医療連携体制加算というのは、障がい福祉サービス事業所と医療機関等(訪問看護ステーションも含む)との連携により、障がい福祉サービス事業所等に看護師が訪問し、当該看護職員が障がい者や障がい児に対して看護の提供又は認定特定行為業務従事者に対し喀痰吸引等に係る指導を行った場合に加算されるものです。
医療連携体制加算の対象となるサービス
- グループホーム(共同生活援助)、ショートステイ(短期入所)
- 就労系(自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労選択支援)
- 障がい児通所支援(放課後等デイサービス、児童発達支援)
- 重度障害者等包括支援
対象となるサービスによって医療連携体制加算の報酬体系も若干の違いがあります。
※重度障害者等包括支援については割愛します。
医療連携体制加算の3つの性質(対象サービス共通の考え方)
医療連携体制加算の各区分は、大きく3つの性質に分かれます。この分類を理解すると、どの区分を検討すべきか整理しやすくなります。
| 区分 | 単位数 | 要件(概要) |
|---|---|---|
| ① 看護提供型 | 利用者数・時間 に応じた単位 |
看護職員が実勢に利用者へ看護を提供した場合に算定。 医療的ケアの要否・時間の長さで単位が変わる。 |
| ② 指導実施型 | 定額 | 看護職員が介護職員等(認定特定行為業務従事者)へ喀痰吸引等の指導を行う、 またはその職員が実際に喀痰吸引等を実施した場合に算定。 |
| ③ 体制評価型 | 定額 (低単位) |
日常的な健康管理・緊急時対応ができる体制を整備し、都道府県知事等へ 事前届出をしている場合に算定。実際にその日ケアを行ったかは問わない。 |
※ 医療連携体制加算は、令和3年度の障害福祉サービス事業報酬改定で大きく改正されました。改正前はどの利用者さんに対する医療的ケアでも単価が高いものでしたが、改正後は「医療的ケアを必要とする利用者や児童」に対する医療的ケアについては単価が高くなり、そうでない利用者や児童に対しての医療的ケアについては単価が低く設定されました。
※ その後、令和6年度(2024年度)障害福祉サービス等報酬改定でも一部見直しが行われています。とくに障がい児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)では医療連携体制加算(Ⅶ)の単位数引き上げなどが行なわれています(詳細はそれぞれの該当箇所を参照)。
グループホーム(共同生活援助)における医療連携体制加算
| 区分 | 加算単位数 | 要件 | 人数上限 | |
|---|---|---|---|---|
| 医療連携 体制加算 (Ⅰ) |
32単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅱ) |
63単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間以上2時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅲ) |
125単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (2時間以上) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅳ) |
利用者 1人 |
800単位/日 | 「医療的ケアを必要とする利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 |
8人 |
| 利用者 2人 |
500単位/日 | |||
| 利用者 3人以上 8人以下 |
400単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅴ) |
500単位/日 | 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る 指導のみを行った場合 |
看護職員 1人につき |
|
| 医療連携 体制加算 (Ⅵ) |
100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を 実施した場合 |
||
| 医療連携 体制加算 (Ⅶ) |
39単位/日 | 日常的な健康管理、医療ニーズへの適切な対応 がとれる等の体制を整備している事業所の場合 |
||
共同生活援助における医療連携体制加算の併算定制限
共同生活援助において以下の加算を算定している場合には、併せて医療連携体制加算は算定できません。
- Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ:その利用者について「看護職員配置加算」「医療的ケア対応支援加算」を算定しているとき
- Ⅳ:その利用者について「看護職員配置加算」「医療的ケア対応支援加算」「同日に Ⅰ ~ Ⅲのいずれか」を算定しているとき
- Ⅴ:「看護職員配置加算」「医療的ケア支援加算」を算定しているとき
- Ⅵ:その利用者について「医療的ケア対応支援加算」「同日に Ⅰ ~ Ⅲ のいずれか」を算定しているとき
- Ⅶ:その利用者について「看護職員配置加算」「医療的ケア対応支援加算」を算定しているとき
短期入所(ショートステイ)における医療連携体制加算
| 区分 | 加算単位数 | 要件 | 人数上限 | |
|---|---|---|---|---|
| 医療連携 体制加算 (Ⅰ) |
32単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅱ) |
63単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間以上2時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅲ) |
125単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (2時間以上) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅳ) |
利用者 1人 |
960単位/日 | 「医療的ケアを必要とする利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (4時間未満) |
8人 |
| 利用者 2人 |
600単位/日 | |||
| 利用者 3人以上 8人以下 |
480単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅴ) |
利用者 1人 |
1,600単位/日 | 「医療的ケアを必要とする利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (4時間以上) |
8人 |
| 利用者 2人 |
960単位/日 | |||
| 利用者 3人以上 8人以下 |
800単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅵ) |
利用者 1人 |
2,000単位/日 | 「高度な医療的ケアを必要とする利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (8時間以上) |
3人 |
| 利用者 2人 |
1,500単位/日 | |||
| 利用者 3人 |
1,000単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅶ) |
500単位/日 | 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る 指導を行った場合 |
看護職員 1人につき |
|
| 医療連携 体制加算 (Ⅷ) |
100単位/日 | 研修を受けた介護職員等に喀痰吸引等の 指導を行った場合 |
||
| 医療連携 体制加算 (Ⅸ) |
39単位/日 | 日常的な健康管理、医療ニーズへの適切な対応 がとれる等の体制を整備している事業所の場合 |
||
短期入所における医療連携体制加算の対象者の限度
加算(Ⅵ)は、1回の訪問につき3人までです。また、看護職員1人が看護することが可能な利用者数は(Ⅴ)または(Ⅵ)の利用者を合算して3人までです。
自立訓練(生活訓練)、就労移行、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労選択支援における医療連携体制加算
| 区分 | 加算単位数 | 要件 | 人数上限 | |
|---|---|---|---|---|
| 医療連携 体制加算 (Ⅰ) |
32単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅱ) |
63単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間以上2時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅲ) |
125単位/日 | 「医療的ケアを必要としない利用者」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (2時間以上) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅳ) |
利用者 1人 |
800単位/日 | 「医療的ケアを必要とする利用者」 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 |
8人 |
| 利用者 2人 |
500単位/日 | |||
| 利用者 3人以上 8人以下 |
400単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅴ) |
500単位/日 | 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る 指導のみを行った場合 |
看護職員 1人につき |
|
| 医療連携 体制加算 (Ⅵ) |
100単位/日 | 研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を 実施した場合 |
||
放課後等デイサービス、児童発達支援における医療連携体制加算
| 区分 | 加算単位数 | 要件 | 人数上限 | |
|---|---|---|---|---|
| 医療連携 体制加算 (Ⅰ) |
32単位/日 | 「医療的ケアを必要としない障害児」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅱ) |
63単位/日 | 「医療的ケアを必要としない障害児」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (1時間以上2時間未満) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅲ) |
125単位/日 | 「医療的ケアを必要としない障害児」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (2時間以上) |
8人 | |
| 医療連携 体制加算 (Ⅳ) |
障がい児 1人 |
800単位/日 | 「医療的ケア児」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (4時間未満) |
8人 |
| 障がい児 2人 |
500単位/日 | |||
| 障がい児 3人以上 8人以下 |
400単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅴ) |
障がい児 1人 |
1,600単位/日 | 「医療的ケア児」へ 看護職員が事業所を訪問して看護を行った場合 (4時間以上) |
8人 |
| 障がい児 2人 |
960単位/日 | |||
| 障がい児 3人以上 8人以下 |
800単位/日 | |||
| 医療連携 体制加算 (Ⅵ) |
500単位/日 | 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る 指導のみを行った場合 |
看護職員 1人につき |
|
| 医療連携 体制加算 (Ⅶ) |
250単位/日 | 研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を 実施した場合 |
||
医療連携体制加算(Ⅶ)については、令和6年度改定で報酬単位が引き上げられました。また、(Ⅶ)は、主として重症心身障害児を支援する事業所も算定対象に追加されました。
医療的ケア区分の基本報酬との併算定制限
医療的ケアが必要な児童については「医療的ケア判定スコア」に応じた基本報酬の区分(医療的ケア区分/重症心身障害児区分)があります。この基本報酬を算定している事業所は、医療連携体制加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を併せて算定することはできません(医療的ケア児が3人以上利用する場合は、原則として医療的ケア区分の基本報酬を算定することとされています)。
医療連携体制加算の算定要件
看護提供型・指導実施型の算定要件
看護提供型・指導実施型の区分を算定する場合、次の要件を満たす必要があります。
医師の指示書
- 利用者一人ひとりに対し、なぜ医療的ケアが必要なのか明確にされていること
- 指示書を記載する医師が、利用者の状態や施設の状況を十分に理解していること
- 指示書に具体的な看護内容(理由・必要回数・内容等)が記載されていること
- 指示書は有効期間内のものであること
個別支援計画への反映
- 個別支援計画に「医療連携」の内容が明記されていること
医療機関等との委託契約(書面)
- 当該医療機関・訪問看護ステーションと委託契約を締結していること
- 契約書に対象者・訪問日・看護内容・緊急時連絡方法・費用負担等が明記されていること
本人の同意書
- 医師・看護師へ個人情報を提供することについて、事前に同意書を得ていること
看護記録の保管
- 看護師が医療的ケアを行った都度「看護記録」を作成していること
- 記録の控えが事業所に保管されていること
- 「医療的ケアを受けた結果どうなったか」等の記録がなされていること
- 看護は医師の指示書に基づいて行われること
体制評価型/共同生活援助(Ⅶ)・短期入所(Ⅸ) の詳細要件
39単位/日の体制評価型区分は、「その日に看護を提供したか」ではなく「日常的にそういう体制が整っているか」を評価するものです。次の4点をすべて満たし、事前に届出を行う必要があります。
① 看護師の確保
- 事業所の職員として看護師を配置する、または医療機関・訪問看護ステーション等と連携(契約)して看護師を確保する
- 職員として配置する場合:管理者・サービス管理責任者・世話人・生活支援員のいずれかとして配置(同一法人内の他事業所との兼務可)
- 委託の場合:看護師として専従で従事すること(他事業所への訪問看護との兼務は可)
- 准看護師は対象外(正看護師であること)
- 看護師1人あたりの担当利用者数は20人が上限(法人内外の兼務分も合算)
② 具体的サービス提供に必要な時間の確保(看護師の勤務状況)
- 利用者への日常的な健康管理を行う時間があること
- 通常時・状態悪化時における医療機関(主治医)との連絡調整を行う時間があること
③ 24時間の連絡体制(看護師に24時間常時連絡できる体制の整備)
- 世話人等 → 看護師 → 医療機関、という常時連絡できる体制が整っていること
④「重度化した場合における対応に係る指針」の整備
- 指針を作成し、入居(利用開始)時に利用者・家族へ説明、同意を得ていること
- 指針には急性期における医師・医療機関との連携体制、入院期間中の家賃・食材料費の取扱い等を記載
- 説明・同意を得た事実を記録に残していること
医療連携体制加算のQ&A
Q.医療連携体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)においては、「看護職員が事業所を訪問して」とあるが、事業所等が看護職員を雇用して配置した場合は加算の対象となるか?
A.事業所等が看護職員を雇用して医療的ケア又は喀痰吸引等に係る指導を行った場合も加算の対象となる。ただし、この場合も医師の指示に基づいて行われる必要がある。また、人員基準上、配置が求められている従業者のうち保健師、看護師、准看師の資格を有する者が、医療的ケア又は喀痰吸引等に係る指導を行った場合についても加算の対象になるが、その場合は当該業務に係る勤務時間は基準上必要な常勤換算の時間数には含めることはできない。
(出典:平成21年度障がい福祉サービス報酬改定に係るQ&A(VOL.2平成21.4.30)問1-3の一部修正)
Q.協力医療機関との連携により、定期的に診察する医師、訪問する看護師で医療連携体制加算(Ⅴ)(グループホーム)の算定は可能か。
A.医療連携体制加算(Ⅴ)は、高齢の障がい者や医療ニーズのある者であっても、可能な限り継続してグループホームに住み続けられるように、看護師を確保することによって、日常的な健康管理を行ったり、医療ニーズが必要となった場合に適切な対応が取れるような体制を整備している事業所を評価するものです。そのため、看護師を確保することなく、単に協力医療機関の医師による定期的な診療が行われているだけでは算定できません。また、協力医療機関との契約のみでは算定できません。
なお、協力医療機関との契約内容が、看護師の配置について医療連携体制加算(Ⅴ)を算定するに足りる内容であれば、算定することはあり得ます。
(出所:平成26年度障がい福祉サービス報酬改定に係るQ&A(平成26.4.9事務連絡))
Q.令和3年度の報酬改定によって、医療連携体制加算の必要性によって報酬区分が異なる取扱いになり、医師からの指示があれば医療的ケアを必要としない利用者に対する看護についても加算の算定が可能であることが明確となったが、バイタルサインの測定のみを行う場合も加算の対象となるのか?
利用者の状態によっては、バイタルサインの測定が医師からの看護の提供に係る指示によるものであれば加算の対象として差し支えなく、単にバイタルサインの測定のみを行うことをもって加算の対象外とはならない。また、医師からの指示書にバイタルサインの測定を行う目的や病態変化時のバイタルサインの変動等について記載してもらう等、バイタルサイン測定の必要性の根拠を明確にすること。
(出典:令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1問11)
※バイタルチェックというのは、呼吸・心拍・体温・血圧・瞳孔反応などのバイタルサインをチェックすることをいい、バイタルサインとは、「生命徴候」のことで、「呼吸」「脈拍」「体温」「血圧」「意識レベル」の5つがバイタルサインの基本です。
医療連携体制加算は運営指導でかなり厳しく見られます。
医療連携体制加算は、加算単価が大きく、事前の加算届も基本的に不要です(Ⅸ(短期入所)Ⅶ(共同生活援助)以外)。そのため、行政による事前の要件チェックがなされていない、つまりフィルターを通っていない状況ですので、運営指導で否認される可能性も高いといえます。そして、運営指導で否認されてしまうと、金額が大きいことからその返還額も大きくなってしまいます。
そのため、必要となる帳票類が整備されているのはもちろんですが、利用者や児童への医療的ケアが本当に必要なのかということを事業所判断だけでなく医師と連携しながら慎重に検討するようにしましょう。
医療連携体制加算は報酬額が高いので事業所にとっては魅力的な加算ですが、医療機関や訪問看護ステーション等への報酬支払が発生するのが一般的です。そのため、事業所の手元に残る利益はそれほど多くはありません。にもかかわらず、実地指導で否認されると全額返還となってしまう可能性もありますので、事業所にとっては非常にリスクの高い加算といえるでしょう。








