一般就労中の一時的な利用」について

就労系の就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型では、令和6年度報酬改定により、従来から運用上位置付けられていた一般就労中に就労系福祉サービスの事業所を一時的に利用する点について法令上新たに位置づけられ明確化されました。

(厚生労働省資料より引用)

就労系事業所の「一般就労中の一時的な利用」には、3つのパターンがあります。

  • 労働時間延長支援型:通常の事業所に雇用された後に労働時間を延長しようとする場合
  • 復職支援型:休職からの復職を目指す場合
  • 就労移行(継続)支援短時間型:概ね週10時間未満の所定労働時間で一般就労へ移行した場合
パターン 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
通常の事業所に雇用された後に
労働時間を延長しようとする場合
労働時間
延長支援型
労働時間
延長支援型
労働時間
延長支援型
休職からの復職を目指す場合 復職支援型 復職支援型 復職支援型
概ね週10時間未満の所定労働時間で
一般就労へ移行した場合
就労移行支援
短時間型
就労継続支援
短時間型

※厚生労働省資料より引用。一部修正。

労働時間延長支援型

生活リズムの維持、雇用先企業と就労系事業所との情報共有、合理的配慮の内容などについての調整などを通じ、円滑な一般就労への移行を目指すことを目的とします。

対象サービス(労働時間延長支援型)

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型

対象者(労働時間延長支援型)

通常の事業所に雇用されている障がい者であって、労働時間の延長の際に就労に必要な知識および能力の向上のための支援を一時的に必要とする者

利用条件(労働時間延長支援型)

企業などでの働き始めに、概ね週10時間以上20時間未満から段階的に労働時間の延長を図ろうとする場合であって、以下の条件を☆いずれも☆満たした場合に利用できます。

  •  就労移行支援 or 就労継続支援(就労系福祉サービス)の一時的な利用の前に就労系福祉サービスを受けており、就職後も引き続き同一の就労系福祉サービスの事業所で就労系福祉サービスの利用を必要としている場合
  •  企業等から、就労系福祉サービスの一時的な利用のため、就労系福祉サービスの事業所への通所が認められている場合
  • 勤務時間の延長を図るために就労系福祉サービスの一時的な利用が必要であると市町村が認めた場合

支給決定にあたっての留意事項(労働時間延長支援型)

原則として、利用者が企業などに雇用される前に利用していた就労系事業所と同じ事業所を引き続き利用する意向を有すること
また、利用者に係る「サービス等利用計画等」において、段階的に概ね週10時間以上20時間未満から勤務時間を増やすことが記載され、雇用先企業も同意していることを確認すること。

利用期間(労働時間延長支援型)

支給決定期間は、1ヶ月から6ヶ月までの範囲内で「月」を単位とする。利用期間は、個々の状況に応じ、原則3ヶ月から6ヶ月以内の間とするが、延長が必要な場合は合計1年まで認める。
※就労移行支援については、改めて支給決定を行うため、従前の支給決定における期間とは通算されません。

労働時間延長支援型のイメージ

(厚生労働省資料より引用)

復職支援型

復職に必要な生活リズムの確立、体力や集中力の回復、主治医と産業医との連携等を通じ、円滑な職場復帰を目指すことを目的とします。

対象サービス(復職支援型)

  • 就労移行支援
  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 生活介護
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 問54)

対象者(復職支援型)

通常の事業所に雇用されている障がい者であって、休職からの復職の際に就労に必要な知識および能力の向上のための支援を一時的に必要とする者

利用条件(復職支援)

以下の条件をいずれも満たした場合に利用できる。

① 求職者を雇用する企業、地域における就労支援機関や医療機関などによる復職支援の実施が見込めない or 困難である場合
② 休職中の障がい者本人が復職を希望し、企業および休職に係る診断をした主治医が、日中活動系障がい福祉サービスによる復職支援を受けることにより復職することが適当と判断している場合
③ 休職中の障がい者にとって、日中活動系障害福祉サービスを実施することにより、より効果的に復職につなげることが可能であると市町村が判断した場合

支給決定にあたっての留意事項(復職支援)

上記①および②に該当するかは、以下のイ~ハまでの書類の提出により確認を行うこと。

イ)雇用先企業からの資料

当該企業による復職支援の実施が困難であり、休職中の障がい者が日中活動系障がい福祉サービスによる復職支援を受けることにより復職することが適当と判断していることを示す書類

ロ)休職に係る診断をした主治医からの資料

当該主治医の属する医療機関による復職支援の実施が困難であり、休職中の障がい者が日中活動系障がい福祉サービスによる復職支援を受けることにより復職することが適当と判断していることを示す書類

ハ)相談支援事業所(申請者)からの資料

地域における就労支援機関である障害者職業センターなどによる復職支援の利用が困難であることや、地域における医療機関による復職支援が見込めないことを示す書類。ただし、セルフプランの場合には、申請者が作成する同様の書類。この場合、市町村は地域における就労支援機関および医療機関による復職支援の実施状況などを調査したうえで支給決定の可否を判断すること。

利用期間(復職支援)

支給決定期間は、1ヶ月から6ヶ月までの範囲内で「月」を単位として定める。利用期間については、企業の定める休職期間の終了までの期間(上限2年)とする。

復職支援型のイメージ

(厚生労働省資料より引用)

就労移行支援短時間型

就労を希望する障がい者が概ね週10時間未満の所定労働時間で一般就労へ移行した場合

対象サービス(就労移行支援短時間型)

  • 就労移行支援

対象者(就労移行支援短時間型)

就労移行支援の利用を経て、企業などでの所定労働時間が概ね週10時間未満であることを目安として一般就労し、就労移行支援事業所で引き続き訓練を受けながら働くことが、勤務時間や労働日数を増やすことにつながる場合や、新たな職種への就職を希望しており、就労移行支援の利用が必要であると判断した者。

利用条件・支給決定にあたっての留意事項(就労移行支援短時間型)

市町村が、就労移行支援短時間型の支給決定を行うにあたっては、以下の3点を踏まえること。

  • 就労移行支援を利用することにより、勤務時間や労働日数を増やすこと、or 新たな職種へ就職することにつながるか否か
  • 働きながら就労移行支援を利用することが利用者の加重な負担にならないか。
  • 他のサービスや支援機関ではなく、就労移行支援を利用することが適当であるか否か。

利用期間(就労移行支援短時間型)

就労移行支援の標準利用期間(2年間)とし、最大で3年間の支給決定をすることができる。

就労継続支援短時間型

概ね週10時間未満の所定労働時間で一般就労へ移行した場合

対象サービス(就労継続支援短時間型)

  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 生活介護
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)

(令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1 問51)

対象者(就労継続支援短時間型)

企業等での所定労働時間が概ね週10時間未満であることを目安として、非常勤のような形態で一般就労している利用者(通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者※)
※フリーランスや個人事業主といった雇用以外の形態で就労している障害者についても、同様に「通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者」と認められます。

利用条件(就労継続支援短時間型)

以下の条件を満たした場合は、支給決定を行うことができる。

  •  一般就労先の企業等が他の事業所等に通うことを認めている場合
  •  当該利用者が日中活動サービスを受ける必要があると市町村が認めた場合

支給決定にあたっての留意事項(就労継続支援短時間型)

フリーランスや個人事業主といった雇用以外の形態で就労している障がい者についても、同様に「通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者」と認められ、当該利用者が日中活動サービスを受ける必要があると市町村が認めた場合は、支給決定を行うことができます。
各市町村は利用者の状況によって、その必要性について精査したうえで、決定しなければなりません。

利用期間(就労継続支援短時間型)

特段の定めなし。


一般就労している障がい者が休職した場合の休職期間中における復職支援としての就労系障がい福祉サービスの利用については、従来から運用されてきたものについて、令和6年度の報酬改定により法令上の位置づけが明確化されたものです。

一般就労中の一時的な利用については、利用の前提として、自治体において支給決定を受けることが必要です。どのパターンの一時的利用かで提出資料が異なりますので、申請する際は必ず該当自治体に確認するようにしましょう。

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