就労移行支援の加算・減算のまとめ

就労移行支援では、就労を希望する障がい者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、職場体験やその他の活動の機会の提供、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後に職場へ定着できるようにするための必要な相談や支援を行います。

就労移行支援でも、基本報酬の他に、通常の人員配置以上に手厚い支援体制が整えられていたりする場合に加算が算定されたり、逆に必要な基準を満たしていないと減算となったり、いくつかの加算や減算の制度があります。

就労移行支援における「定員超過利用減算」

就労移行支援の事業所が定員を超過した場合に以下の基準で減算となります。定員超過利用減算は、日あたりの超過」「過去3ヵ月間の平均利用者数の超過」の2方向からみる必要があります。

【1日あたりの超過】30%減算
定員50人
以下の場合
1日の利用者数が
150%を超過している場合
定員51人
以上の場合
1日の利用者数が
(定員-50)×125%+75 を超過している場合

 

【過去3ヶ月間の平均利用人員の超過】30%減算
過去3ヶ月間の平均利用人員が定員の125%を超過している場合
(定員が11人以下の場合は当該定員に3を加えた数を
超過している場合)

就労移行支援における「サービス提供職員欠如減算」

就労移行支援の指定基準に定める人員基準を満たしていない場合、1割を超えて欠如した場合にはその翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月までの間1割の範囲内で欠如した場合にはその翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月までの間、減算されます。

  • 減算適用1月目から2月目  所定単位数の30%を減算
  • 減算適用3月目以降     所定単位数の50%を減算

※常勤または専従など、従業員の「員数」以外の要件を満たしていない場合には、その翌々月から人員欠如が解消されるに至った月まで、利用者全員について減算されます(ただし、翌月末日までに人員基準を満たした場合を除く)。

就労移行支援における「サービス管理責任者欠如減算」

就労移行支援の指定基準に定める人員基準を満たしていない場合、その翌々月から人員基準欠如が解消されるに至った月までの間、利用者全員について減算されます(ただし、翌月末日までに人員基準を満たした場合を除く)。

  • 減算適用1月目から4月目  所定単位数の30%を減算
  • 減算適用5月目以降     所定単位数の50%を減算

就労移行支援における「個別支援計画未作成減算」

就労移行支援の事業所で、就労移行支援計画が作成されずにサービス提供が行われていた場合、当該月から当該状態が解消されるに至った月の前月までの間、該当する利用者につき減算されます。

この就労移行支援における「個別支援計画未作成減算」は、就労移行支援のサービス管理責任者が欠如した場合の「サービス管理責任者欠如減算」が適用されている場合にも、該当する利用者につき適用されて減算される場合がありますので注意しましょう。就労移行支援における就労移行支援計画(個別支援計画)は、サービス管理責任者の業務とされているためです。

  • 減算適用1月目から2月目  所定単位数の30%を減算
  • 減算適用3月目以降     所定単位数の50%を減算

就労移行支援における「標準利用期間超過減算」

就労移行支援の事業者ごとの平均利用期間が標準利用期間(2年)を6ヶ月以上超える場合に減算されます。(ただし、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格取得を目的とする養成施設を利用する場合は、標準利用期間は3年又は5年です)

「標準利用期間超過減算」については、就労移行支援事業所の「利用者ごと(就労移行支援のサービス利用開始から1年を超過していない者を除く)の利用期間」の「平均値」が「標準利用期間2年」に「6月間」を加えて得た期間(30月間)を超えている場合に、その超えた1月間について、利用者全員につき所定単位数の95%を算定(5%減算)することになります。

※「利用者ごとの利用期間」は、当該利用者の「サービス利用開始日」から「各月の末日」までの間の「月数」で計算します。この場合、サービス利用開始日が月の「初日」の場合には、サービス利用開始日の属する月を含み、サービス利用開始日が月の「2日目以降」の場合には、当該月を含まず、翌月以降から起算します

就労移行支援における「身体拘束廃止未実施減算」(身体拘束等の廃止・適正化のための取組みが適切に行われていない場合の減算)

身体拘束等の適正化を図る措置については、以下のⅰからⅳのいずれかに該当する場合に、速やかに「改善計画」を都道府県知事に提出し、事実が生じた月から3ヶ月後に「改善計画に基づく改善状況」を都道府県知事に報告する必要があります。

この場合、「事実が生じた月の翌月」から「改善が認められた月」までの間、利用者全員について、1日につき5単位が所定単位数から減算されます。

  1. 身体拘束等の記録が行われていない。
  2. 身体拘束等適正化委員会を定期的に開催していない(1年に1回以上)
  3. 身体拘束等適正化のための指針を整備していない
  4. 身体拘束等適正化のための研修を定期的に実施していない(年1回以上)

身体拘束等適正化委員会の設置・開催については次のような措置も認められています。

  • 身体拘束等適正化委員会は、事業所単位ではなく、法人単位で設置・開催することも可能。
  • 「身体拘束等適正化委員会」と「虐待防止委員会」とを一体的に設置・運営することをもって、「身体拘束等適正化委員会」を開催しているとみなして差し支えない。
  • 委員会はテレビ電話装置等(ZOOMなど)を活用して行うことができる。

<経過措置>

就労移行支援については、上記のⅱからⅳのいずれかに該当する場合であっても、令和5年3月31日までは減算適用されません。上記のⅰに該当する場合には、経過措置はないので減算適用されます。

就労移行支援における「視覚・聴覚言語障害者支援体制加算」

就労移行支援の事業所において、視覚・聴覚・言語機能に重度の障がいがある利用者が一定数以上であって、意思疎通に関し専門性を有する職員が一定数以上配置されている場合に加算されます。

  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 41単位/日

就労移行支援における「初期加算」

就労移行支援の利用開始日から起算して30日以内の期間について加算されます。

  • 初期加算 30単位/日

就労移行支援における「訪問支援特別加算」

就労移行支援を継続して利用する利用者が連続して5日間利用しなかったときに、就労移行支援の職員が居宅を訪問して相談援助を行った場合に月に2回まで加算されます。

  • 所要時間1時間未満  187単位
  • 所要時間1時間以上  280単位

就労移行支援における「利用者負担上限額管理加算」

就労移行支援の事業所が利用者負担額合計額の管理を行った場合に加算されます。

  • 利用者負担上限額管理加算 150単位/月

就労移行支援における「食事提供体制加算」

収入が一定額以下の就労移行支援の利用者に対して、就労移行支援の事業所が食事を提供した場合

  • 食事提供体制加算  30単位/日

就労移行支援における「精神障害者退院支援施設加算」

精神科病院の精神病床を転換した指定就労移行支援事業所において、精神病床に概ね1年以上入院していた退院患者等に対し、就労移行支援を利用している間の夜間の居住の場を提供した場合に加算されます。

  • 夜勤体制を確保している場合 180単位/日
  • 宿直体制を確保している場合 115単位/日

就労移行支援における「福祉専門職員配置等加算」

就労移行支援の事業所において、良質な人材の確保とサービスの質の向上を図る観点から、条件に応じて加算されます。なお、就労移行支援における福祉専門職配置等加算において「常勤」とは、正規又は非正規雇用に係わらず、就労移行支援の事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数に達している従業者をいいます。

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ) 15単位/日

常勤の職業指導員等のうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士または公認心理師の資格保有者が35%以上雇用されている事務所

福祉専門職員配置等加算(Ⅱ) 10単位/日

常勤の職業指導員等のうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士または公認心理師の資格保有者が25%以上雇用されている事務所

福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)  6単位/日

職業指導員等のうち、常勤職員が75%以上または勤続3年以上の常勤職員が30%以上の事業所

就労移行支援における「欠席時対応加算」

就労移行支援の利用者が急病等により利用を中止した際に、就労移行支援の事業所が連絡調整や相談援助を行った場合に、月に4回まで加算されます。

  • 欠席時対応加算 94単位/回

就労移行支援における「医療連携体制加算」

医療機関等との連携により、看護職員が就労移行支援の事業所を訪問して就労移行支援の利用者に対して看護を行った場合や就労移行支援事業所の認定特定行為業務従事者に痰の吸引等に係る指導を行った場合等に加算されます。

医療連携体制加算(Ⅰ) 32単位/日

医療的ケアを必要としない就労移行支援の利用者に対する看護であって、看護の提供時間が1時間未満である場合

医療連携体制加算(Ⅱ) 63単位/日

医療的ケアを必要としない就労移行支援の利用者に対する看護であって、看護の提供時間が1時間以上2時間未満である場合

医療連携体制加算(Ⅲ) 125単位/日

医療的ケアを必要としない就労移行支援の利用者に対する看護であって、看護の提供時間が2時間以上である場合

医療連携体制加算(Ⅳ) 400単位~800単位/日

医療的ケアを必要とする就労移行支援の利用者に対する看護である場合

  • 利用者が1人の場合  800単位/日
  • 利用者が2人の場合  500単位/日
  • 利用者が3人以上8人以下の場合 400単位/日

医療連携体制加算(Ⅴ)   500単位/日

看護職員が就労移行支援の事業所に訪問し、就労移行支援事業所の認定特定行為業務従事者に喀痰吸引等に係る指導を行った場合

医療連携体制加算(Ⅵ)  100単位/日

喀痰吸引等が必要な就労移行支援の利用者に対して、就労移行支援事業所の認定特定行為業務従事者が喀痰吸引等を行った場合

区分 加算単位数 要件
医療連携
体制加算
(Ⅰ)
32単位/日 看護職員が事業所を訪問して利用者(上限8人)に
対して看護を行った場合(1時間未満)
医療連携
体制加算
(Ⅱ)
63単位/日 看護職員が事業所を訪問して利用者(上限8人)に
対して看護を行った場合(1時間以上2時間未満)
医療連携
体制加算
(Ⅲ)
125単位/日 看護職員が事業所を訪問して利用者(上限8人)に
対して看護を行った場合(2時間以上)
医療連携
体制加算
(Ⅳ)
利用者
1人
800単位/日 看護職員が事業所を訪問して医療的ケアを必要
とする利用者に対して看護を行った場合
利用者
2人
500単位/日
利用者
3人以上
8人以下
400単位/日
医療連携
体制加算
(Ⅴ)
500単位/日 看護職員が介護職員等に喀痰吸引等に係る
指導のみを行った場合
医療連携
体制加算
(Ⅵ)
100単位/日 研修を受けた介護職員等が喀痰吸引等を
実施した場合

就労移行支援における「就労支援関係研修修了加算」

一般就労への移行支援の質の向上を図る観点から、就労移行支援の事業所が、そのノウハウを習得する研修の修了者等を就労支援員として配置する場合に加算されます。ただし、就労支援事業所における就労定着率の割合が零である場合は算定されません。

  • 就労支援関係研修修了加算 6単位/日

就労移行支援における「移行準備支援体制加算」

就労移行支援の事業所が、「職場実習等」や「求職活動等」を実施した場合に、施設外支援利用者に人数に応じて加算できます。

移行準備支援体制加算  41単位/日

職場実習等」とは、具体的には次のとおりです。

  1. 企業及び官公庁等における職場実習
  2. 1に係る事前面接、期間中の状況確認
  3. 実習先開拓のための職場訪問、職場見学
  4. その他必要な支援

求職活動等」とは、具体的には次のとおりです。

  1. ハローワークでの求職活動
  2. 地域障害者職業センターによる職業評価等
  3. 障害者就業・生活支援センターへの登録等
  4. その他必要な支援

就労移行支援における「送迎加算」

居宅等または就労移行支援事業所又は障がい者支援施設との間の送迎を行った場合に、片道につき加算されます(同一敷地内の場合は、下記の70%を加算します)。

送迎加算(Ⅰ)  21単位/日

1回の送迎につき平均10人以上が利用し、かつ、週3回以上の送迎を実施している場合

(利用定員が20人未満の就労移行支援の事業所にあっては、平均的に定員の50/100以上が利用している場合)

送迎加算(Ⅱ)  10単位/日

  1. 1回の送迎につき平均10人以上が利用している(利用定員が20人未満の就労移行支援の事業所にあっては、平均的に定員の50/100以上が利用している) または、
  2. 週3回以上の送迎を実施している場合

就労移行支援における「障害福祉サービスの体験利用支援加算」

就労移行支援の利用者が障害福祉サービス事業の体験利用を行った場合に、15日以内に限り算定されます。

  • 初日から5日目まで  500単位/日 +50単位/日(地域生活支援拠点等の場合)
  • 6日目から15日目まで 250単位/日 +50単位/日(地域生活支援拠点等の場合)

就労移行支援における「通勤訓練加算」

外部から専門職員を招いて、就労移行支援の利用者に対し白杖による通勤訓練を実施した場合に加算されます。

  • 通勤訓練加算  800単位/日

就労移行支援における「在宅時生活支援サービス加算」

通所利用が困難で、住宅による支援がやむを得ないと市町村が判断した就労移行支援の利用者に対して、一定の要件を満たしたうえで支援を提供した場合に加算されます。

  • 在宅時生活支援サービス加算 300単位/日

就労移行支援における「社会生活支援特別加算」

医療観察法に基づく通院医療の利用者、刑務所出所者等に対して、地域で生活するために必要な相談援助や個別支援等を行った場合に加算されます。

  • 社会生活支援特別加算  480単位/日

就労移行支援における「支援計画会議実施加算」

就労移行支援の各利用者の就労移行支援計画の作成又は見直しに当たって、外部の関係者を交えた会議を開催し、関係者の専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画の作成、変更その他必要な便宜の提供について検討を行った場合に、1月に1回(年4回を限度)、所定単位数を加算します。

  • 支援計画会議実施加算  583単位/回

就労移行支援における「福祉・介護職員処遇改善加算」

福祉・介護職員の賃金改善等について、就労移行支援の事業所が、一定の基準に適合する取組みを実施している場合に加算されます。

  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ) 所定単位数の6.4%
  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅱ) 所定単位数の4.7%
  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ) 所定単位数の2.6%
  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ) 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の90/100
  • 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅴ) 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の80/100

※ 福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)(Ⅴ)については、令和2年度から継続して算定する場合のみ令和4年3月サービス提供分まで算定が可能です。

就労移行支援における「福祉・介護職員処遇改善特別加算」

福祉・介護職員を中心として就労移行支援事業所の従業者の処遇改善が図られている場合に加算されます。

  • 福祉・介護職員処遇改善特別加算  所定単位数の0.9%

※ 福祉・介護職員職員処遇改善特別加算については、令和2年度から継続して算定する場合のみ令和4年3月サービス提供分まで算定が可能です。

就労移行支援における「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」

福祉・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)から(Ⅲ)までのいずれかを取得している就労移行支援の事業所が、当該加算の職場環境等要件に関し、複数の取組みを行っているとともに、当該加算に基づく取組みについて、ホームページへの掲載等を通じた見える化を行っている場合に加算されます。

  • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ) 所定単位数の1.7%
  • 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ) 所定単位数の1.5%

福祉・介護職員等特定処遇改善加算の所定単位は、基本報酬及び各加算(福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員処遇改善特別加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算を除く)を算定した単位数の合計をいいます。


当事務所では、大阪・京都・奈良での就労移行支援の事業所様に向けて就労移行支援における加算の取得や減算に対応したコンサルティングサービスを提供しております。就労移行支援の開業や運営でお困りの方は、お電話またはメールにてご相談ください。

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