就労移行支援の実地指導対策と必要書類一覧をわかりやすく解説

就労移行支援の事業所においても定期的に実地指導は入ります。普段からコンプライアンスを意識していれば実地指導の通知が送られてきたからといって慌てる必要はありません。

就労移行支援の人員基準、運営基準、設備基準を中心とした関係法令を正しく理解し、実地指導でも慌てることのないように、普段からコンプライアンスを意識した適正な就労移行支援の事業所運営を心掛けるようにしましょう。

以下は、就労移行支援の実地指導当日に準備しておく書類一覧です。自治体によって若干の違いはありますが、概ね同じですので実地指導の通知が届いてから慌てるのはなく、普段から整備しておくようにしましょう。

就労移行支援の実地指導当日に用意しておく準備書類一覧

準備書類 備考
運営に関するもの
1 運営規程  
2 勤務予定実績表 勤務形態一覧表
3 従業者の勤務状況等の確認ができる書類 タイムカード、出勤簿など
4 従業者の雇用状況等の確認ができる書類 ・雇用契約書・労働条件通知書など
・就業規則
5 従業者の資格証  
6 従業者の守秘義務が確認できる書類 誓約書・就業規則・雇用契約書など
7 従業者の健康状態の把握が確認できる書類 健康診断結果の写しなど
8 従業者の給与の支払いが確認できる書類 賃金規定、賃金台帳、給与明細など
9 業務日誌 事業所の1日の活動をまとめたもの
10 各種マニュアル ・事故対応マニュアル
・緊急時対応マニュアル
・感染症防止マニュアル
・苦情対応マニュアル
・虐待防止マニュアル など
11 苦情(要望・相談)解決に関する記録  
12 事故・ひやりはっと報告に関する記録  
13 研修に関する記録 人権研修・内部研修・外部研修
14 車両運行記録、車検証の写し 送迎サービスを実施している場合
15 協力医療機関等との契約書、連携記録書など  
16 平均利用者数調書  
17 非常災害対策に関する書類 避難訓練実施記録、消防計画など
18 生産活動に係る賃金及び工賃の支払い根拠
が確認できる書類
生産活動を行う場合
サービス提供に関するもの
19 ・重要事項説明書
・利用契約書、
・個人情報の使用に関する同意書
3点セット
20 受給者証の写し  
21 市町村へ提出した契約内容報告書の写し  
22 ・サービス提供に関する計画書
・計画の作成に関する書類
・個別支援計画書など
・アセスメント、モニタリング記録など
23 サービス提供記録 日々の支援記録
24 サービス担当者会議に係る記録 相談支援事業所が入ってるケース
介護給付費等の請求に関するもの
25 介護給付費等明細書の写し 国保連請求分
26 サービス提供実績記録票  
27 法定代理受領通知書の写し  
28 利用者等に交付した請求書・領収書の写し  
29 各種加算に係る算定要件を満たしていることが
確認できる書類
 
30 定員超過利用減算に係る利用実績記録票  
その他
31 会計の区分  
32 賠償保険の証書など 事業者賠償保険の保険証券
33 事業所の広告、パンフレット  
34 事業者指定申請書、変更届出書等の写し  
35 集団指導資料  

 

就労移行支援事業所の運営規程

就労移行支援事業所の運営規程です。過去に内容を変更しているようであれば最新の運営規程を準備します。また、運営規程を変更する際は、変更届の提出が必要ですので、それらの変更届の副本(控え)も保管するようにしましょう。

就労移行支援事業所の勤務予定実績表(勤務形態一覧表)

就労移行支援事業所の勤務予定実績表は人員基準を判断するために非常に重要な書類です。この勤務予定実績表(勤務形態一覧表)を整備していない事業所もたまに見受けられますが、人員配置を管理できてないということですので、人員配置基準をクリアしているのかどうか疑われてしまいます。

勤務予定実績表(勤務形態一覧表)のサンプル

この毎月の勤務予定実績表(勤務形態一覧表)は、「予定」については出勤シフト表をもとに、「実績」については出勤簿やタイムカードなどのスタッフの実際の勤務状況がわかる資料をもとに作成するようにしましょう。

毎月の勤務の「予定」と「実績」を作成し、人員配置が就労移行支援で求められる人員配置基準をクリアしているかどうかを確認し、保管するようにしましょう。

就労移行支援の人員配置基準を正しく理解して、毎月の勤務予定実績表(勤務形態一覧表)を整備するようにしましょう。就労移行支援の人員配置基準をクリアしていない場合には、「サービス管理責任者欠如減算」や「サービス提供職員欠如減算」に該当し、減算適用となってしまう可能性があります。

就労移行支援の人員配置基準

https://syogaifukushi-osaka.com/shuro-iko-shien-jinin-haichi-kijun/

サービス管理責任者欠如減算
指定基準に定める人員配置基準を満たしていない場合、「その翌々月」から「人員欠如が解消されるに至った月」までの間、サービス管理責任者欠如減算が適用されます。

  • 減算適用1月目から4月目は、所定単位数の70%を算定(30%の減算)
  • 減算適用5月目以降は、所定単位数の50%を算定(50%の減算)
サービス提供職員欠如減算(人員欠如減算)
指定基準に定める人員配置基準を満たしていない場合、1割を超えて欠如した場合には「その翌月から」「人員欠如が解消されるに至った月まで」の間、1割の範囲内で欠如した場合には「その翌々月から」「人員欠如が解消されるに至った月まで」の間、サービス提供職員欠如減算が適用されます。

  • 減算適用1月目から2月目は、所定単位数の70%を算定(30%の減算)
  • 減算適用3月目以降は、所定単位数の50%を算定(50%の減算)

 

就労移行支援事業所に勤務する従業者の勤務状況等の確認ができる書類(タイムカード・出勤簿など)

就労移行支援の事業所で勤務する従業者(スタッフ)の勤務状況がわかる資料(タイムカードや出勤簿など)を準備します。

タイムカードや出勤簿などの書類と上記の勤務予定実績表(勤務形態一覧表)との整合性をチェックされます。勤務形態一覧表(とくに勤務実績表)は出勤簿などのスタッフの勤務状況がわかる書類をもとに正しく記録するようにしましょう。

就労移行支援事業所の従業者の雇用状況等の確認ができる書類(雇用契約書・労働条件通知書など、就業規則)

就労移行支援の実地指導では、労働法関係の帳票類もチェックされます。雇用契約書や労働条件通知書などを確認することで、会社と雇用関係にあるスタッフを配置しているかどうかを確認するためです。

就業規則については、常勤か非常勤かの根拠規定が就業規則になりますので、1週間の所定労働時間の記載を確認するようにしましょう。また、処遇改善加算を算定しているのであれば就業規則の賃金規定部分や就業規則とは別の賃金規程も影響しますのでキャリアパスプランと一緒に保管するようにしましょう。

就労移行支援事業所に勤務する従業者の資格証

就労移行支援事業所に勤務するスタッフ(管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員、就労支援員など)で、研修の終了証や国家資格などを有するスタッフがいる場合は、それらの資格証の写しを保管するようにしましょう。

スタッフの履歴書や労務関係の帳票類をまとめた従業者台帳と一緒に整備しておくとわかりやすいでしょう。

就労移行支援事業所に勤務する従業者の守秘義務が確認できる書類(誓約書・就業規則・雇用契約書など)

就労移行支援の事業所で働くスタッフには利用者さんの情報や事業所の情報を外部に漏らさないように守秘義務を守らなければなりません。そのため、スタッフを雇用する際には「機密保持の誓約書」を提出してもらいます。

誓約書には就労移行支援の事業所で働いている期間だけでなく、退職後も秘密情報を第三者に漏らさないような一文を入れておくようにしましょう。

また、誓約書だけでなく、就業規則や雇用契約書にも機密情報や個人情報の取扱い方法を明記しておきましょう。

就労移行支援事業所に勤務する従業者の健康状態の把握が確認できる書類(健康診断結果の写しなど)

就労移行支援事業所の従業者は、労働安全衛生法に基づいて「雇用時」と雇用後は「年1回」の健康診断を受診する必要があります。常勤者はもちろんですが、所定労働時間の3/4以上の時間を勤務する非常勤者も事業所の費用で受診する必要があります。

健康診断については、その結果の写しを保管しておくとともに、事業所の費用で受診したことを証明するために、病院からもらった領収書を保管するようにしましょう。

就労移行支援事業所に勤務する従業者の給与の支払いが確認できる書類(賃金規程、賃金台帳、給与明細等)

就労移行支援事業所に勤務するスタッフの賃金台帳や給与明細書を保管しておきましょう。とくに処遇改善加算を算定している場合は、どの項目で賃金改善分を支払っているのか確認される場合がありますので、役所に提出した処遇改善加算の計画書と実績報告書も保管しておくようにしましょう。

就労移行支援事業所の業務日誌(事業所としてのもの)

就労移行支援事業所の業務日誌については決められた書式はありませんが、事業所の1日の動きがわかるように記録を残すようにしましょう。後追いができるように記録を残すことによって業務の効率化にもなります。

当事務所の顧問先事業所様には、役所に確認した事項がある場合には、業務日誌の余白に①確認した日時、②確認した内容、③対応してくれた役所の担当者、④確認したスタッフの名前、を記録してもらうようにしています。就労移行支援の実地指導で疑義が出た場合に、この記録が事業所を守ってくれることもあるからです。

就労移行支援事業所の各種マニュアル

就労移行支援の事業所では各種マニュアルを整備しておく必要があります。ネットで落ちているマニュアルをコピーしてファイリングしているだけでは緊急時に使えませんので、必ず事業所実態に即したマニュアルを整備しておく必要があります。

  • 事故対応マニュアル
  • 緊急(急病)時対応マニュアル
  • 感染症対策マニュアル
  • 苦情相談対応マニュアル
  • 虐待防止マニュアル

当事務所では、就労移行支援事業所の顧問先様には、上記の各マニュアルを事業所に合うように作成して提供しております。マニュアルを上手に活用して、事故が起きないように、起きたとしても迅速に冷静に対応できるように準備しておくようにしましょう。

就労移行支援事業所の苦情(要望・相談)解決に関する記録

就労移行支援のサービス提供により苦情が発生したのために、苦情相談対応マニュアルを整備し、苦情(要望や相談も含む)があった場合は、その記録を残し、改善に向けた取り組みに活かせるようにしましょう。

就労移行支援事業所の事故・ひやりはっと報告に関する記録

事故・ひやりはっと事例が発生した際は、適切に記録し、その原因を解明し、再発を防ぐための対策を講じるようにしましょう。

就労移行支援事業所の研修に関する記録(人権研修、内部研修、外部研修)

利用者の人権擁護、虐待防止の観点から、従業者に対し1年に1回以上、「人権に関する研修」を実施し記録を残すようにしましょう。「人権に関する研修」以外にも以下のような取組みを行う必要があります。

感染症の予防及びまん延防止等に関する取組み(令和6年4月1日より義務化/令和6年3月31日まで努力義務)

感染症の予防及びまん延の防止等に関する取組みの徹底を図る観点から、事業所の取組みとして

  1. 感染対策委員会の定期開催及び結果の従業者への周知徹底(3月に1回以上)
  2. 指針の整備
  3. 定期的な研修・訓練の実施(年2回以上)

が義務付けられました。3年間の経過措置(令和6年3月31日まで)の後、令和6年4月1日から義務化されます。

就労移行支援の場合、感染対策委員会は「3月に1回以上」、研修・訓練は「年2回以上」の開催が必要です。

虐待防止対策の強化(令和4年4月1日より義務化)

障がい者虐待防止の更なる推進のため、事業者の取組みとして、

  1. 虐待防止委員会の定期開催および結果の従業者への周知徹底
  2. 定期的な研修の実施
  3. 虐待防止のための担当者の配置

が義務付けられました。

就労移行支援の場合、虐待防止委員会は「少なくとも年1回」、研修は「年1回以上」の開催が必要です。

身体拘束等の適正化を図る取組み

身体拘束等の適正化を図る措置を講じていない場合、すべての利用者に対して、1日につき5単位が減算されます。

  1. 身体拘束等に係る記録が行われていない。
  2. 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を定期的(1年に1回以上)に開催していない。
  3. 身体拘束等の適正化のための指針を整備していない。
  4. 身体拘束等の適正化のための研修を定期的(1年に1回以上)に実施していない。

上記2~4について、運営基準上は令和4年4月1日から義務化されてますが、減算が適用されるのは令和5年4月1日以降です。

ハラスメント対策の強化

令和3年4月から、障がい福祉サービス事業者等においても、措置を講ずることが義務化されました。令和4年3月31日までの経過措置の後、令和4年4月1日から義務化されました。

業務継続に向けた取り組み

感染症や災害の発生時において、利用者に対するサービス提供を継続するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定しなければなりません。令和6年3月31日までは努力義務ですが、令和6年4月1日から義務化されます。

業務継続計画(BCP)は、

  • 感染症に係る業務継続計画
  • 災害に係る業務継続計画

の2種類を策定する必要があります。

就労移行支援の車両運行記録、車検証の写し(送迎サービスを実施の場合)

送迎サービスを実施している場合は、車両運行記録と車検証の写しが必要です。
また、事故が起こったときのために保険には加入するようにしましょう。

就労移行支援事業所と協力医療機関等との契約書、連携記録書など

「協力医療機関との契約書(誓約書、協定書)の写し」は就労移行支援の指定申請の添付書類ですが、原本を保管しているかを確認されます。指定時にお医者さんに押印していただいた協力医療機関との契約書(誓約書、協定書)は必ず大切に保険しておくようにしましょう。

就労移行支援の平均利用者数調書(平均利用者数計算シート)

就労移行支援の人員配置基準は、「平均利用者数」をもとに計算します。そのため、毎月の利用者数の記録が大切になりますが、その記録が「平均利用者数調書」です。

当事務所では、大阪府が提供している平均利用者数・人員計算表を顧問先事業所様用にカスタマイズし、毎月記録できるように月ごとの「平均利用者数計算シート」として提供いたしております。この「平均利用者数計算シート」で毎月の平均利用者数を管理することで適切な人員配置も可能になります。

平均利用者数計算シートのサンプル

 

上記のように就労移行支援事業所の「平均利用者数」は、就労移行支援の人員配置基準の計算のもとになるものですので、就労移行支援の人員配置基準の正しい理解が必要です。

就労移行支援の人員配置基準

就労移行支援の人員配置基準をクリアしているかどうかの記録する際の作業手順は、

  1. 「平均利用者数計算シート」に毎月の「利用者延べ人数」と「開所日数」を入力
  2. 就労移行支援の必要処遇職員数(職業指導員・生活支援員・就労支援員)の確定
  3. 就労移行支援の勤務「予定」表(勤務形態一覧表)の入力
  4. 就労移行支援の人員配置基準がクリアしているかを確認
  5. 就労移行支援のサービスを提供
  6. 就労移行支援の勤務「実績」表(勤務形態一覧表)の入力
  7. 就労移行支援の人員配置基準をクリアしているかを確認

という流れになります。

※指定日から6ヶ月間は、平均利用者数は「利用定員×90%」として取り扱われますので、1.の作業は不要です。また、「前年度1年間」の実績ができた場合には、4月に2.の必要処遇職員数が確定しますので、その確定した必要処遇職員数がその4月からはじまる1年度の必要処遇職員数(人員配置基準)となります。

非常災害対策に関する書類

  • 避難訓練実施記録
  • 消防計画(消防避難マニュアル)
  • 水害時の避難確保計画

就労移行支援に限ったことではありまんが、事業所は非常災害に備えるため、少なくとも年2回以上定期的に避難、救出その他必要な訓練を行うようにしましょう。また、風水害等自然災害に備えるため、適切に避難訓練等を行うことが必要です。

消防(避難)訓練を実施した際には、その記録を作成・保管するようにしましょう。当事務所では消防訓練(避難訓練)を実施した際は、その実施の様子を撮影した写真をとっておき、実施記録と一緒に保管しておくことをお勧めしています。

生産活動に係る賃金及び工賃の支払い根拠が確認できる書類(賃金規程、工賃規程、請負先との契約書など)

就労移行支援の事業所では、生産活動は必須ではありませんが、生産活動を行って利用者に工賃を支払う場合は、工賃規程などを整備し、工賃支払いの記録を残すようにしましょう。

就労移行支援の重要事項説明書、利用契約書、個人情報の使用に関する同意書(3点セット)

個人情報の使用同意書について、サービス担当者会議等で使用することや、他の障がい福祉サービス事業所に情報提供する場合があるなど、個人情報を使用することについて、利用者のほか、その家族(原則、個人情報を取得した家族全員)からあらかじめ文書による同意を得ておくようにしましょう。

就労移行支援を利用する利用者さんの受給者証の写し

就労移行支援を利用する利用者さんの受給者証をコピーさてもらい、そのコピーを事業所で保管するようにします。受給者証には、受給者証番号や支給決定などの情報が記載されています。この情報は国保連へ訓練等給付を請求する際にも必要な情報になります。

市町村へ提出した就労移行支援の契約内容報告書の写し

就労移行支援の事業所は、利用者さんと就労移行支援の利用契約を締結した場合には、以下のような契約内容報告書を市町村へ提出します。この書類も市町村へ提出する際には「控え」をとるようにして、保管するようにしましょう。

契約内容報告書のサンプル

 

就労移行支援のサービス提供に関する計画書(個別支援計画など)及び計画の作成に関する書類(アセスメント、モニタリング記録など)

就労移行支援のサービスを提供する際には、一連の流れに沿った就労移行支援のサービスを提供する必要があります。そのため、一連の流れに沿ったサービスを提供していることを証明できるように帳票類を整備する必要があります。

個別支援計画の作成プロセス

https://syogaifukushi-osaka.com/kobetsu-shien-keikaku/

就労移行支援の個別支援計画の作成プロセスは、アセスメント→個別支援計画の「原案」の作成→支援担当者会議→正式な個別支援計画の説明・同意・交付→モニタリング(就労移行支援の場合は3ヶ月以内に1回以上)という流れになります。

最近の実地指導で指摘されている事項で非常に多いのが、この就労移行支援の個別支援計画の作成プロセスの「支援担当者会議」の記録が抜けているという点です。記録が残ってないため一連の流れに沿った就労移行支援のサービスを提供しているとは認められず、「個別支援計画の未作成」と判断されてしまいます。とすると、「個別支援計画未作成減算」が適用されてしまって訓練等給付の減算となってしまいますので注意しましょう。

個別支援計画未作成減算
就労移行支援計画が作成されずにサービスが提供された場合、「当該月」から「当該状態が解消されるに至った月の前月」までの間、減算が適用されます。

  • 減算適用1月目から4月目  所定単位数の70%を算定(30%の減算)
  • 減算適用3月目以降     所定単位数の50%を算定(50%の減算)

就労移行支援のサービス提供記録(サービス提供実績記録票以外のもの)

日々のサービス提供記録を作成して保管する必要があります。就労移行支援の事業所さんによっては「支援記録」や「ケース記録」と呼んでいる場合もあります。毎日の利用者さんの活動記録や体調の様子などを記録して、後の支援のために役立たせます。

また、就労移行支援事業所は、就労移行サービスを提供した際は、提供日、内容その他必要な事項を、就労移行サービスの供の都度記録し、利用者さんから確認を受けなければなりません(基準省令第184条準用第19条)。

相談支援事業所とのサービス担当者会議に係る記録など

相談支援事業所が就労移行支援の利用者さんの相談支援を行っている場合、相談支援事業所の相談支援員と就労移行支援事業所のサービス管理責任者とでサービス担当者会議が行われます。そのサービス担当者会議の議事録を保管しておく必要があります。

就労移行支援の訓練等給付費等明細書の写し(国保連請求分)

就労移行支援の事業所は、サービス提供の報酬を国保連に請求した際の「介護給付費・訓練等給付費等明細書」の写しを保管しておく必要があります。
就労移行支援の事業所の各月の売上や利用者さんごとの明細がわかる重要な書類ですので、プリントアウトして大切に保管するようにしましょう。

就労移行支援のサービス提供実績記録票

就労移行支援の場合、サービス提供実績記録票は「就労移行支援提供実績記録票」を用います。厚生労働省が改正に合わせて書式も変更して提供していますので、最新の書式を利用するようにしましょう。

就労移行支援提供実績記録票サンプル

※厚生労働省の以下のサイトより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000174644_00016.html

このサービス提供実績記録票の「利用者確認欄」について、就労移行支援の事業者は、サービス利用者に対し、原則としてサービス提供の都度、実績記録票の記載内容を提示し、確認を求めなければなりません(参照:事務処理要領)

そのため、1ヶ月分をまとめて確認を求めている場合には、自治体によっては指摘されますので注意しましょう。

※介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)令和3年4月
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000763375.pdf

法定代理受領の通知の写し

就労移行支援の事業所に支払われるサービスの利用料(訓練等給付費)は、本来は国から利用者に一度支払われてその後に利用者から事業所に支払われるという流れになるのですが、就労移行支援の事業所が利用者の代わりに国保連に請求し、直接、就労移行支援の事業所にサービス利用料(訓練等給付費)が支払われます。この制度を「法定代理受領」といいます。

そして、就労移行支援の事業所は、サービスの利用料(訓練等給付費)の支払いを受けた場合は、利用者さんごとに以下のような「法定代理受領の通知」を利用者さんに交付しなければなりません。

法定代理受領の通知のサンプル

この法定代理受領の通知を利用者さんに交付する場合には、国保連にサービス利用料を請求した際の「訓練等給付費明細書」の写しも一緒に交付して、利用者さんがその内訳も理解できるようにしましょう。

就労移行支援の利用者等に交付した請求書・領収書の写し

就労移行支援の利用者さんに、サービス利用料の一部を請求する場合や食費などを請求する場合には、請求書や領収書の写しを保管するようにしましょう。領収書の写しについては、利用者さんに交付するのみで、写しや控えを保管していない事業所様もありますが、後のトラブルを防止するためにも、領収書の控えや写しを保管するようにしましょう。

就労移行支援の各種加算に係る算定要件を満たしていることが確認できる書類

就労移行支援の事業所として、各種の加算を算定している場合には、その加算の算定要件を満たしていることを証明できる記録や帳票類を整備しておかなければなりません。必要な記録や帳票類は加算の種類によって異なりますので、その加算の算定要件を正しく理解して記録や帳票類を保管するようにしましょう。

福祉・介護職員処遇改善加算

毎年、指定権者に提出している「福祉・介護職員処遇改善加算計画書」と「福祉・介護職員処遇改善加算実績報告書」を保管していることが必要です。

また、処遇改善加算の「計画書」や「キャリアパスプラン」はスタッフに「周知」している必要がありますので、周知した際の議事録などを残すなどして「どのような方法で周知しているのか」を証明できるようにしておきましょう。

欠席時対応加算

欠席時対応加算は、利用者が急病等により利用を中止した際に、連絡調整や相談援助を行った場合に、月4回まで加算されます。

欠席時対応加算の算定には、以下のすべてを満たす必要があります。

① 急病などによりその利用を中止した日の前々日、前日又は当日に欠席の旨の連絡があること。

※あらかじめ欠席予定があるものについて、連絡日が要件に該当することを理由として算定することはできません。

② 利用者またはその家族などとの連絡調整その他の相談援助を行う。

※具体的には電話などにより利用者の状況を確認し、引き続きサービスの利用を促すなどの相談援助を行う必要があります。

③ 「連絡日」「欠席日」「対象者」「(電話)対応者」「相談援助の内容」を記録すること。

そのため、欠席時対応加算については、相談援助の内容を記録しておく必要がありますが、その記録には、a.欠席の連絡を受けた日付、b.欠席する日、c.連絡を受けたスタッフの名前、d.利用者の状況・欠席の理由、e.引き続き就労移行支援の利用を促すような相談援助の内容(次回通所予定日など)などの記録を残しておくようにしましょう。

就労移行支援の定員超過利用減算に係る利用実績記録票

就労移行支援の定員超過減算に該当するかどうか確認するために、定員超過利用減算に係る利用実績記録票(定員超過利用減算確認表など)を整備しておく必要があります。

定員超過利用減算確認表(愛知県のWEBサイトより)

定員超過利用減算確認表のダウンロード

定員超過利用減算
以下のいずれかに該当する場合には定員超過利用減算が適用され、所定単位数の70%を算定(30%の減算)することになります。

  • 1日あたりの利用者数が、定員が50人以下の場合は当該定員の150%を、定員が51人以上の場合は、当該定員から50を差し引いた員数の125%に75を加えた数を、それぞれ超過している場合
  • 過去3ヶ月間の平均利用者数が、定員の125%を超過している場合(ただし、定員が11人以下の場合は当該定員に3を加えた数を超過している場合)

就労移行支援の利用定員を超えた利用者の受け入れについては、適正なサービス提供が確保されることを前提に地域の社会資源の状況等から新規の利用者を当該事業所において受け入れる場合等「やむを得ない事情が存在する場合」に限り認められます。

就労移行支援の利用定員が恒常的に超過している状態が続いている状況は、「やむを得ない事情が存在する場合」とは言えませんので、利用定員を増員するなどの適切な対応をとることが必要です。

会計の区分

会計を事業ごと(事業所や施設ごとではなく指定事業ごと)に区分する必要があります。

また、就労移行支援の事業所であっても生産活動を行っている場合には、就労支援会計によって、「生産活動収益」と「訓練等給付費」を明確に分けて記録しておく必要があります。

就労移行支援事業の賠償保険の証書等(保険証券)

事業者賠償責任保険に加入していることを証明するために保険証券を保管しておきましょう。実地指導の際は、保険の期限が切れていないかを確認されますので、保険証券を大切に保管するようにしましょう。

就労移行支援の事業所の広告、パンフレット

就労移行支援の事業所に、広告やパンフレットがある場合には、それらの広告物も準備しておきます。利益を提供して利用者さんを集めるような表記となっていないかなど、適切な表現となっているかどうかを確認されます。

就労移行支援の事業者指定申請書・変更届出書などの写し

就労移行支援を開業する際には提出した指定申請書類の副本(控え)や、申請事項を変更した場合の変更届の副本(控え)は適切に保管するようにしましょう。

指定申請書類の控えや変更届の控えをWordやExcelのファイルのまま保管している事業所さんもありますが、知らないうちにデータが書き換わっていたり、PC内のどこに保管したのか書類の作成者しかわからなくなってしまったりして、申請した際の情報がわからなくなってしまっている事業所さんもたまにおられます。申請した際の情報がわからないようでは、適切な運営はできませんので、指定申請書類や変更届の副本(控え)は必ず紙ベースでファイリングして(もしくはPDF化して)保管するようにしましょう。

集団指導資料

就労移行支援の集団指導を受けた際の資料を保管するようにしましょう。集団指導は必ず出席するようにし、その際の資料を見返すなどして就労移行支援の運営に役立たせるようにしましょう。

 


就労移行支援の実地指導については、就労移行支援の人員基準、設備基準、運営基準を正しく理解して、普段から記録を残すようにしておけば実地指導の通知がきたからといって慌てる必要はありません。

当事務所では、就労移行支援の事業所様が実地指導の通知がきたからといって慌てることなく適切に事業所運営ができるように、月極で定額の顧問料という形でコンサルティングサービスも提供しております。

就労移行支援の事業所運営について不安がある事業所様は、当事務所のコンサルティングサービスをご検討ください。

 

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    ・ユーザーからのお問い合わせに回答するため(本人確認を行うことを含む)
    ・ユーザーが利用中のサービスの新機能,更新情報,キャンペーン等及び当社が提供する他のサービスの案内のメールを送付するため
    ・メンテナンス,重要なお知らせなど必要に応じたご連絡のため
    ・利用規約に違反したユーザーや,不正・不当な目的でサービスを利用しようとするユーザーの特定をし,ご利用をお断りするため
    ・ユーザーにご自身の登録情報の閲覧や変更,削除,ご利用状況の閲覧を行っていただくため
    ・有料サービスにおいて,ユーザーに利用料金を請求するため
    ・上記の利用目的に付随する目的

    第4条(利用目的の変更)
    1、当社は,利用目的が変更前と関連性を有すると合理的に認められる場合に限り,個人情報の利用目的を変更するものとします。
    2、利用目的の変更を行った場合には,変更後の目的について,当社所定の方法により,ユーザーに通知し,または本ウェブサイト上に公表するものとします。

    第5条(個人情報の第三者提供)
    1、当社は,次に掲げる場合を除いて,あらかじめユーザーの同意を得ることなく,第三者に個人情報を提供することはありません。ただし,個人情報保護法その他の法令で認められる場合を除きます。
    ・人の生命,身体または財産の保護のために必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき
    ・公衆衛生の向上または児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき
    ・国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって,本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき
    ・予め次の事項を告知あるいは公表し,かつ当社が個人情報保護委員会に届出をしたとき
    利用目的に第三者への提供を含むこと
    ・第三者に提供されるデータの項目
    ・第三者への提供の手段または方法
    ・本人の求めに応じて個人情報の第三者への提供を停止すること
    ・本人の求めを受け付ける方法
    2、前項の定めにかかわらず,次に掲げる場合には,当該情報の提供先は第三者に該当しないものとします。
    ・当社が利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部または一部を委託する場合
    ・合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供される場合
    ・個人情報を特定の者との間で共同して利用する場合であって,その旨並びに共同して利用される個人情報の項目,共同して利用する者の範囲,利用する者の利用目的および当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名または名称について,あらかじめ本人に通知し,または本人が容易に知り得る状態に置いた場合

    第6条(個人情報の共有)
    当社は、グループ各社の専門性を活かしつつ、より付加価値の高いサービス等を提供するため、個人情報を共同利用することがあります。
    (1)共同利用する個人情報の項目
    お名前、ご住所、生年月日、ご連絡先(電話番号・メールアドレス等)、年齢、性別、ご家族構成、 保有資格情報、所属(勤務先・所属部署・役職名)、お取引に関する情報(弊社との取引実績や取引内容等)、お取引のニーズやお問い合わせ履歴等のお客様等に関する情報、ご意見やクレームに関する情報

    (2)共同利用する者の範囲
    行政書士向井総合法務事務所/株式会社みらい共創パートナーズ
    (3)共同利用する者の利用目的
    ・お客様等のニーズに即した最適な商品・サービスを総合的にご提案・ご案内・ご提供するため
    ・各種商品やサービス等についてマーケティング・研究・開発するため
    ・グループ全体のコンプライアンス・リスク管理・人事労務管理等、経営・内部管理業務を遂行するため
    (4)当該個人情報の管理について責任を有する者
    大阪府枚方市朝日丘町11番5号グレースレジデンス朝日丘303号室
    行政書士向井総合法務事務所 代表 向井博

    第7条(個人情報の開示)
    1、当社は,本人から個人情報の開示を求められたときは,本人に対し,遅滞なくこれを開示します。ただし,開示することにより次のいずれかに該当する場合は,その全部または一部を開示しないことがあります。
    ・本人または第三者の生命,身体,財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
    ・当社の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
    ・その他法令に違反することとなる場合
    2、前項の定めにかかわらず,履歴情報および特性情報などの個人情報以外の情報については,原則として開示いたしません。

    第8条(個人情報の訂正および削除)
    1、ユーザーは,当社の保有する自己の個人情報が誤った情報である場合には,当社が定める手続きにより,当社に対して個人情報の訂正,追加または削除(以下,「訂正等」といいます。)を請求することができます。
    2、当社は,ユーザーから前項の請求を受けてその請求に応じる必要があると判断した場合には,遅滞なく,当該個人情報の訂正等を行うものとします。
    3、当社は,前項の規定に基づき訂正等を行った場合,または訂正等を行わない旨の決定をしたときは遅滞なく,これをユーザーに通知します。

    第9条(個人情報の利用停止等)
    1、当社は,本人から,個人情報が,利用目的の範囲を超えて取り扱われているという理由,または不正の手段により取得されたものであるという理由により,その利用の停止または消去(以下,「利用停止等」といいます。)を求められた場合には,遅滞なく必要な調査を行います。
    2、前項の調査結果に基づき,その請求に応じる必要があると判断した場合には,遅滞なく,当該個人情報の利用停止等を行います。
    3、当社は,前項の規定に基づき利用停止等を行った場合,または利用停止等を行わない旨の決定をしたときは,遅滞なく,これをユーザーに通知します。
    4、前2項にかかわらず,利用停止等に多額の費用を有する場合その他利用停止等を行うことが困難な場合であって,ユーザーの権利利益を保護するために必要なこれに代わるべき措置をとれる場合は,この代替策を講じるものとします。

    第10条(プライバシーポリシーの変更)
    1、本ポリシーの内容は,法令その他本ポリシーに別段の定めのある事項を除いて,ユーザーに通知することなく,変更することができるものとします。
    2、当社が別途定める場合を除いて,変更後のプライバシーポリシーは,本ウェブサイトに掲載したときから効力を生じるものとします。

    第11条(お問い合わせ窓口)
    本ポリシーに関するお問い合わせは,下記の窓口までお願いいたします。

    所在:大阪府枚方市朝日丘町11番5号 グレースレジデンス朝日丘303号室
    事業所名:行政書士向井総合法務事務所
    担当者:向井博

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