児童発達支援は、主に未就学の障がい児に対して、日常生活における基本的動作の指導や知識技能の付与、集団生活への適応訓練、その他必要な支援を行います。
児童発達支援の対象者は、療育の観点から集団療育や個別療育を行う必要があると認められる主に未就学の障がい児です。具体的には、①市町村等が行う乳幼児健診等で療育の必要性が認められた児童、②保育所・幼稚園に在籍しているが、あわせて指定児童発達支援事業所で専門的な療育・訓練を受ける必要があると認められた児童が考えられらます。
児童発達支援の種類
児童発達支援には「児童発達支援センター」と「児童発達支援事業所」の二種類があります。
児童発達支援センター
児童発達支援センターは、地域における児童発達支援の中核的な役割を担っています。施設に通う子供達の通所支援を行うほか、地域ネットワークの中心者として、保育園・幼稚園などの障がいのある子どもを預かる関係機関と連携を図ることや、巡回指導等による発達支援の推進が求められているのです。放課後等デイサービスを併設している施設もあります。児童発達支援センターの運営者は、主には、市区町村、規模が大きい社会福祉法人や医療法人等となっています。
さらに、児童発達支援センターは、福祉サービスを行う「福祉型」と、福祉サービスに併せて治療を行う「医療型」にわけれらます。福祉型児童発達支援センターでは、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練などが行われます。医療型児童発達支援センターでは、上肢、下肢はたは体幹の機能の障がいのある児童に対する児童発達支援及び治療などが行われます。
児童発達支援事業所
障がいのある未就学の子供が自身の生活する地域で発達支援を受けられる施設です。
児童発達支援センターも児童発達支援事業所も通所利用の障がい児やその家族に対する支援を行うことは共通していますが、「児童発達支援センター」は、施設の有する専門機能を活かし、地域の障がい児やその家族への相談、障がい児を預かる施設への援助・助言を合わせて行うなど、地域の中核的な療育支援施設の役割を担い、「児童発達支援事業所」は、専ら利用障がい児やその家族に対する支援を行う身近な療育の場を提供しています。
(引用:厚生労働省資料)
児童発達支援の人員基準
児童発達支援センターや児童発達支援事業所においても人員基準が求められます。
児童発達支援センター(センター)の人員基準
管 理 者 |
原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するもの (支障がない場合は他の職務と兼務可) |
|
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従 業 者 |
児童発達支援 管理責任者 |
1人以上 |
保育士 及び 児童指導員 |
・総数がおおむね障がい児の数を4を除して得た数以上 (機能訓練担当職員数、言語聴覚士、看護師を総数に合算可) ・児童指導員 1人以上 ・保育士 1人以上 |
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機能訓練 担当職員 |
機能訓練を行う場合に置く (難聴児:必要数、重症心身障がい児:1人以上) |
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嘱託医 | 1人以上 | |
栄養士 | 1人以上 (障がい児40人以下の場合は配置しなくても可) |
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調理員 | 1人以上 (調理業務の全部を委託する場合は配置しなくても可) |
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言語聴覚士 | 難聴児:単位ごとに4人以上 | |
看護職員 | 重症心身障がい児:1人以上 |
※従業者(嘱託医を除く)は、専ら事業所の職務に従事する者(もしくは単位ごとに専従)であることが必要です。
(支援に支障がない場合は、栄養士、調理員は併設する他の社会福祉施設の職務に従事することが可能です。)
児童発達支援事業所(児童発達支援センター以外)の人員基準
管 理 者 |
原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するもの (支障がない場合は他の職務と兼務可) |
|||
---|---|---|---|---|
従 業 者 |
重症心身障がい児以外 | 重症心身障がい児 | ||
児童発達支援 管理責任者 |
1人以上 | |||
児童指導員 又は 保育士 |
・総数がおおむね障がい児 の数を4を除して得た数以上 (機能訓練担当職員数、 言語聴覚士、看護師を 総数に合算可) ・児童指導員 1人以上 ・保育士 1人以上 |
児童指導員 又は 保育士(※) |
1人以上 | |
嘱託医 | 1人以上 | |||
看護職員(※) | 1人以上 | |||
機能訓練 担当職員 |
機能訓練を行う場合に置く (難聴児:必要数、重症心身 障がい児:1人以上) |
機能訓練 担当職員 |
1人以上 (機能訓練を 行う時間帯) |
※大阪府基準の場合、「児童指導員又は保育士」及び「看護職員」については、営業時帯を通じてそれぞれ1人以上の配置が必要です。
児童発達支援の設備基準
児童発達支援センターや児童発達支援事業所においても設備基準が求められます。
児童発達支援センター(センター)の設備基準
指導訓練室 | ・定員は、おおむね10人 ・障がい児1人あたりの床面積は、2.47㎡以上 ※主として難聴児又は重症心身障がい児を通わせる場合は除く |
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遊戯室 | ・障がい児1人あたりの床面積は、1.65㎡以上 ※主として難聴児又は重症心身障がい児を通わ せる場合は除く |
主として重症心身障がい児 を通わせる場合は設けない ことができる (支援に支障がない場合) |
屋外遊戯場 | 事業所付近にある屋外遊戯場に代わるべき場所 を含む |
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医務室、相談室 | 必要な設備です。 | |
調理室、トイレ | 必要な設備です。 | |
静養室 | 主として知的障がいのある児童を通わせる場合 | |
聴力検査室 | 主として難聴児を通わせる場合 | |
その他 | ・指定児童発達支援の提供に必要な設備及び備品等 ・専ら当該指定児童発達支援の事業の用に供すること (支援に支障がない場合は他の社会福祉施設との兼用可) |
児童発達支援事業所(センター以外)の設備基準
- 訓練指導室(訓練に必要な機械器具等を備えること)
※大阪府の場合、独自ルールとして定員10人の場合30㎡(1人あたり3.0㎡以上)必要。
※重心型の場合は、定員が10人未満でも30㎡以上必要。 - その他、必要な設備及び備品等(相談室、事務室、静養室、手洗い設備、トイレ)
- 専ら当該指定児童発達支援及び指定放課後等デイサービスの事業の用に供すること(支援に支障がない場合は共用可)
児童発達支援事業の開業手順
児童発達支援事業を行うには、運営主体が法人格を有していなければなりませんし、事業所としての指定を受ける必要があります。ここでは、開業支援のご相談の多い児童発達支援事業所(センター以外)を念頭に解説しています。
1、法人を設立する
児童は発達支援事業を開業するには、運営主体が法人でなければ指定をとれません。ただし、法人といっても様々な種類があります。株式会社、合同会社、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)などです。
設立しようとする法人形態によって設立に要する時間や費用が異なりますし、設立手続きも違ってきます。例えば、社会福祉法人を設立しようとすれば非常に多くの手続きを経なければなりませんし時間もかかります。最近、比較的増えている傾向にある合同会社であれば費用も比較的安くで済ませることも可能ですし、設立に要する時間も社会福祉法人の設立ほどの時間もかかりません。
2.都道府県(市町村)から「指定」を受ける
指定申請のスケジュールは自治体(指定権者)ごとに決められています。指定申請では、その自治体ごとに決められたスケジュールに合わせて役所の担当課で調査や協議を行い、資料収集や書類作成を行ったいくことになります。指定日(営業開始日)を何時の時点に目標とするかで指定申請の締切日が変わってきます。
指定申請のスケジュールは、例えば、
- 大阪市の場合 事前協議 → 指定申請・受理(指定日前月10日まで)→ 審査 → 指定
- 京都市の場合 事前相談 → 指定申請・受理 → 審査(概ね2ヶ月)→ 指定
- 奈良市の場合 事前相談 → 指定申請・受理(指定日2ヶ月前末日まで)→ 審査 → 指定
児童発達支援事業の場合、ほとんどの自治体で事前協議(事前相談)を経る必要があります。事前協議(事前相談)は主に物件を含んだ設備要件と人員基準が満たされているかどうかを自治体が事前に確認するための手続きといってもいいでしょう。
事前協議(事前相談)の次は指定申請の手続きになります。この指定申請の手続きで児童発達支援事業として使用する物件が各種法令に適合している、事業所としての人員基準を満たしている等を添付書類などで証明していくことになります。
指定申請では多くの書類を収集・作成していくことになりますが、大きなポイントとしては、Ⅰ:人員基準、Ⅱ:物件の適法性・設備基準、Ⅲ:協力医療機関のハンコ がポイントとなります。
Ⅱ 物件の間取りが適切で、都市計画法、建築基準法、バリアフリー条例(京都市)、消防法に適合しているか。設備基準を満たしているか。
Ⅲ 協力医療機関のハンコを得られるか
Ⅰ.児童発達支援事業所としての指定申請が受理されるためには、児童発達支援事業の人員配置基準が備わっていなければなりません。
児童発達支援事業の指定申請が受理されるためには、管理者や児童発達管理責任者などの人員配置基準を満たしていなければなりません。児童指導員や保育士も一定の経験や資格が必要ですので誰でもなれるわけではありません。
人員配置基準は指定を受けた後の運営面でも非常に重要となります。児童発達支援管理責任者の要件と一緒に正しく理解しておきましょう。
Ⅱ.児童発達支援事業所としての指定申請が受理さるためには、物件の間取りが適切であり、その物件が都市計画法、建築基準法、バリアフリー条例(京都)、消防法に適合していなければなりません。
児童発達支援事業として使用する物件の使用部分が200㎡を超える場合には、建築基準法上の「用途変更の確認申請」という申請が必要になります。また、消防法に適合するように誘導灯や非常警報装置などの消防設備を設置しなければならない場合もあります。
Ⅲ.協力医療機関のハンコを得られること
児童発達支援事業を開設する場合には、協力医療機関を事前に定めておく必要があります。児童発達支援を利用している子供が突然の体調不良を起こしたような場合に備えて、すぐに連絡のとれる医療機関を定めておくのです。
この協力医療機関のハンコをとるのに苦労する方もいらっしゃいますので、児童発達支援の開業手続きのはやい段階で協力してくれる医療機関を探して事前に協力の打診をしておきましょう。
3.児童発達支援の指定申請が収受され審査を経た後に「指定」を取ることができます。
児童発達支援の指定を取得すると、事業所ごとに事業所番号がつけられた指定通知書をもらうことができます。指定通知書は基本的に再発行してもらえませんので事業所で大切に保管しておかなければなりません。事業所によっては額縁に入れて掲示している事業所もあります。
この児童発達支援の指定を取るために、指定申請のスケジュールに合わせて手続きを踏んできたわけですが、この指定の取得そのものはゴールではなく、児童発達支援事業の運営のスタートラインに立てただけにすぎません。児童発達支援事業の指定を取得した後の運営こそが大切であることは間違いありません。
とくに、児童発達支援事業や放課後等デイサービスのような障がい児通所支援事業では、コンプライアンス(法令遵守)を意識した事業所運営が必要になってきます。ただ、児童発達支援事業や放課後等デイサービスは、制度改正の頻度も多く、年々複雑になってきています。いいかげんな運営をしていては、報酬返還や指定取消もあり得ますし、実地指導や監査の現場においては「知らなかった」は通用しません。そのため、当事業所においては、法令に適合した事業所運営を行っていただけるように児童発達支援事業所の運営コンサルティングも行っております。
児童発達支援事業の指定申請手続きに詳しい行政書士がサポート
児童発達支援事業では、未就学の子供が主な対象になるため安全性等の面から手続きも厳格になっていることが一般的です。そして、その指定申請の手続きは、自治体によってスケジュールが定められています。そのため、その自治体によって定められたスケジュールに合わせて物件調査、消防署との協議、資料収集、書類作成を行っていくことになります。
物件によっては、建築基準法の用途変更や消防法に定められた消防設備の設置工事などが必要になる場合もありますし、児童発達支援管理者や児童指導員などのスタッフを指定日までに雇用できるのかどうかによってもスケジュールが変わってきます。
また、児童発達支援事業では、放課後等デイサービスと多機能型として開業したいという事業所様もいらっしゃいますが、多機能型の場合、定員人数によっては報酬単価が下がってしまいますので注意する必要があります。報酬単価が下がっても定員規模を大きくして売上を作っていくのか、報酬単価を下げずに定員規模を小さくしながら運営していくのかは、雇用できるスタッフの人数や物件の大きさなどによって判断が変わってくるところでしょう。
児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型であっても全体で定員10人とすることで報酬単価を下げずに開業することもできます。
事業所の収支に影響するところですから、事前に児童発達支援の制度を理解し、報酬算定の計算方法なども理解したうえで事業計画をたてておきましょう。
当事業所は単なる指定申請の手続きだけではなく、事業計画を考える段階からの開業支援を行っております。児童発達支援事業の開業をご検討の方は当事業所へご連絡ください。
当事業所へご依頼いただく3つのメリット
行政手続きだけではありません!!
当事業所では、児童発達支援の指定申請だけを行っているわけではなく「開業支援」を行っております。そのため、物件の調査や報酬算定のコンサルティング、さらには算定できる加算取得のアドバイスなど、開業後(指定後)の運営面も据えたコンサルティングサービスを行っています。
指定後の運営コンサルティングにも対応!!
児童発達支援事業では、事前協議を経たうえでの指定申請という手続きを行えば指定そのものは取れることはできるでしょう。しかし、本当に大切なのは指定を取った後の運営面であります。最近のよくある指定取消しの事例として、指定申請時の勘違いや制度の理解不足から指定後に指定が取り消されてしまう・・・といったケースが多くなっているように思います。
指定申請時においても指定後の運営を見据えた指定申請が必要ですし、指定後もいいかげんな運営をしていては報酬返還や指定取消となってしまいます。当事務所では、児童発達支援の事業所の収支を意識した戦略的な事業所運営とコンプライアンス経営が両立するような運営コンサルティングを行っております。
開業時の創業融資にも対応しております!!
児童発達支援事業のような障がい児通所支援サービスでは、毎月、国民健康保険団体連合会(国保連)に報酬請求を行いますが、その入金サイトは1ヶ月半後の翌月中頃になります。この入金サイトを理解して事業収支を考えておかなければ、入金までの間もスタッフへの給料の支払いや家賃の支払いなどがありますから、資金ショートを起こしてしまう可能性もあります。そのため、児童発達支援事業を開業する際には、余裕をもった資金計画をたてておくべきです。
当事業所では、日本政策金融公庫などの金融機関への創業融資の申込みのサポートも行っております。融資を検討するのであれば、事業開始後では余程の経営成績でない限り融資も降りにくくなるのが通常ですから、指定前に創業融資なども利用することを検討し、開業前に余裕のある資金の準備をしておきましょう。
児童発達支援の開業支援のご依頼の流れ
物件の目途をつけましょう。
児童発達支援は使用する物件が非常に重要となります。物件によっては狭すぎたり、用途変更などの手続きが必要になり、内装工事なども含めると多額の費用が必要になってします場合があります。そのため、気に入った物件が見つかったとしても直ちに契約してしまうのではなく、物件の調査をしてうえで、行政との事前協議をクリアしてから賃貸借契約を締結するようにします。
児童発達支援管理責任者などのスタッフを確保しましょう。
児童発達支援事業を運営していくうえで児童発達支援管理責任者は非常に重要なポジションに位置する職種といえます。また、児童指導員や保育士も一定の経験や資格が必要になりますので、だれでもOKというわけにはいきません。子供達への支援はそれだけ専門性が高い仕事ですし、安全面などの面からも一定の人員配置の基準が設けられているのです。必要な人員基準を満たすだけの雇用を確保しなければなりませんので、開業する際のスターチングメンバーを集めておきましょう。
当事務所へ依頼しましょう。
指定申請の手続きでは、多くの要件を備えていきながら申請をしていくことになりますが、その要件のうちでも非常に重要なものが上記の物的要件(設備要件)と人的要件(人員基準)になります。逆にいえば、この物的要件(設備要件)と人的要件(人員基準)の目途がついていなければ、指定申請の手続きもスケジュールに乗せることができません。
物件と人員の目途がついた段階で当事務所にご依頼いただくのが一番スムーズでありますが、そのタイミングよりもはやい段階でご相談いただければ、物件選びのポイントや人員基準の考え方、さらには事業計画の立て方などのアドバイスもさせていただきます。
大阪・京都・奈良で児童発達支援の開業をご検討の方は、当事務所までご連絡ください。