放課後等デイサービスにも定期的に実地指導は入ります。放課後等デイサービスの場合は人員基準が複雑ですので正しく理解しておかなければ、知らず知らずのうちにサービス提供職員欠如減算(人員欠如減算)に該当してしまっていた・・・なんてことになりかねません。実地指導で減算項目に該当してしまっていた場合には、制度を知らなかったとしても給付金の返還となってしまいます。
ただ、放課後等デイサービスの実地指導といっても、基本的には「指導」を目的に入ってくるわけですから、放課後等デイサービスの制度や人員基準、設備基準、運営基準を正しく理解して、必要な帳票類や記録類を普段から整備しておけば慌てる必要はありません。
そのため、普段からコンプライアンスを意識した適正な放課後等デイサービスの事業所運営を心掛けるようにしましょう。
放課後等デイサービスの実地指導当日に準備しておく書類は自治体によって若干の違いはありますが、概ね同じ内容になっております。普段から制度を正しく理解し帳票類を整備しておくようにしましょう。
目次
最新の運営規程
放課後等デイサービスの運営規程は放課後等デイサービスを運営するうえでも非常に重要なものです。とくに放課後等デイサービスのような障がい児通所支援ではサービス提供時間内(自治体によっては営業時間内)に児童指導員や保育士を一定数以上配置しなければなりませんので、サービス提供時間や営業時間の記載がされている運営規程の内容を把握しておかなければなりません。
ごくたまにですが、自分の事業所の運営規程も読まずに運営されている事業所さんもありますが、思わぬところで基準違反となってしまう可能性がございます。そのため必ず運営規程には目を通すようにし、いつでも内容を確認できるように保管しておきましょう。
また、運営規程の内容を変更する場合は、指定権者への変更届が必要です。実地指導の際は最新の運営規程を準備しておきましょう。
勤務予定実績表(勤務形態一覧表)
放課後等デイサービスの勤務予定実績表(勤務形態一覧表)は人員配置基準をクリアしているかどうかを判断するために非常に重要な書類です。この勤務予定実績表(勤務形態一覧表)を整備していない事業所もたまに見受けられますが、人員配置を管理できてないということですので、人員配置基準をクリアしているかどうか疑われてしまいます。
勤務予定実績表(勤務形態一覧表)は放課後等デイサービスの人員配置基準をクリアしているか否かを確認するために非常に重要な書類になりますので、毎月の「予定」と「実績」を必ず作成し、ファイリングして保管するようにしましょう。
放課後等デイサービスの毎月の勤務形態一覧表を作成し、放課後等デイサービスの人員配置基準をクリアしていない場合には、「サービス管理責任者欠如減算」や「サービス提供職員欠如減算」に該当し、減算適用となってしまう可能性があります。
放課後等デイサービスの人員配置基準(主として重症心身障害児以外を通わせる場合)
管理者
原則として、専ら当該事業所の管理業務に従事するもの(支障がない場合は他の職務との兼務可)
児童発達支援管理責任者
1人以上(1人以上は専任かつ常勤)
児童指導員 or 保育士
- 1人以上は常勤
- 合計数が以下の区分に応じてそれぞれに定まる数以上
① 障害児の数が10人まで・・・2人以上
② 10人を超えるもの・・・2人に、障害児の数が10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上 - 機能訓練担当職員、看護職員の数を合計数に含めることができる
- 機能訓練担当職員、看護職員の数を合計数に含める場合は、半数以上が児童指導員又は保育士であること
機能訓練担当職員
機能訓練を行う場合に配置する
看護職員
医療的ケアを行う場合に配置する
※ 医療的ケアを必要とする障害児が利用する場合の従業者については、医療機関等との連携により、看護職員を指定放課後等デイサービス事業所に訪問させ医療的ケアを行わせる場合等には、看護職員を置かないことができる。
放課後等デイサービスの人員配置基準(主として重症心身障害児を通わせる場合)
管理者
原則として、専ら当該事業所の管理業務に従事するもの(支障がない場合は他の職務との兼務可)
児童発達支援管理責任者
1人以上
嘱託医
1人以上
児童指導員・保育士・看護職員
- 児童指導員 or 保育士 1人以上
- 看護職員 1人以上
営業時間を通じて、それぞれ1人以上の配置が必要。それぞれ1人以上の配置が必要なため、常勤・非常勤は問わず、複数名で営業時間を通じて配置されている場合も可能。
機能訓練担当職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理指導担当職員)
1人以上
機能訓練を行う時間帯のみの配置で可能(必要に応じて配置)
※ 主として重症心身障害児を通わせる場合の従業者の基準については、次の①~⑤につき各々1人以上配置すること。①嘱託医、②看護職員、③児童指導員or保育士、④機能訓練担当職員(機能訓練を行わない時間帯については、置かないことができる)、⑤児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者欠如減算
指定基準に定める人員配置基準を満たしていない場合、「その翌々月」から「人員欠如が解消されるに至った月」までの間、児童発達支援管理責任者欠如減算が適用されます。
- 減算適用1月目から4月目は、所定単位数の70%を算定(30%の減算)
- 減算適用5月目以降は、所定単位数の50%を算定(50%の減算)
サービス提供職員欠如減算(人員欠如減算)
指定基準に定める人員配置基準を満たしていない場合、1割を超えて欠如した場合には「その翌月から」「人員欠如が解消されるに至った月まで」の間、1割の範囲内で欠如した場合には「その翌々月から」「人員欠如が解消されるに至った月まで」の間、サービス提供職員欠如減算が適用されます。
- 減算適用1月目から2月目は、所定単位数の70%を算定(30%の減算)
- 減算適用3月目以降は、所定単位数の50%を算定(50%の減算)
従業者の勤務状況等の確認ができる書類(タイムカード・出勤簿など)
放課後等デイサービスの事業所で勤務する従業者(スタッフ)の勤務状況がわかる資料(タイムカードや出勤簿など)を整備しておく必要があります。
タイムカードや出勤簿などの実際の勤務状況がわかる書類と上記の勤務予定実績表(勤務形態一覧表)の「実績」記録との整合性をチェックすることによって本当に勤務していたかどうかを確認されます。
勤務形態一覧表は出勤簿などのスタッフの勤務状況がわかる書類をもとに正しく記録するようにしましょう。
従業者の雇用状況等の確認ができる書類(雇用契約書・労働条件通知書など、就業規則)
放課後等デイサービスの実地指導では、労務関係の帳票類もチェックされます。雇用契約書や労働条件通知書などを確認することで、会社と雇用関係にあるスタッフを配置しているかどうかを確認するためです。
就業規則については、常勤か非常勤かの根拠規定が就業規則になります。例えば、就業規則で週所定労働時間が40時間と記載されていれば、常勤か非常勤かの基準は「週40時間」を勤務するかどうかになります。そのため、1週間の所定労働時間の記載を確認するようにしましょう。
また、福祉・介護職員処遇改善加算を算定しているのであれば就業規則の「賃金」に関する部分や就業規則とは別の賃金規程も必須の書類になりますので、キャリアパスプランやキャリアパス規程と一緒に保管するようにしましょう。
従業者の資格証・実務経験証明書
放課後等デイサービスの事業所に勤務するスタッフ(管理者、児童発達支援管理責任者、児童指導員、保育士など)で、研修の終了証や国家資格などを有するスタッフがいる場合は、それらの資格証の写しを保管するようにしましょう。
児童発達支援管理責任者や児童指導員の実務経験証明書や研修修了証の「原本」は、必ず児童発達支援管理責任者や児童指導員などが大切に保持し、放課後等デイサービスの事業所では、その写し(コピー)を保管するようにしましょう。
スタッフの履歴書や労務関係の帳票類をまとめた「従業者台帳」のような台帳を作って一緒に保管しておくとわかりやすいでしょう。
従業者の守秘義務が確認できる書類(誓約書・就業規則・雇用契約書など)
放課後等デイサービスの事業所で働くスタッフには、利用児童やその保護者の情報・事業所の情報を外部に漏らさないようにする守秘義務があります。そのため、スタッフを雇用する際には「機密保持の誓約書」を提出してもらいます。
誓約書には放課後等デイサービスの事業所で働いている期間だけでなく、退職後も秘密情報を第三者に漏らさないような一文を入れておくようにしましょう。
また、誓約書だけでなく、就業規則や雇用契約書にも機密情報や個人情報の取扱い方法を明記しておきましょう。
従業者の健康状態の把握が確認できる書類(健康診断結果の写しなど)
放課後等デイサービスの従業者は、労働安全衛生法に基づいて「雇用時」と雇用後は「年1回」の健康診断を受診する必要があります。常勤者はもちろんですが、所定労働時間の3/4以上の時間を勤務する非常勤者も事業所の費用で受診する必要があります。
健康診断については、受診したことを記録しておくとともに、事業所の費用で受診したことを証明するために、病院からもらった領収書を保管するようにしましょう。
従業者の給与の支払いが確認できる書類(賃金規程、賃金台帳、給与明細等)
放課後等デイサービスの事業所に勤務するスタッフの賃金台帳や給与明細書を保管しておきましょう。
とくに福祉・介護職員処遇改善加算を算定している場合は、どの項目で賃金改善を行っているかを確認される場合があります。指定権者に提出した福祉・介護職員処遇改善加算の「計画書」と「実績報告書」は必ず保管しておくようにしましょう。
業務日誌
放課後等デイサービスの業務日誌については決められた書式はありません。ただ、業務日誌は事業を管理するうえでも重要な書類となります。実地指導でも確認される書類です。
業務日誌を上手に活用して放課後等デイサービスの事業所の1日の動きがわかるように記録を残しましょう。後追いができるように記録を残すことによって業務の効率化にもつながるでしょう。
各種マニュアル
放課後等デイサービスの事業所では各種マニュアルを整備しておく必要があります。必ず事業所実態に即したマニュアルを整備しておくようにしましょう。
- 事故対応マニュアル
- 緊急(急病)時対応マニュアル
- 感染症対策マニュアル
- 苦情相談対応マニュアル
- 虐待防止マニュアル
マニュアルを上手に活用して、事故が起きないように、起きたとしても迅速に冷静に対応できるように準備しておくようにしましょう。
苦情(要望・相談)解決に関する記録
放課後等デイサービスでのサービス提供により苦情が発生した時のために、苦情相談対応マニュアルを整備し、苦情(要望や相談も含む)があった場合は、その記録を残し、改善に向けた取り組みに活かせるようにしましょう。
事故・ひやりはっと報告に関する記録
事故・ひやりはっと事例が発生した際は、適切に記録し、その原因を解明し、再発を防ぐための対策を講じるようにしましょう。ひやりはっとの事例は定期的に会議で検討するなどして大きな事故にならないように対策を取るようにします。
研修に関する記録(人権研修、内部研修、外部研修)
利用者の人権擁護、虐待防止の観点から、従業者に対し1年に1回以上、「人権に関する研修」を実施し記録を残すようにしましょう。また、人権研修以外にも以下のような委員会活動や研修を行う必要があります。
ハラスメント対策の強化
ハラスメント(パワハラおよびセクハラ)を防止するための措置を講ずべき義務があります。
職場におけるハラスメント(パワハラおよびセクハラ)の内容および職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発するようにしましょう。
虐待防止委員会
- 令和4年4月から義務化されています。
- 虐待防止については、指針の整備については必須ではありませんが作成することが望ましいとされています。
- 年1回以上の委員会活動と、年1回以上・新規採用時の研修を行い、必ず会議録などの記録を残すようにしましょう。
身体拘束適正化検討委員会
- 令和4年4月から義務化されています。
- 身体拘束については指針の整備(作成)は必須です。
- 年1回以上の委員会活動と、年1回以上・新規採用時の研修を行い、必ず会議録などの記録を残すようにしましょう。
感染対策委員会
- 令和6年4月から義務化されます。
- 事業所における「感染症の予防及びまん延防止並びに食中毒の予防」についての指針を整備しておく必要があります。
- 放課後等デイサービスについては、委員会の開催頻度は3ヶ月に1回以上、研修は年2回以上と新規採用時、訓練は年2回以上行う必要があります。必ず会議録や議事録などの記録残しておくようにしましょう。
業務継続計画(BCP)
- 令和6年4月から義務化されます。
- 「感染症に係る業務継続計画」と「災害に係る業務継続計画」を作成する必要があります。
- 定期的な(概ね1年に1回)見直しを行い、年1回以上の研修と年1回以上の訓練を行う必要があります。
項目 | 指針・方針・計画 | 委員会・研修・訓練 |
---|---|---|
ハラスメント対策の強化 ・セクハラ(令和3年4月より義務化) ・パワハラ(令和4年4月より義務化) |
方針の明確化 | ― |
虐待防止委員会 (令和4年4月より義務化) |
指針の整備 (望ましい) |
委員会:少なくとも年1回 研修:年1回以上+新規採用時 |
身体拘束適正化検討委員会 (令和4年4月より義務化) (令和5年4月より減算適用) |
指針の整備 (必須) |
委員会:少なくとも年1回 研修:年1回以上+新規採用時 |
感染対策委員会 (平常時の対応・発生時の対応) (令和6年4月より義務化) |
指針の整備 (必須) |
委員会:3月に1回以上 研修:年2回以上+新規採用時 訓練:年2回以上 |
業務継続計画(BCP)策定 ・感染症に係る業務継続計画 ・災害に係る業務継続計画 (令和6年4月より義務化) |
業務継続計画 の策定 |
見直し:定期的に 研修:年1回以上+新規採用時 訓練:年1回以上 |
安全計画の策定
令和5年4月1日より安全に関する事項についての計画(安全計画)を策定することとされています(令和5年4月1日からは努力義務。令和6年4月1日から義務化)
事業所は、当該年度が始まる前に、年間スケジュール(安全計画)を定める必要があります。安全計画の作成にあたっては、「事業所等が行う児童の安全確保に関する取組と実施時期例」を参考に、必要な取組を安全計画に盛り込みます。
事業所等が行う児童の安全確保に関する取組と実施時期例
(こども家庭庁支援局障害児支援課 令和5年7月4日事務連絡 別添資料4参照)
実施時期 | 取組内容 |
---|---|
年度始め (4月前) |
・園内外の安全点検に関する年間スケジュールを定める ・リスクが高い局面や緊急時の行動マニュアルを策定( 見直し)し、職員間に共有、必要に応じ、掲示すること。 ・各種訓練(災害・救急対応・不審者対応・119番通報) の実施に関する年間スケジュールを定める。 ・自治体が実施する年間の研修を把握し、参加スケジュ ールを確認する。 ・職員の採用時等の研修機会確保のため、オンライン研修 等の手段をあらかじめ把握する。 ・保護者に園での安全対策を共有するとともに、家庭内で の安全教育の実施を依頼する。 ・児童への交通安全を含む安全指導のため、地域の関係 機関とも連携し、年齢別の指導方法を定める。 |
6月頃 | ・水遊び・プール活動のマニュアルを職員に再周知・共有 するとともに、必要に応じてマニュアルを見直す。 |
11月頃 | ・降雪時等の屋外での活用のマニュアルを職員に再周知・ 共有するとともに、必要に応じてマニュアルを見直す。 |
随時 | ・職員の採用時等にオンライン研修等の受講機会を設ける。 ・保護者に園での安全対策を共有するとともに、家庭内での 安全教育の実施を依頼する。 |
事故発生時 | ・発生した事案の分析と再発防止策を検討し、安全点検や マニュアルに反映するとともに、職員・保護者に周知する。 |
送迎記録、車検証の写し
放課後等デイサービスの事業所で送迎サービスを実施している場合は、車両運行記録と車検証の写しが必要です。また、事故が起こったときのために損害保険には加入するようにしましょう。
送迎にあたっての安全管理の義務付け
令和5年4月1日より、以下の2点が義務となります(令和6年3月31日までの間、車内の園児の所在の見落としを防止するための代替的な措置を講ずることとして差し支えない)。
① 園児等の通園や園外活動等のために自動車を運行する場合、園児等の自動車への乗降の際に、点呼等の方法により園児の所在を確認すること。
② 通園用の自動車を運行する場合は、当該自動車にブザーその他の車内の園児等の見落としを防止する装置を装備し、当該装置を用いて、降車時の所在確認をすること。
送迎にあたっての安全管理の義務付けの留意事項
所在確認
上記①の所在確認は、送迎用バスの運行に限らず、園外活動のほか園児等の移動のために自動車を運行するすべての場合が対象となります。
安全装置に係る義務付けの対象となる自動車
通園を目的とした自動車のうち、座席(車いすを使用する園児が当該車いすに乗ったまま乗車するためのスペースを含む)が2列以下の自動車を除くすべての自動車が原則として安全装置に係る義務付けの対象となります。
なお、座席が2列以下の自動車と同様に義務付けから除外される「その他利用の態様を勘案してこれと同程度に園児の見落としのおそれが少ないと認められるもの」(基準省令第40条の3)については、例えば、座席が3列以上あるが、園児が確実に3列目以降を使用できないように園児が確実に通過できない鍵付きの柵を車体に固着させて2列目までと3列目以降を隔絶することなどが考えられます。
装備すべき安全装置
「ブザーその他の車内の園児の見落としを防止する装置」(基準省令第40条の3)は、国土交通省が策定した「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン」に適合するものであることが必要です。
協力医療機関等との契約書、連携記録書など
「協力医療機関との契約書(誓約書、協定書)の写し」は放課後等デイサービスの指定申請の添付書類ですが、原本を保管しているかどうかを確認されます。指定時にお医者さんに押印していただいた協力医療機関との契約書(誓約書、協定書)は必ず大切に保険しておくようにしましょう。
非常災害対策に関する書類
- 避難訓練実施記録
- 消防計画(消防避難マニュアル)
- 水害時の避難確保計画
事業所は非常災害に備えるため、少なくとも年2回以上定期的に避難、救出その他必要な訓練を行うようにしましょう。また、風水害等自然災害に備えるため、適切に避難訓練等を行うことが必要です。
重要事項説明書、利用契約書、個人情報の使用に関する同意書(3点セット)
放課後等デイサービスの利用にあたり、児童の保護者と重要事項説明書、利用契約書、個人情報の使用に関する同意書を締結する必要があります。
放課後等デイサービスを運営する際には個人情報の保護が大切になります。個人情報の使用同意書について、サービス担当者会議等で使用することや、他の障がい福祉サービス事業所に情報提供する場合があるなど、個人情報を使用することについて、利用者の他その家族(個人情報利用する可能性がある家族全員)からあらかじめ文書による同意を得ておくようにしましょう。
児童の受給者証の写し
放課後等デイサービスを利用する利用者さん(児童・保護者)の受給者証をコピーし、そのコピーを放課後等デイサービスの事業所で保管するようにします。
受給者証には、受給者証番号や支給決定などの情報が記載されています。この情報は国保連へ障害児通所支援給付費を請求する際にも必要な情報になります。また、支給期間の更新の管理も大切な仕事になります。
契約内容報告書の写し
放課後等デイサービスの事業所は、児童(保護者)と障害児通所支援の利用契約を締結した場合には、「契約内容報告書」を市町村へ提出します。この書類も市町村へ提出する際には「控え」をとるようにして、保管するようにしましょう。
サービス提供に関する計画書(個別支援計画など)及び計画の作成に関する書類(アセスメント、モニタリング記録など)
放課後等デイサービスのサービスを提供する際には、一連の流れに沿った放課後等デイサービスを提供する必要があります。そのため、一連の流れに沿ったサービスを提供していることを証明できるように個別支援計画などの帳票類を整備する必要があります。
放課後等デイサービスの個別支援計画の作成プロセスは、アセスメント→個別支援計画の「原案」の作成→支援担当者会議→正式な個別支援計画の説明・同意・交付→モニタリングという流れになります。
この放課後等デイサービスのサービス提供の一覧の流れで、「支援担当者会議」の記録が抜けているケースがあります。記録が残ってないため一連の流れに沿った放課後等デイサービスを提供しているとは認められず、「個別支援計画の未作成」と判断されてしまう可能性があります。
とすると、「個別支援計画未作成減算」が適用されてしまって障害児通所支援給付費の減算となってしまう可能性がありますので注意しましょう。
個別支援計画未作成減算
放課後等デイサービス利用計画(個別支援計画)が作成されずにサービスが提供された場合、「当該月」から「当該状態が解消されるに至った月の前月」までの間、減算が適用されます。
- 減算適用1月目から4月目 所定単位数の70%を算定(30%の減算)
- 減算適用3月目以降 所定単位数の50%を算定(50%の減算)
サービス提供記録(サービス提供実績記録票以外のもの)
放課後等デイサービスの事業者は、日々の「サービス提供記録」を作成して保管する必要があります。放課後等デイサービスの事業所さんによっては「日報」や「ケース記録」と呼んでいます。毎日の利用者さんの活動記録や体調の様子などを記録して、後の支援のために役立たせます。
サービス担当者会議に係る記録など
障害児相談支援事業所が児童の保護者の相談支援を行っている場合、相談支援事業所の相談支援員と放課後等デイサービスの児童発達支援管理責任者とでサービス担当者会議が行われます。そのサービス担当者会議の議事録を保管しておく必要があります。
障害児通所給付費明細書の写し(国保連請求分)
放課後等デイサービスの事業所は、サービス提供の報酬を国保連に請求した際の「障害児通所支援給付費等明細書」の写しを保管しておく必要があります。
サービス提供実績記録票
放課後等デイサービスの場合、サービス提供実績記録票は作成し、このサービス提供実績記録票が請求の根拠資料となります。
このサービス提供実績記録票の「利用者確認欄」については、原則としてサービス提供の都度、利用者さんに対して実績記録票の記載内容を提示し、確認を求めなければなりません(参照:事務処理要領)
そのため、1ヶ月分をまとめて確認を求めている場合には、自治体によっては指摘されますので注意しましょう。
法定代理受領の通知の写し
放課後等デイサービスの事業所に支払われるサービスの利用料(障害児通所支援給付費)は、本来は国から利用者に一度支払われてその後に利用者から放課後等デイサービスの事業所に支払われるという流れになるのですが、実務的には、放課後等デイサービスの事業所が利用者の代わりに国保連に請求し、直接、放課後等デイサービスの事業所にサービス利用料(障害児通所支援給付費)が支払われるとう流れになります。この制度を「法定代理受領」といいます。
そして、放課後等デイサービスの事業所は、国保連からサービスの利用料(障害児通所支援給付費)の支払いを受けた場合は、利用者さん(保護者)ごとに「法定代理受領の通知」を利用者さんに交付しなければなりません。
この法定代理受領の通知を利用者さんに交付する場合には、国保連にサービス利用料を請求した際の「障害児通所支援給付費明細書」の写しも一緒に交付して、利用者さん(保護者)がその内訳も理解できるようにしましょう。
利用者等に交付した請求書・領収書の写し
放課後等デイサービスの利用者さんに、サービス利用料の一部を請求する場合や食費などを請求する場合には、請求書や領収書の写しを保管するようにしましょう。放課後等デイサービスでは創作活動にかかった費用とおやつ代などを受け取った場合には領収書を発行する必要があります。
各種加算の算定要件を満たしていることが確認できる書類
放課後等デイサービスの事業所として、児童指導員等加配加算や専門的支援加算などの加算尾算定要件を満たしていることを証明できる帳票類を整備しておかなければなりません。
必要な記録や帳票類は加算の種類によって異なりますので、その加算の算定要件を正しく理解して記録や帳票類を保管するようにしましょう。
福祉・介護職員処遇改善加算
毎年、指定権者に提出している「福祉・介護職員処遇改善加算計画書」と「福祉・介護職員処遇改善加算実績報告書」を保管していることが必要です。
また、処遇改善加算の「計画書」や「キャリアパスプラン」はスタッフに「周知」している必要がありますので、周知した際の議事録などを残すなどして「どのような方法で周知しているのか」を証明できるようにしておきましょう。
欠席時対応加算
欠席時対応加算は、利用者が急病等により利用を中止した際に、連絡調整や相談援助を行った場合に、月4回まで加算されます。
欠席時対応加算については、相談援助の内容を記録しておく必要がありますが、その記録には、①欠席の連絡を受けた日付、②欠席する日、③連絡を受けたスタッフの名前、④利用者の状況・欠席の理由、⑤引き続き就労移行支援の利用を促すような相談援助の内容(次回通所予定日など)などの記録を残しておくようにしましょう。
定員超過利用減算に係る利用実績記録票
放課後等デイサービスの定員超過減算に該当するかどうか確認するために、定員超過利用減算に係る利用実績記録票(定員超過利用減算確認表など)を整備しておく必要があります。
定員超過利用減算については、「1日あたりの超過」と「直近3ヶ月間の平均利用者数の超過」との2パターンがありますので注意しましょう。
定員超過利用減算
以下のいずれかに該当する場合には定員超過利用減算が適用され、所定単位数の70%を算定(30%の減算)することになります。
- 1日あたりの利用者数が、定員が50人以下の場合は当該定員の150%を、定員が51人以上の場合は、当該定員から50を差し引いた員数の125%に75を加えた数を、それぞれ超過している場合
- 過去3ヶ月間の平均利用者数が、定員の125%を超過している場合(ただし、定員が11人以下の場合は当該定員に3を加えた数を超過している場合)
会計の区分(部門別会計)
会計を事業ごと(事業所や施設ごとではなく指定事業ごと)に区分する必要があります。
放課後等デイサービスの場合は、児童発達支援事業と多機能で行っている場合は、別々に会計記録を残しておく必要があります。
賠償保険の証書等(保険証券)
事業者賠償責任保険に加入していることを証明するために保険証券を保管しておきましょう。放課後等デイサービスの指定申請の際にも事業者賠償保険の加入は必須ですが、実地指導の際には、保険の期限が切れていないかを確認されます。期限が途切れることなく事業者賠償保険に加入し、保険証券を大切に保管するようにしましょう。
事業所の広告、パンフレット
放課後等デイサービスの事業所に、広告やパンフレットがある場合には、それらの広告物も準備しておきます。利益を提供して利用者さんを集めるような表記となっていないかなど、適切な表現となっているかどうかを確認されます。
指定申請書・変更届出書などの写し
放課後等デイサービスを開業する際に提出した「指定申請書類」の副本(控え)や、申請事項を変更した場合の「変更届」の副本(控え)は適切に保管するようにしましょう。
集団指導資料
放課後等デイサービスの集団指導を受けた際の資料を保管するようにしましょう。放課後等デイサービスに限らず集団指導の資料が事業所を運営する際にも非常に勉強になる資料ですので必ず目を通して放課後等デイサービスの制度を正しく理解するようにしましょう。
放課後等デイサービスの実地指導については、放課後等デイサービスの人員基準、設備基準、運営基準を正しく理解して、普段から記録を残すようにしておけば実地指導の通知がきたからといって慌てる必要はありません。むしろ実地指導の通知がきてから慌てているようでは適切な運営がされているとは言えません。
また、指導指針や監査指針である「指定障害福祉サービス事業者等の指導監査について」令和2年7月17日改正(障発0717第2号)も参考にしながら帳票類の確認を行うことも有益でしょう。
当事務所では、放課後等デイサービスの事業所様が実地指導の通知がきたからといって慌てることなく普段から適切な事業所運営ができるように、月額顧問料という形でコンサルティングサービスを提供しております。
放課後等デイサービスの事業所運営について不安がある事業所様は、当事務所のコンサルティングサービスをご検討ください。