相談事例② 放課後等デイサービスの人員配置と定員超過利用減算

【相談事例】10人定員の放課後等デイサービスを運営しています。10人定員ですので、職員の配置は、管理者兼児童発達支援管理責任者の他に、常勤の児童指導員1人と非常勤の児童指導員1人の計2人で運営しています。日によっては定員10人を超えてしまう場合があるのですが、この場合は定員超過利用減算となるのでしょうか?

相談者:放課後等デイサービスの管理者

放課後等デイサービスの管理者をしています。定員は10人ですが、日によっては10人を超えてしまう場合があります。この際に職員をもう一人配置して3人体制にしないといけないと聞いたことがあります。普段は、管理者と児童発達支援管理責任者の他に、常勤の児童指導員と非常勤の児童指導員の2人を配置していますが、さらにもう一人の児童指導員を配置する必要があるのでしょうか?

回答:障がい福祉専門の行政書士

放課後等デイサービスの運営をしていると、日によってはどうしても定員を超過してしまう日が出てきてしまうこともあるかと思います。よく質問されるのですが、この場合は①人員配置基準の視点②定員超過利用減算の視点の2つの視点から見ていくことが必要になります。

①  人員配置基準の視点

定員10人の放課後等デイサービスの場合、

サービス提供時間を通して(自治体によっては営業時間を通して)

  • 常勤の児童指導員or保育士…1人
  • 非常勤の児童指導員or保育士…1人

の「計2人」の人員配置が必要になります。

しかし、定員10人を超えてしまった場合には、上記の人員配置に加えさらに、障がい児の数が10を超えて5 or その端数を増す毎に1を加えて得た数以上の人員配置が必要になります。

例えば、定員10人の放課後等デイサービスに12人の障がい児の通所があった場合、「10を超えて2を増す」ことになったわけですから、定員10人の職員配置である「計2人」に「1」を加えて得た数である「3」以上の人員配置が必要となるのです。

つまり

  • 常勤の児童指導員or保育士・・・1人
  • 非常勤の児童指導員or保育士・・・1人
  • 非常勤の児童指導員or保育士・・・1人

の少なくとも計3人の人員配置がサービス提供時間を通じて(営業時間を通じて)必要ということになります。

常勤職員の法定週休日・有給休暇日の取扱い

Q .営業日が週7日の事業所の場合、常勤の職員については、労働基準法等の関係法令に基づき、週休2日とする必要等があり、法令上置けない日や、有給休暇等の取得により事業所に置くことができない日が生じる。指定児童発達支援事業所(児童発達支援センター以外で、主として重症心身障害児を通わせる事業所以外)において、常勤の児童指導員または保育士が休暇を取得する日は、当該休暇を取得する常勤職員とは別に、常勤の児童指導員または保育士を置く必要があるのか?

A .指定通所基準では、児童指導員または保育士のうち1人以上は常勤職員であることとしているが、常勤職員がサービス提供時間帯を通じて児童発達支援の提供に当たることまでは定めていない。一方、児童指導員または保育士は、児童発達支援の提供時間帯を通じて2名以上置く必要がある。よって、労働基準法等との関係で、常勤の職員が休暇を取得する場合は、当該休暇を取得する職員以外の児童指導員または保育士を配置して、サービス提供時間帯を通じて2名以上配置する必要があるが、当該2名以上の職員が常勤職員である必要まではない。

(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課障害児・発達障害者支援室 令和5年3月3日事務連絡)

<具体的な取扱い> ※大阪府の場合

・常勤の児童指導員または保育士(人員基準上の職員)の「法令で定める週休日」については、代わりの配置者について非常勤職員による配置でも可能。サービス提供時間帯(営業時間帯※)を通じて、非常勤職員のみの配置となっても差し支えない。

・常勤の児童指導員または保育士(人員基準上の職員)の「有給休暇日」については、代わりの配置が必要であり、代わりの配置者について非常勤職員による配置も可能。サービス提供時間帯(営業時間帯※)を通じて、非常勤職員のみの配置となっても差し支えない。

※大阪府の場合は営業時間帯を通じて職員配置が必要

<具体的な事例>

  • 営業時間6時間×週6日の営業日で、週の所定労働時間36時間の事業所

 常勤の児童指導員(基準1人目配置者)が勤務予定日の1日分を有給休暇日とした。当該日に、常勤者の代わりに非常勤職員が6時間分配置(児童指導員or保育士)され、当該有給休暇日は、非常勤職員のみで人員基準である「サービス提供時間(営業時間)6時間×2名」を満たす状態となったが差し支えない。

  • 営業時間8時間×週6日の営業日で、週の所定労働時間40時間の事業所

 常勤の保育士の勤務時間が8時間×5日の週40時間の場合、毎週1日分の不在日が発生するが、当該週休日(常勤者の不在日)は非常勤職員のみで人員基準を満たしているとして差し支えない。

※具体的な取扱いは指定権者によって異なる可能性がありますので、必ず指定権者にご確認ください。

②  定員超過利用減算の視点

放課後等デイサービスにおいても定員を超過した場合には定員超過利用減算となる場合があります。

原則として、定員を超えてサービス提供を行うことは運営基準違反となり、解消する必要があります。ただし、災害、虐待を受けた障がい児の保護のような「やむを得ない事情」がある場合には、この限りではないとされています。

そして、「やむを得ない事情」があって、定員を超えて障がい児を受け入れる場合には、①人員配置基準の視点から職員の配置を増やす必要があります。

例えば、

  • 定員10人の放課後等デイサービスで、障がい児を12人受け入れる場合には、①人員配置基準の視点から、通常の職員配置に加え、もう1人の職員配置が必要になるので、計3人の職員配置が必要になります。
  • 定員10人の放課後等デイサービスで、障がい児を17人受け入れる場合には、①人員配置基準の視点から、通常の職員配置に加え、もう2人の職員配置が必要になるので、計4人の職員配置が必要になります。さらにこの場合には、②定員超過利用減算の視点から、1日の定員10人の150%である15人を超えているわけですから、1日あたりの定員超過利用減算に該当するということになります。

つまり、定員を超えて児童を受入れる場合には、

①  人員配置基準の視点から、職員の配置を増やす必要がある。

②  定員超過利用減算の視点から、定員の150%を超える場合には、定員超過利用減算に該当する。

という2段階の検討が必要になるのです。

令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.4(令和3年5月7日)

【Q.】 定員超過は、指定基準において「災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合」に可能としているが、以下のような理由も「やむを得ない事情」として認められるのか。また、「やむを得ない事情」については、これらの理由のほか、各都道府県等において個別の事情ごとに判断して差し支えないと考えてよいか。
ア、障害の特性や病状等のため欠席しがちで、定期的な利用を見込むことが難しい障害児に継続した支援を行う必要がある場合。
イ、障害児の家庭の状況や、地域資源の状況等から、当該事業所での受け入れをしないと、障害児の福祉を損ねることとなる場合。

【A.】いずれの場合も、「やむを得ない事情」があるものとして差し支えない。また、都道府県等において個別の事情ごとに判断する取扱いも貴見のとおりである。
ア、のようなケースについては、利用人数が恒常的に利用定員を超えている状態でなければ、速やかに是正を図る必要はない。
イ、のようなケースについては、既存の利用者が利用をやめる際に、利用人数の調整を行うなどの方法で是正を図れば足りるものとする。 

※定員を超えた児童(利用者)の受入れについては、非常に厳しい指定権者もあります。上記のQ&Aのように都道府県等において個別の事情ごとに判断する取扱いも許されていますので、定員が超過しそうな場合は必ず指定権者の考えを確認するようにしましょう。

放課後等デイサービスの人員配置基準

主として重症心身障がい児以外を通わせる場合(一般型)の放課後等デイサービスの人員配置基準はつぎのようになります。

管理者

原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するもの。業務に支障がない場合は他の職務との兼務が可能。

児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者の任用要件を満たした者、1人以上の配置が必要。

1人以上は常勤かつ専従であること。

児童指導員or保育士

  • 1人以上は常勤であること
  • 半数以上は児童指導員or保育士であること
  • 合計数が以下の区分に応じてそれぞれに定める数以上
    障がい児の数が10人まで・・・2人以上
    障がい児の数が10人を超える…2人に、障がい児の数が10を超えて5またはその端数を増すごとに1を加えた数以上
  • 機能訓練担当職員、看護職員の数を合計数に含めることができる

機能訓練担当職員

機能訓練を行う場合に配置する

看護職員

医療的ケアを行う場合に配置する

定員超過利用減算

定員超過利用減算にあたるかどうかを考える場合には2つの視点から考える必要があります。

  • 1日あたりの定員超過
  • 直近3ヶ月間の平均利用者数の定員超過

1日あたりの利用実績による定員超過利用減算

  • 利用定員50人以下の事業所
    1日の利用障がい児の数が、利用定員の150%を超える場合、当該1日につき利用障がい児全員について減算
  • 利用定員51人以上の事業所
    1日の利用障がい児の数が、利用定員から50を差し引いた数の125%に25を加えた数を超える場合、当該1日について利用障がい児全員について減算

過去3ヶ月間の利用実績による定員超過利用減算

直近の過去3ヶ月間の延べ利用障がい児数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数の125%を超える場合は、当該1ヶ月間について利用障がい児全員について減算

ただし、定員11人以下の場合は、過去3ヶ月間の利用障がい児の延べ数が、利用定員に3を加えて得た数に開所日数を乗じて得た数を超える場合に減算

※多機能型事業所が行う複数のサービスごとに利用定員を定めている場合にあっては、当該サービスごとに、当該利用定員を超える受入れ可能人数を計算します。

まとめ

放課後等デイサービスの人員配置基準や定員超過利用減算などは正しく理解しておかなければ知らない間に減算適用となっているにもかかわらず減算せずにそのまま運営しているケースが散見されます。

このような場合は、実地指導で指摘され、減算適用された金額との差額をまとめて返還を求められることになります。


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