令和6年度報酬改定について、児童発達支援・放課後等デイサービスに関わる事項をピックアップしてまとめました。
児童発達支援・放課後等デイサービスについてのすべての改正情報が網羅されているわけではありません。また、当事務所では、改正内容に関するご質問やお問合せに関しては対応致しかねますのでご了承ください。
目次
【児童発達支援・放課後等デイサービスの改定事項】
総合的な支援の推進
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
適切なアセスメントの実施とこどもの特性を踏まえた支援を確保する観点から、運営基準において、支援において「5領域」を全て含めた総合的な支援を提供することを基本とし、個別支援計画等において「5領域」とのつながりを明確化したうで提供することが求められることとなりました。
5領域=「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」
<ポイント>
- 本基準は、児童発達支援の主な対象が、乳幼児期という生涯にわたる人間形成において極めて重要な時期であることから、児童発達支援などの提供にあたっては、5領域を含む総合的な支援内容としなければならないとされたもの。
- 個別支援計画の具体的な内容の記載において、5領域との関連性を明記することが求められる。
支援プログラムの作成・公表
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
運営基準において、「5領域」とのつながりを明確化して事業所全体の支援内容を示すプログラム(支援プログラム)の作成・公表が求められます。
1年間の経過措置があり、令和6年度末までは努力義務であるが、未実施の場合は令和7年度から減算の対象となります。
支援プログラム未公表減算(新設) 所定単位数の85%を算定
児童発達支援に義務付けられている支援プログラムの作成・公表が未実施の場合(令和7年4月1日から適用)
<ポイント>
- 本基準は、総合的な支援の推進と事業所が提供する支援の見える化を図るため、事業所に対し、5領域との関連性を明確にした事業所における支援の実施に関する計画(支援プログラム)を作成し、公表を求めるもの。
- 支援プログラムの作成・公表が行われていない事業所については、「支援プログラム未公表減算」により、基本報酬について85%を算定(15%を減算)される。「支援プログラム未公表減算」は令和7年4月1日から適用。
- 支援プログラムについては、事業所が提供する発達支援における基本的考え方、支援の内容、関係機関連携、インクルージョンの取組等の事業所の支援の全体像と方針について整理し記載すること。国からガイドライン等において、計画策定時の視点などが示される予定です。
- 公表については、インターネットの利用その他の方法により広く公表すること。公表方法・公表内容を都道府県に届出ること。義務化・減算の施行は令和7年度からであるが、令和6年度中から作成公表を行った事業所は順次都道府県に届出ることも可能とする(自治体による)。
インクルージョンに向けた取組の推進
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
- 事業所は、障がい児が、地域の保育・教育等の支援を受けることができるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、すべての児童が共に成長できるよう、障がい児の地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進に努めなければなりません。
- 児発管はインクルージョンの観点を踏まえた個別支援計画の原案を作成しなければなりません。
<ポイント>
- 本基準は、障がいの有無にかかわらず、安心して共に暮らすことができる社会の実現に向けては、こども施策全体の連続性の中で、インクルージョンを推進していくことが重要であることに鑑み、事業所は、利用児童が地域の保育・教育等の支援を受けることができるようにすることで、すべての児童が共に成長できるよう、インクルージョンの推進に努めなければならないこととしたもの
- 個別支援計画において、インクルージョンの観点を踏まえた取組(例、保育所への移行支援)や、支援におけるインクルージョンの視点(例、地域との交流の機会の確保)について明記することを求める。
基本報酬の見直し(時間区分の創設)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
基本報酬について、発達支援に対するきめ細かい評価とする観点から、極めて短時間の支援(30分未満)は算定対象から原則除外するとともに、個別支援計画に定めた個々の利用者の支援時間に応じた評価が可能となるよう、支援時間による区分が設けられます。
支援時間による区分は、
- 時間区分①・・・30分以上1時間30分以下
- 時間区分②・・・1時間30分超3時間以下
- 時間区分③・・・3時間超5時間以下
の3区分となります。
※放課後等デイサービスについては、授業終了後(平日)・学校休業日の区分を統合し、いずれの場合であっても支援時間に応じた新たな時間区分に算定することとしつつ、時間区分③「3時間超5時間以下」は学校休業日のみ算定可能です。
「支援の提供時間」は、現に支援に要した時間ではなく、個別支援計画に位置付けられた内容の支援を行うのに要する標準的な時間(個別支援計画において定めた提供時間)とすします。
ただし、現実の提供時間が個別支援計画において定めた時間より短い場合について、
- 事業所都合で支援が短縮された場合は、「現に支援に要した時間(実支援時間)」で算定し、
- 障がい児や保護者の事情により支援が短縮された場合は、「個別支援計画で定めた時間」で算定します。
個別支援計画に定めた支援の内容や提供時間が、実際の支援の提供と合致しない場合には、すみやかに個別支援計画の見直し・変更を行うことが求められます。
支援時間は、サービス提供時間内の支援が可能な範囲とすること(サービス提供時間を超える前提となっている場合、運営規程を変更し、サービス提供時間自体を見直す必要があります)。
支援の提供時間は、30分以上5時間以下の間で定めることを基本とし、30分未満の支援については、周囲の環境に慣れるために支援の時間を短時間にする必要があるなどの理由で市町村が認めた場合に限り、算定可能です。
また、5時間以上の支援については、預かりニーズに対応した延長支援として、延長加算により評価されます。
重心型事業所、共生型、基準該当の基本報酬については、時間区分は導入されません。児童発達支援センターの一元化にともない、旧基準により運営する旧主として難聴児を通わせる児童発達支援センターについては、時間区分が導入され、旧医療型児童発達支援センター、旧重心型の児童発達支援センターについては、時間区分は導入されません。
本見直しに伴い、放課後等デイサービスの欠席時対応加算(Ⅱ)は廃止されます。なお、開所時間減算については変更ありません(適用されます)。
<報酬請求時の注意点>
- 請求時の時間区分は、「個別支援計画に定めた支援時間」での算定が原則です。
- ただし、「計画上の支援時間>実際の支援時間」の場合は、利用者の都合や災害など、やむを得ない場合を除き、実際の支援時間(短い方)で算定する。
- 送迎に要する時間は支援時間に含みません。
- 延長支援加算の対象となるのは、計画上の支援時間が5時間(放デイ平日は3時間)の児童です。
<報酬単位(令和6年4月~)>
児童発達支援/一般型(医ケア児以外)定員10人以下
時間区分 | 時間 | 単位/日 |
---|---|---|
区分1 | 30分以上 1時間30分以下 | 901単位 |
区分2 | 1時間30分超 3時間以下 | 928単位 |
区分3 | 3時間超 5時間以下 | 980単位 |
児童発達支援/重心型
定員 | 単位/日 |
---|---|
定員5人以上7以下 | 2,131単位 |
定員8人以上10人以下 | 1,347単位 |
定員11人以上 | 850単位 |
放課後等デイサービス/一般型(医ケア児以外)定員10人以下
時間区分 | 時間 | 単位/日 |
---|---|---|
区分1 | 30分以上 1時間30分以下 | 574単位 |
区分2 | 1時間30分超 3時間以下 | 609単位 |
区分3 | 3時間超 5時間以下 ※学校休業日のみ | 666単位 |
放課後等デイサービス/重心型
重心型 | 定員 | 単位/日 |
---|---|---|
授業終了後 | 定員5人以上7以下 | 1,771単位 |
定員8人以上10人以下 | 1,118単位 | |
定員11人以上 | 692単位 | |
学校休業日 | 定員5人以上7以下 | 2,056単位 |
>定員8人以上10人以下 | 1,299単位 | |
定員11人以上 | 817単位 |
延長支援加算
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
基本報酬の評価において、支援時間に応じた区分を設定することとあわせて、延長支援加算を見直し、一定の時間区分を超えた時間帯の支援について、預かりニーズに対応した延長支援として評価されます。
延長時間帯の職員配置については、安全確保の観点から、2人以上の配置を求めるとともに、児童発達支援管理責任者の対応を認めるなど、運用の見直しがなされました。
基本報酬における最長の時間区分に対応した時間(5時間 ※1)の発達支援に加えて、当該支援の前後に預かりニーズに対応した支援を計画的に行った場合に算定できます。
対象者/時間 | 1時間以上 2時間未満 |
2時間以上 | 30分以上 1時間未満(※2) |
---|---|---|---|
障害児 | 92単位/日 | 123単位/日 | 61単位/日 |
重症児 | 192単位/日 | 256単位/日 | 128単位/日 |
※1 放課後等デイサービスにおいては、平日3時間、学校休業日5時間
※2 延長時間30分以上1時間未満の区分は、利用者の都合等で延長時間が計画よりも短くなった場合に限り算定可能。
本加算は、発達支援に加えて、支援の前後に預かりニーズに対応した支援(延長支援)を計画的に行った場合に算定するものです。
<主な要件>
- 支援時間が5時間(放デイ平日は3時間)である児を受け入れることとしていること
- 運営規程に定められている営業時間が6時間以上であること(放デイ平日は除く)
- 障害児本人の状態又は家族の事情、保育所等の子育て支援に係る一般施策での受入先が不足している等の延長支援が必要な理由を確認するとともに、あらかじめ保護者の同意を得ること
- 上記の支援時間による支援の前後に個別支援計画(※)に位置付けて延長支援(1時間以上)を行うこと(※支援が必要な理由、延長時間、支援内容等)
- 延長支援を行う時間帯に職員を2(対象児が10人を超える場合は、2に10 or その端数を増すごとに1を加えて得た数)以上配置していること。うち1人以上は基準により置くべき職員(児発官含む)とすること。医療的ケア児の場合には看護職員等を配置すること。
計画上の支援時間が5時間(放デイ平日は3時間)の児童のみ対象となります。なお、延長時間がサービス提供時間or営業時間内であっても構いません。
児童or保護者の都合により延長支援時間が1時間未満となった場合は、低い単位で算定が可能(この場合でも30分以上の支援時間であることが必要)
支援の前後ともに行う場合は延長支援時間がいずれも1時間以上とすること
重心型事業所で支援を受けている重症心身障害児や共生型事業所で支援を受けている障害児については、基本報酬において時間区分を設けていないため、従前のとおり、事業所の営業時間(8時間以上)の前後で支援が行われた場合に、その支援時間に応じた加算となります。
<報酬請求時の注意点>
- 請求時は、計画上の延長時間ではなく、実際に支援した延長時間に応じて加算を算定すること。
- 保護者の事情等により緊急で延長支援加算が必要な場合は、その経緯を記録したうで実施が可能ですが、あくまで延長支援加算の算定が可能な(あらかじめ計画に記載のある)児童に限ります。
<届出>
事前の届出が必要
強度行動障害児支援加算
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
強度行動障害児支援加算について、支援スキルのある職員の配置や支援計画の策定等を求められたうえで評価が充実されたものになるとともに、専門人材の支援のもと、行動障害の状態がより強い障がい児に対して支援を行った場合の評価の見直しが行われました。
<改正前>
強度行動障害児支援加算 155単位/日
強度行動障害児支援者養成研修(基礎研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する障害児(児基準20点以上)に対して支援を行った場合
<改正後> 令和6年4月1日~
児童発達支援
強度行動障害児支援加算 200単位/日
(加算開始から90日以内の期間は、さらに+500単位/日)
強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する障害児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合
放課後等デイサービス
強度行動障害児支援加算(Ⅰ) (児基準20点以上)200単位/日
強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する障害児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合
強度行動障害児支援加算(Ⅱ) (児基準30点以上)250単位/日
強度行動障害支援者養成研修(中核的人材養成研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する障害児(児基準30点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合
※強度行動障害児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、加算開始から90日以内の期間はさらに+500単位/日が加算されます。
個別サポート加算(Ⅰ)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
個別サポート加算(Ⅰ)については、重度障害児への支援を充実させる観点から、著しく重度の障害児が利用した場合に評価されます。
児童発達支援
個別サポート加算(Ⅰ) 120単位/日
重症心身障害児等、著しく重度の障害児に対して支援を行った場合(主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く)
放課後等デイサービス
個別サポート加算(Ⅰ) 90単位/日、120単位/日
- ケアニーズの高い障害児に対して支援を行った場合 90単位/日
- ケアニーズの高い障害児に対して強度行動障害者養成研修(基礎研修)修了者を配置し支援を行った場合 or 著しく重度の障害児に対して支援を行った場合 120単位/日
(いずれも主として重症心身障害児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合を除く)
個別サポート加算(Ⅱ)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
要支援・要保護児童への支援の充実を図る観点から、個別サポート加算(Ⅱ)について、こども家庭センターやサポートプランに基づく支援との連携を推進しつつ、評価の見直しを行う。
個別サポート加算(Ⅱ) 150単位/日
要保護児童・要支援児童に対し、児童相談所やこども家庭センター等と連携(支援の状況等を6月に1回以上共有)し支援を行った場合
個別サポート加算(Ⅲ)
放課後等デイサービス
継続的に学校に通学できない児童(不登校児童)への支援の充実を図る観点から、通常の発達支援に加えて、学校との連携をとの連携を図りながら支援を行った場合に評価されます。
個別サポート加算(Ⅲ)新設 70単位/日
不登校の状態にある障害児に対して、学校との連携のもと、家族への相談援助等を含め、支援を行った場合
児童指導員等加配加算の見直し
児童指導員等加配加算について、専門職による支援の評価は「専門的支援加算」により行うこととし、経験ある人材の活用・評価を推進する観点から、配置形態(常勤・非常勤)や経験年数に応じて評価されます。
<改正後>令和6年4月~
児童指導員等加配加算
児童指導員等を配置 | ||
---|---|---|
常勤専従 | 経験5年以上 | 75~187単位/日 |
常勤専従 | 経験5年未満 | 59~152単位/日 |
常勤換算 | 経験5年以上 | 49~123単位/日 |
常勤換算 | 経験5年未満 | 43~107単位/日 |
その他の従業者を配置 | ||
― | ― | 36~90単位/日 |
※「経験」は児童福祉事業等に従事した経験年数
専門的支援体制加算・専門的支援実施加算
専門的支援加算と特別支援加算を統合し、専門的な支援を提供する体制(専門的支援体制加算)と専門人材による個別・集中的な支援の計画的な実施(専門的支援実施加算)について二段階で評価されます。
<改正後>令和6年4月~
専門的支援体制加算 区分に応じて49~123単位/日
専門的な支援の強化を図るため基準の人員に加えて理学療法士等を配置している場合
専門的支援実施加算 150単位/回(原則月4回を限度)
理学療法士等により、個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合(利用日数等に応じて最大月6回を限度)。専門的支援体制加算との併算定可能。
自己評価・保護者評価の充実
自己評価・保護者評価について、運用の標準化と徹底を図る観点から、運営基準等において、実施方法が明確化されます。
事業所は、おおむね1年に1回以上、自己評価・保護者評価・改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければなりません。
関係機関連携加算
関係機関連携加算の対象となる関係機関に医療機関や児童相談所等を含めるとともに、個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合に評価されます。
<改正後>令和6年4月~
関係機関連携加算(Ⅰ) 250単位/回(月1回を限度)
保育所や学校等との個別支援計画に関する会議を開催し、連携して個別支援計画を作成等した場合
関係機関連携加算(Ⅱ) 200単位/回(月1回を限度)
保育所や学校等との会議等により情報連携を行った場合
関係機関連携加算(Ⅲ) 150単位/回(月1回を限度)
児童相談所、医療機関等との会議等により情報連携を行った場合
関係機関連携加算(Ⅳ) 200単位/回(1回を限度)
就学先の小学校や就職先の企業等との連絡調整を行った場合
事業所間連携加算
障がい児支援の適切なコーディネートを進める観点から、セルフプランで複数事業所を併用する障がい児について、事業所間で連携し、こどもの状態っや支援状況の共有等の情報連携を行った場合に評価されます。
併せて、セルフプランの場合に、自治体から障害児支援利用計画を障害児支援事業所に共有、また障害児支援事業所から個別支援計画を自治体に共有して活用する仕組みが設けられます。
事業所間連携加算(Ⅰ) 500単位/月(月1回を限度)新設
セルフプランで障害児支援の複数事業所を併用する障がい児について、コーディネートの中核となる事業所として、会議を開催する等により事業所間の情報連携を行うとともに、家族への助言援助や自治体との情報連携等を行った場合
事業所間連携加算(Ⅱ) 150単位/月(月1回を限度)新設
セルフプランで障害児支援の複数事業所を併用する障がい児について、(Ⅰ)の場合の会議に参画するなど、事業所間の情報連携を行い、その情報を事業所内で共有するとともに、必要に応じて個別支援計画の見直しを行うなどにより支援に反映させた場合
医療連携体制加算(Ⅶ)(見直し)
医療的ケア児への支援の促進を図る観点から、認定特定行為業務従事者による支援を評価する医療連携体制加算(Ⅶ)について、評価の見直しが行われ、重心型事業所においても算定可能とされました。
医療連携体制加算(Ⅶ) 250単位/日
喀痰吸引等が必要な障害児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により喀痰吸引等を行った場合(医療的ケア区分による基本報酬を算定している場合は算定しない)
入浴支援加算(新設)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
こどもの発達や日常生活、家族を支える観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合の評価を行います。
- 児童発達支援 入浴支援加算 55単位/回(月8回を限度)
- 放課後等デイ 入浴支援加算 70単位/回(月8回を限度)
医療的ケア児or重症心身障害児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合に算定できます。
送迎支援加算(見直し)
医療的ケア児や重症心身障害児の送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた評価が行われます。
一般型事業所
- 障害児 54単位/回
- 重症心身障害児 94単位/回
- 医療的ケア児(スコア16点以上) 134単位/回
- 医療的ケア児(その他の場合) 94単位/回
※医療的ケア区分による基本報酬以外の事業所でも算定可能。
重心型事業所
- 重症心身障害児 40単位/回
- 医療的ケア児(スコア16点以上) 80単位/回
- 医療的ケア児(その他の場合) 40単位/回
※重症心身障害児については、職員の付添が必要
※医療的ケア児については、医療的ケアが可能な職員の付添が必要
人工内耳装用児支援加算(見直し/新設)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
難聴児支援の充実を図る観点から、人工内耳を装用している児に支援を行った場合に評価されます。
人工内耳装用児支援加算(Ⅰ) 利用定員に応じて445~603単位/日
児童発達支援センター(聴力検査室を設置)において、眼科・耳鼻咽喉科の医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、人工内耳を装用している児に対して、専門的な支援を計画的に行った場合に算定できます。
※人工内耳装用児支援加算(Ⅰ)は児童発達支援センターのみ算定可能。
人工内耳装用児支援加算(Ⅱ) 150単位/日
眼科・耳鼻咽喉科の医療機関との連携の下、言語聴覚士を配置し、人工内耳を装用している児に対して、専門的な支援を計画的に行った場合に算定できます。
視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算(新設)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
視覚障害児や重度の聴覚障害児への支援を促進する観点から、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して支援を行った場合に評価されることとなりました。
視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算 100単位/日
視覚or聴覚or言語機能に重度の障害のある児に対して、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して、支援を行った場合に算定できます。
家族支援加算(見直し)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
家庭連携加算と事業所内相談支援加算の両加算が統合されました。
家庭連携加算(居宅への訪問による相談援助)について、訪問支援を促進する観点から評価の見直しが行われました。事業所内相談支援(事業所内での相談援助)についても、家族のニーズや状況に応じた支援の提供を促進する観点や、オンラインによる相談援助をj推進する観点から、評価の見直しが行われました。両加算について統合し、個別とグループでの支援に整理して評価されることとなります。
家族支援加算(Ⅰ) 80~300単位/回(月4回を限度)
児童の家族(きょうだいを含む)に対して個別に相談援助等を行った場合
- 居宅を訪問(所要時間1時間以上) 300単位/回
- 居宅を訪問(所要時間1時間未満) 200単位/回
- 事業所等で対面 100単位/回
- オンライン 80単位/回
家族支援加算(Ⅱ) 60~80単位/回(月4回を限度)
児童の家族(きょうだいを含む)に対してグループでの相談援助等を行った場合
- 事業所等で対面 80単位/回
- オンライン 60単位/回
※多機能型事業所において、同一の障害児に複数サービスによる支援を行う場合、家族支援加算は、各サービスを合計して(Ⅰ)及び(Ⅱ)それぞれ月4回を超えて算定することはできません。
子育てサポート加算(新設)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
家族の障害特性への理解と養育力の向上につなげる観点から、家族が支援場面等を通じて、こども特性や特性を踏まえたこどもへの関わり方等を学ぶことができる機会を提供した場合の評価が行われました。
子育てサポート加算 80単位/回(月4回を限度)
保護者に支援場面の観察や参加等の機会を提供したうえで、こどもの特性や特性を踏まえたこどもへの関わり方等に関して相談援助等を行った場合に算定できます。
※子育てサポート加算を算定する相談援助等について、家族支援加算は算定できません。
保育・教育等移行支援加算(見直し)
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
保育所等への移行に向けた取組を推進する観点から、保育・教育等移行支援加算について、保育所等への移行前の移行に向けた取組などについて評価されるようになりました。
保育・教育等移行支援加算 500単位/回(1~2回を限度)
- 退所前に移行に向けた取組を行った場合 500単位/回(2回を限度)
- 退所後に居宅等を訪問して相談援助を行った場合 500単位/回(1回を限度)
- 退所後に保育所等を訪問して助言・援助を行った場合 500単位/回(1回を限度)
【その他の改定事項】
福祉・介護職員等の処遇改善
- 福祉・介護職員等の確保に向けて、福祉・介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、「福祉・介護職員処遇改善加算」「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」「福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算」について、現行の各加算・各区分の要件および加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化を行う。
- 就労定着支援の「就労定着支援員」、自立生活援助の「地域生活支援員」、就労選択支援の「就労選択支援員」を処遇改善加算等の対象に加える。
<算定要件等>
- 新加算(Ⅰ~Ⅳ)は、加算・賃金改善額の職種間配分ルールを統一(福祉・介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める)。
- 新加算のいずれの区分を取得している事業所においても、新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てることを要件とする。
- (それまで「ベースアップ等支援加算」を取得していない事業所が、一本化後の新加算を取得する場合には、「ベースアップ等支援加算」相当分の加算額については、その2/3以上を月額賃金の改善として新たに配分することを求める。)
(厚生労働省資料より)
集中的支援加算(新設)
状態が悪化した強度行動障害を有する児者に対し、高度な専門性により地域を支援する「広域的支援人材」が、事業所等を集中的に訪問等し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理をともに行い、環境調整を進めることを評価する加算が創設されます。
集中的支援加算(Ⅰ) 1,000単位/回
強度行動障害を有する児者の状態が悪化した場合に、広域的支援人材が事業所等を訪問し、集中的な支援を行った場合、3月以内の期間に限り1月に4回を限度として、1,000単位/日を算定できます。
集中的支援加算(Ⅱ) 500単位/日
事業所が、集中的な支援が必要な利用者を他の事業所から受け入れ、当該利用者に対して集中的な支援を行った場合、3月以内の期間について、1日つき500単位/日を算定できます。
※集中的支援加算(Ⅱ)を算定する場合は、集中的支援加算(Ⅰ)も算定可能。
本人の意向を踏まえたサービス提供(同性介助)
指定基準の解釈通知に「本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意思を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス体制の確保に努めるべき」旨明記する。
虐待防止措置未実施減算(新設) 所定単位数の1%を減算
令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所については、基本報酬が減額されます。
次の基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%減算する。
①虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること
②従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
③上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと
身体拘束廃止未実施減算(見直し) 所定単位数の1%を減算
身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額が引上げられました。 生活介護については、基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%の減算となります。
個別支援計画の共有
児童発達支援・放課後等デイサービスの個別支援計画について、特定(障害児)相談支援事業所にも交付しなければならなくなりました。
人員基準における両立支援への配慮
治療と仕事の両立をすすめ、職員の定着促進を図る観点から、「常勤」「常勤換算」について以下の見直しを行う。
- 「常勤」の計算にあたり、職員が育児・介護休業法等による「育児・介護等の短時間勤務制度」を利用する場合に加えて、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取扱うことを認める。
- 「常勤換算方法」の計算にあたり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
業務効率化を図るためのICTの活用
管理者は、「その責務を果たせる場合であって、事故発生時等の緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合」にあっては、同一敷地等等に限らず、同一の事業者によって設置される他の事業所等(他分野のサービス事業所含む)の管理者or従業者と兼務できる。
管理者について、以下のような措置を講じたうえで、管理上支障が生じない範囲において、テレワークにより管理業務を行うことが可能になります。
- 利用者及び従業者と管理者の間で適切に連絡が取れる体制を確保していること。
- 事故発生時、利用者の状態の急変時、災害の発生時など、緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定めておくとともに、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できるようにしていること。
業務継続計画未策定減算(新設)
感染症or非常災害のいずれかor両方の業務継続計画(BCP)が未策定の場合、基本報酬が減算されます。
生活介護の場合、以下の基準に適応していない場合、所定単位数の1%を減算する。
- 業務継続計画(BCP)を策定すること。
- 当該業務継続計画(BCP)に従い、必要な措置を講ずること。
※令和7年3月31日までの間、「感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備」および「非常災害に関する具体的計画」の策定を行っている場合には、減算を適用しない。
情報公表未報告減算 (新設) 所定単位数の5%を減算
障害福祉サービス等情報公表システム上、未報告となっている事業所に対する「情報公表未報告減算」が新設されます。また、都道府県知事は指定更新の際に、情報公表に係る報告がされていることを確認することになりました。
障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表に係る報告がされていない場合、所定単位数の5%を減算されます(児童発達支援・放課後等デイサービスの場合)
令和6年度の報酬改定において、児童発達支援・放課後等デイサービスともに多くの点で改正がなされました。制度を正しく理解し、コンプライアンスを意識した事業所運営を心がけましょう。
当事務所では児童発達支援・放課後等デイサービスの開業支援、運営コンサルティングサービスを提供しております。開業支援、運営支援のご依頼は問合せフォームよりお願いいたします。
※無料相談は行っておりません。