生活介護とは
生活介護では、障害者支援施設等において、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する障がい者であって、常時介護を要するものにつき、主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び清掃等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な援助を行います。
生活介護の対象者
生活介護を利用できる対象者は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者です。生活介護は比較的障がいの程度が重い方が利用するサービスです。
- 生活介護を利用しようとする者の年齢が50歳未満の場合は、障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者
- 生活介護を利用しようとする者の年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等の入所する場合は区分3)以上である者
- 生活介護と施設入所支援との利用の組合せを希望する者であって、障害支援区分が区分4(50歳以上の者は区分3)より低い者で、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案を作成する手続きを経たうえで、市町村により利用の組合せの必要性が認められた者
生活介護の事業所における基本報酬
生活介護サービス費の基本報酬については、利用者の「障害者支援区分」「利用定員」「所要時間」に応じた報酬単価を算定することになります。「障害者支援区分」が高い方が介護度も高くなるので「障害者支援区分」が高い方が報酬単価(単位)も高く設定されています。
生活介護サービス費
生活介護サービス費/利用定員11人以上20人以下の場合
所要時間 | 障害支援区分 | ||||
区分6 | 区分5 | 区分4 | 区分3 | 区分2以下 | |
3時間未満 | 517 単位/日 |
386 単位/日 |
268 単位/日 |
239 単位/日 |
218 単位/日 |
3時間以上 4時間未満 |
646 単位/日 |
483 単位/日 |
335 単位/日 |
300 単位/日 |
273 単位/日 |
4時間以上 5時間未満 |
774 単位/日 |
578 単位/日 |
401 単位/日 |
358 単位/日 |
327 単位/日 |
5時間以上 6時間未満 |
904 単位/日 |
676 単位/日 |
469 単位/日 |
419 単位/日 |
381 単位/日 |
6時間以上 7時間未満 |
1,258 単位/日 |
941 単位/日 |
652 単位/日 |
583 単位/日 |
532 単位/日 |
7時間以上 8時間未満 |
1,291 単位/日 |
966 単位/日 |
669 単位/日 |
598 単位/日 |
545 単位/日 |
8時間以上 9時間未満 |
1,353 単位/日 |
1,027 単位/日 |
730 単位/日 |
660 単位/日 |
607 単位/日 |
- 「所要時間による区分」については、現に要した時間により算定されるのではなく、個別支援計画に位置づけされた「標準的な時間」に基づき算定されます。この所要時間には、原則として、送迎にようする時間は含まれません。
- 個別支援計画に位置付けられた「標準的な時間」と「実際のサービス提供時間」が合致しない状況が続く場合には、個別支援計画の見直しが必要です。
所要時間に応じた基本報酬を算定する際の留意事項
- 当日の道路状況や天候、本人の心身の状況など、「やむを得ない事情」により、その日の所要時間が個別支援計画に位置付けられた「標準的な時間」よりも短くなった場合には、個別支援計画に位置付けられた「標準的な時間」に基づき算定して差し支えありません。
- 事業所が利用者の居住地域にない場合等であって、送迎時間が往復3時間以上となる場合は、1時間を個別支援計画に位置付ける「標準的な時間」に加えることができます(配慮規定)。ここでの「片道」とは、送迎車両が事業所を出発してから戻ってくるまでに要した時間のことで、往復は往路(片道)と復路(片道)の送迎に要する時間の合計です。
- 一度に複数人を同乗させる送迎ルートを設定して送迎する場合、送迎に要する時間が往復3時間以上となる場合は、配慮規定に該当し、それぞれ1時間を個別支援計画に位置付ける「標準的な時間」として加えることができます(令和6年度報酬改定Q&A VOL4 問2)
- 「医療的ケアスコアに該当する者」「重症心身障害者」「行動関連項目合計点数10点以上の者」「盲ろう者」などであって、障害特性等に起因する「やむを得ない理由」により、利用時間が短時間(サービス提供時間が6時間未満)にならざるを得ない利用者については、日々のサービス利用前の受け入れのための準備やサービス利用後における翌日の受け入れのための申し送り事項の整理、主治医への伝達事項の整理などに長時間を要すると見込まれることから、これらに実際に要した時間を、1日2時間以内を限度として個別支援計画に位置付ける「標準的な時間」として加えることができます。なお、「やむを得ない理由」については、利用者やその家族の意向等が十分に勘案されたうえで、サービス担当者会議において検討され、サービス等利用計画等に位置付けられていることが前提です。
- 送迎時に実施した居宅内での介護等(着替え、ベッド・車いすへの移乗、戸締り等)に要する時間は、個別支援計画に位置付けたうえで、1日1時間以内を限度として、個別支援計画に位置付ける「標準的な時間」として加えることができます。
- 実際の所要時間が、居宅において家族等の就業その他の理由により、個別支援計画に位置付けられた「標準的な時間」よりも長くなって場合には、「実際に要した時間」で算定しても差し支えありません。
生活介護の短時間利用
利用時間が5時間未満の利用者等の割合が、事業所の利用者全体の100分の50以上に該当する場合、算定される単位数は所定単位数の「100分の70」となります。
- ここでいう「利用時間」には、送迎のみを実施する時間は含まれません。
- 送迎に長時間を要する利用者については、利用時間が5時間未満の利用者の割合の算定から除きます。また、利用時間が5時間未満の利用者の割合の算定にあたっては、やむを得ない事情により5時間未満の利用となった利用者を除きます。
※利用者がサービス利用開始後、当該利用者が一時的に事業所を離れ、同日中に再度事業所を訪れてサービス利用を再開した(利用者が中抜けをした)場合は、利用者がサービスを利用した時間を合算します。
生活介護の開所時間減算
運営規程に定める営業時間が6時間未満である場合、「開所時間減算」となり、算定される単位数は、4時間未満の場合は所定単位数の「100分の50」とし、4時間以上6時間未満の場合は所定単位数の「100分の70」となります。
運営規程に定められている 営業時間 |
減算割合 |
4時間以上6時間未満 | 30% |
4時間未満 | 50% |
- ここでいう「営業時間」には、送迎のみを実施する時間は含まれません。
- 個々の利用者の実利用時間は問われません。例えば、6時間以上開所しているが、利用者の事情等によりサービス提供時間が6時間未満となった場合は、減算の対象となりません。また、5時間開所しているが、利用者の事情等によりサービス提供時間が4時間未満となった場合は、4時間以上6時間未満の場合の割合を乗じます。
生活介護の地域区分
「地域区分」というのは、地域間における人件費の差額を考慮して、地域間の支援費の配分方法を調整するために設けられた区分をいいます。障がい福祉の分野においては、類似制度である介護報酬における地域区分との均衡を考慮して、公務員の地域手当の設定に準拠している介護報酬の地域区分の考え方に原則として合わせられています。
奈良県の生活介護の地域区分
地域区分 | 生活介護 | 奈良県 |
---|---|---|
1単位 | ||
6級地 | 10.37円 | 奈良市、大和高田市、大和郡山市、生駒市 |
7級地 | 10.18円 | 天理市、橿原市、桜井市、御所市、香芝市、 葛城市、宇陀市、山添村、平群町、三郷町、 斑鳩町、安堵町、川西町、三宅町、田原本町、 曽爾村、明日香村、上牧町、王寺町、広陵町、 河合町 |
その他 | 10円 | 五條市、吉野町、その他 |
例えば、奈良市(6級地)で生活介護(定員20人)を運営する場合
- 障害支援区分の区分4の利用者の場合 669単位 × 10.34 = 6,917円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者の場合 964単位 × 10.34 = 9,968円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者の場合 1,288単位 × 10.34 = 13,318円/日
となり、奈良市(6級地)の生活介護(定員20人)では、
- 障害支援区分の区分4の利用者1人あたり6,917円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者1人あたり9,968円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者1人あたり13,318円/日
の報酬が算定されることになります。
京都府の生活介護の地域区分
地域区分 | 生活介護 | 京都府 |
---|---|---|
1単位 | ||
5級地 | 10.61円 | 京都市 |
6級地 | 10.37円 | 宇治市、亀岡市、向日市、長岡京市、八幡市、 京田辺市、南丹市、木津川市、精華町 |
7級地 | 10.18円 | 城陽市、大山崎町、久御山町、井手町 |
その他 | 10円 | その他の市町村 |
例えば、京都市(5級地)で生活介護(定員20人)を運営する場合
- 障害支援区分の区分4の利用者の場合 669単位 × 10.61 = 7,098円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者の場合 964単位 × 10.61 = 10,228円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者の場合 1,288単位 × 10.61 = 13,666円/日
となり、京都市(5級地)の生活介護(定員20人)では、
- 障害支援区分の区分4の利用者1人あたり7,098円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者1人あたり10,228円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者1人あがり13,666円/日
の報酬が算定されることになります。
大阪府の生活介護の地域区分
地域区分 | 生活介護 | 大阪府 |
---|---|---|
1単位 | ||
2級地 | 10.98円 | 大阪市 |
3級地 | 10.92円 | 守口市、大東市、門真市 |
4級地 | 10.73円 | 豊中市、池田市、吹田市、高槻市、寝屋川市、 箕面市 |
5級地 | 10.61円 | 堺市、枚方市、茨木市、八尾市、松原市、摂津市、 高石市、東大阪市、交野市 |
6級地 | 10.18円 | 岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、富田林市、 河内長野市、和泉市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、 泉南市、四條畷市、大阪狭山市、阪南市、島本町、 豊能町、能勢町、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町、 太子町、河南町、千早赤坂村 |
その他 | 10円 | その他の地域 |
例えば、大阪市(2級地)で生活介護(定員20人)を運営する場合
- 障害支援区分の区分4の利用者の場合 669単位 × 10.98 = 7,346円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者の場合 964単位 × 10.98 = 10,585円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者の場合 1,288単位 × 10.98 = 14,142円/日
となり、大阪市(2級地)の生活介護(定員20人)では、
- 障害支援区分の区分4の利用者1人あたり7,346円/日
- 障害支援区分の区分5の利用者1人あたり10,585円/日
- 障害支援区分の区分6の利用者1人あたり14,142円/日
の報酬が算定されることになります。
当事務所では、生活介護の開業支援、運営支援を行っております。大阪、京都、奈良で障がい福祉サービスの生活介護を開業したい方は、お電話またはメールにてまずはご相談ください。