目標工賃達成指導員配置加算とは、就労継続支援B型の事業所で利用者の工賃向上計画を作成し、目標工賃を達成させるために通常の人員配置よりも手厚い人員を配置し、目標工賃の達成に向けた取り組みを行う場合に算定される加算です。
人員配置を手厚くできる就労継続支援B型の事業所様は、この目標工賃達成指導員配置加算が取れないかを検討していただきたいのですが、是非とも検討していただきたいタイミングとしては、以下の「目標工賃達成指導員配置加算を算定するタイミング」にもあるように「指定時から6ヶ月の実績ができて人員配置の要件が緩やかになったタイミング」です。
目標工賃達成指導員配置加算の報酬単価
目標工賃達成指導員配置加算の報酬単価は、就労継続支援B型の利用定員によって異なります。
利用定員 | 報酬単価 |
---|---|
20人以下 | 89単位/日 |
21人以上40人以下 | 80単位/日 |
41人以上60人以下 | 75単位/日 |
61人以上80人以下 | 74単位/日 |
81人以上 | 72単位/日 |
例えば、就労継続支援B型の利用定員が20人の事業所で目標工賃達成指導員配置加算を算定した場合
- 報酬単価 89単位/日
- 月稼働日数 20日
- 利用者数 15人
- 地域単価 10円
とすると、89単位×20日×15人×10円=267,000円/月となります。
目標工賃達成指導員配置加算の算定要件として、目標工賃達成指導員を常勤加算方法で1人以上配置する必要があることを考えると、1人分の人件費位にはなりますが、新たに人を雇用して目標工賃達成指導員配置加算の算定に挑戦するというよりも、すでに配置している人員に余剰が出た場合にこの目標工賃達成指導員配置加算を検討するという方法の方が事業所の経営的にも合理的でしょう。
目標工賃達成指導員配置加算の算定要件
目標工賃達成指導員配置加算を算定するには、以下の要件を満たしていることが必要です。
① 目標工賃達成指導員を常勤加算方法で1人以上配置すること
※目標工賃達成指導員に資格要件はありませんが、管理者や職業指導員等との同時並行的な兼務は認められません。管理者や職業指導員等としての勤務時間と目標工賃達成指導員としての勤務時間を明確に区別する場合は、それぞれの勤務時間を常勤換算に算入することは可能です。
② 職業指導員及び生活支援員の総数が常勤加算方法で7.5:1以上であること
③ 目標工賃達成指導員、職業指導員、生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上であること
④ 工賃向上計画を作成していること
目標工賃達成指導員は、利用者の「工賃向上計画」を作成し、この計画に掲げた工賃目標の達成に向けて積極的に取り組むことが求められています。
また、目標工賃達成指導員配置加算を算定するには、事前の届出が必要ですので、算定したい月の前月の15日までに加算届を提出するようにしましょう。
目標工賃達成指導員配置加算を算定するタイミング
目標工賃達成指導員配置加算は、上記のように月額で30万円弱位の報酬を見込める加算ですので、事業所としては人員配置に余裕があるなら是非とも算定したい加算です。また、利用者さんの工賃向上にもつながる取組みですので挑戦してみる価値はあるのではないでしょうか?
ただ、目標工賃達成指導員配置加算は、上記の算定要件からもわかるように、就労継続支援B型の通常の人員配置よりも手厚い人員を配置することができる場合に認められる加算です。
上記の算定要件で、
② 職業指導員及び生活支援員の総数が常勤加算方法で7.5:1以上であること
③ 目標工賃達成指導員、職業指導員、生活支援員の総数が常勤換算方法で6:1以上であること
とありますが、②の「7.5:1以上」③の「6:1以上」とあるのは、「(平均)利用者数」を基準に計算したものになります。
②の算定要件であれば、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)を算定していることをいいますが、就労継続支援B型の利用定員が20人であっても前年度(または直近6ヶ月間、直近1年間)の「(平均)利用者数」が18人となった場合には、18人÷7.5=2.4となり、職業指導員及び生活支援員の総数が常勤加算方法で2.4以上になるように人員配置される必要があります。
※職業指導員、生活支援員のうち一人以上は常勤である必要があります。
③の算定要件であれば、就労継続支援B型の利用定員が20人であっても前年度(または直近6ヶ月間、直近1年間)の「(平均)利用者数」が18人となった場合には、18人÷6=3となり、目標工賃達成指導員、職業指導員、生活支援員の総数が常勤加算方法で3以上になるように人員配置される必要があります。
※目標工賃達成指導員は常勤加算方法で1以上の配置が必要です。
上記のように、目標工賃達成指導員の配置は「(平均)利用者数」をもとに計算した数値が基準になります。
とすれば、就労継続支援B型の「指定時から6ヶ月間」は利用定員の90%(利用定員20人であれば20人×90%=18人)が「利用者数」となりますが、「6ヶ月以上の実績ができた場合」は、「直近6ヶ月間の実績」から「(平均)利用者数」を計算することになります。
この場合、「直近6ヶ月間の実績」から計算した「(平均)利用者数」は「指定時から6ヶ月間」の「利用者数(18人)」よりも低くなっているが一般的です。開業時から利用者が18人も通所している定員20人の就労継続支援B型の事業所というのは現実的にはほとんどないからです。
「利用者数」が低くなっているということは、人員配置の要件も緩くなります。そのため、「指定時から6ヶ月の実績ができて人員配置の要件が緩やかになったタイミング」で目標工賃達成指導員配置加算を算定できるかどうかを検討するようにしましょう。
就労継続支援B型の目標工賃達成指導員配置加算は、「工賃向上計画」と「人員配置」がポイントです。
また、就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)である従業者配置7.5:1で基本報酬を算定している必要があります。仮に、就労継続支援B型サービス費(Ⅱ)である従業者配置10:1で基本報酬を算定しているようであれば従業者配置7.5:1に変更する必要があります。
大阪、京都、奈良で就労継続支援B型を運営している事業所様で目標工賃達成指導員配置加算の算定を検討されている事業所様は当事務所へご相談ください。