就労移行支援の基本報酬をわかりやすく解説

就労移行支援事業は、就労を希望する65歳未満の障害者に対して、就労に必要なサービスを最長2年間を標準として提供する「一般型」と、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の学校又は養成施設において、それぞれの免許を取得するための支援を3年又は5年間行う「養成施設型」があります。一般型か養成施設型かで報酬体系が異なります。

※ 2年間のうちに十分な成果が得られなかった場合は、「引き続きサービスを提供することによって改善効果が具体的に見込まれる」場合に限り、市町村審査会の個別審査を経て、最大1年間(原則1回)の利用継続が可能になっています。

また、就労移行支援の報酬は、利用者が就労移行支援事業所を卒業して一般就労した場合に、就職後6ヶ月以上定着した者の割合(就労定着率)に応じた報酬体系とされています。

就労移行支援の報酬単位

就労移行支援の報酬単位は、利用定員ごとに就労定着率(就労後6ヶ月以上定着率)に応じた設定となっています。

就労移行支援サービス費(Ⅰ)一般型

一般型
(1日あたり)
就職後6ヶ月以上定着率
5割以上 4割以上
5割未満
3割以上
4割未満
2割以上
3割未満
1割以上
2割未満
0割超
1割未満
0割



20人下 1,210単位 1,020単位 879単位 719単位 569単位 519単位 479単位
21人以上
40人以下
1,055単位 881単位 743単位 649単位 524単位 466単位 432単位
41人以上
60人以下
1,023単位 857単位 711単位 614単位 515単位 446単位 413単位
61人以上
80人以下
968単位 816単位 664単位 562単位 494単位 418単位 387単位
81人以上 935単位 779単位 625単位 516単位 478単位 392単位 364単位

就労移行支援サービス費(Ⅰ)は、「利用定員」は「利用定員に対する就労定着者の割合(就労定着率)」に応じ、基本報酬を算定します(就労継続支援A型の利用者としての移行、施設外支援の対象となるトライアル雇用は除きます)。

また、利用者を通所させて就労移行支援を提供した場合又は施設入所支援を併せて利用する者に対し、就労移行支援を提供した場合に算定し、利用者が就職した日の前日まで算定が可能です。

「就労定着者の割合(就労定着率)」は、当該年度の「前年度」および「前々年度」において、就労移行支援を受けた後就労し、就労を継続している期間が6ヶ月に達した者(就労定着者)の合計数を、当該「前年度」および「前々年度」の利用定員の合計数で除して得た割合をいいます。

就労定着率/就労移行支援サービス費(Ⅰ)一般型の場合
就労定着率 = 「前年度」及び「前々年度」の就労定着者の合計数 / 「前年度」及び「前々年度」の利用定員合計数 

ここで「6ヶ月に達した者」とは、前年度において企業等での雇用継続期間が6ヶ月に達した者をいいます。例えば、令和6年10月1日に就職した者は、令和7年3月31日に6ヶ月に達した者となります。

ただし、労働時間の延長または休職からの復職の際に就労に必要な知識および能力の向上のための支援を一時的に必要とする者が就労移行支援を受けた場合は、就労移行支援を受けた後、就労を継続している期間が6ヶ月に達した者となります。

また、就労移行支援を経て企業等に雇用された後、就労移行支援の職場定着支援の義務期間中において労働条件改善のための転職支援等を実施した結果、離職後1ヶ月以内に再就職し、最初の企業等の就職から起算して雇用を継続している期間が6ヶ月に達した者は就労定着者として取り扱われます。

就労移行支援サービス費(Ⅱ)養成施設型

養成施設型
(1日あたり)
就職後6ヶ月以上定着率
5割以上 4割以上
5割未満
3割以上
4割未満
2割以上
3割未満
1割以上
2割未満
0割超
1割未満
0割



20人以下 756単位 644単位 553単位 468単位 381単位 348単位 323単位
21人以上
40人以下
699単位 587単位 495単位 433単位 351単位 313単位 291単位
41人以上
60人以下
665単位 560単位 464単位 402単位 338単位 295単位 272単位
61人以上
80人以下
658単位 554単位 453単位 384単位 338単位 286単位 266単位
81人以上 653単位 545単位 439単位 363単位 337単位 277単位 258単位

就労移行支援サービス費(Ⅱ)については、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の学校又は養成施設として認定されている指定就労移行支援事業所が、利用者を通所させて就労移行支援を提供した場合又は施設入所支援を併せて利用する者に対し、就労移行支援を提供した場合に算定します。

就労移行支援サービス費(Ⅱ)は、当該年度の利用定員及び前年度の就労定着者の割合(当該年度の「前年度」において、就労移行支援を受けた後就労し、就労を継続している期間が6ヶ月に達した者の数を当該「前年度」の最終学年の利用定員で除した得た割合をいう。)に応じ、基本報酬を算定します。

就労定着率/就労移行支援サービス費(Ⅱ)養成施設型の場合
就労定着率 = 「前年度」の就労定着者数 / 「前年度」の利用定員数

就労移行支援(Ⅰ)一般型の場合は、対象年度が「前年度」「前々年度」ですが、就労移行支援(Ⅱ)養成施設型は対象年度が「前年度」のみとなります。

就労移行支援の新規指定の際の基本報酬

新規指定の就労移行支援事業所においては、2年度間は、就労定着者の割合が「3割以上4割未満」の場合であるとみなして、基本報酬を算定します。

ただし、2年度目において、初年度の就労定着者の割合が「4割以上」となる場合は、初年度の実績に応じて基本報酬を算定しても差し支えないとされています。

また、3年度目における就労定着者の割合については、「初年度の利用定員に100分の30を乗じた数」と「2年度目において、就労移行支援を受けた後就労し、就労を継続している期間が6ヶ月に達した者」の合計数「初年度」および「2年度目」の利用定員の合計数で除して得た割合とすることができます。

さらに、年度途中に指定された事業所については、支援の提供を開始してから2年間(24月)は、就労定着者の割合が「3割以上4割未満」の場合であるとみなして、基本報酬を算定します。

ただし、支援の提供開始から2年目における就労定着者の割合については、支援の提供を開始した日から1年間において、就労移行支援を受けた後就労し、就労継続している期間が6ヶ月に達した者の数当該1年間の利用定員で除して得た割合に応じて、基本報酬を算定しても差し支えありません。

また、支援の提供を開始してから2年(24月)経過した日の属する月から当該年度の3月までの就労定着者の割合については、「1年目(1月から12月)の利用定員に100分の30を乗じた数」と「支援の提供開始から2年目(13月から24月)において、就労移行支援を受けた後就労し、就労を継続している期間が6ヶ月に達した者」の合計数を1年目の利用定員および2年目の利用定員の合計数で除して得た割合とすることができます。

就労移行支援の地域区分

地域区分というのは、地域間における人件費の差を考慮して、地域間の支援費の配分方法を調整するために設けられた区分のことをいいます。障がい福祉の分野においても、類似制度である介護報酬のおける地域区分との均衡を考慮して、公務員の地域手当の設定に準拠している介護報酬の地域区分の考え方に原則として合わせるものとされています。

奈良県の就労移行支援の地域区分

奈良県の就労移行支援の地域区分

地域区分 就労移行 奈良県
1単位
6級地 10.35円 奈良市、大和高田市、大和郡山市、生駒市
7級地 10.18円 天理市、橿原市、桜井市、御所市、香芝市、葛城市、宇陀市、
山添村、平群町、三郷町、斑鳩町、安堵町、川西町、三宅町、
田原本町、曽爾村、明日香村、上牧町、王寺町、広陵町、河合町
その他 10円 五條市、吉野町、その他

例えば、奈良市(6級地)で就労移行支援事業(一般型・定員20人)を運営する場合

  • 3割以上4割未満   820単位/日 × 10.35 = 8,487円/日

となり、奈良市の就労移行支援(一般型・定員20人)では、新規指定の際は1人あたり8,487円/日の報酬が算定されることになります。

京都府の就労移行支援の地域区分

京都府の就労移行支援の地域区分

地域区分 就労移行 京都府
1単位
5級地 10.59円 京都市
6級地 10.35円 宇治市、亀岡市、向日市、長岡京市、八幡市、
京田辺市、南丹市、木津川市、精華町
7級地 10.18円 城陽市、大山崎町、久御山町、井手町
その他 10円 その他の市町村

例えば、京都市(5級地)で就労移行支援事業(一般型・定員20人)を運営する場合

  • 3割以上4割未満   820単位 × 10.59 = 8,684円/日

となり、京都市の就労移行支援(一般型・定員20人)では、新規指定の際は1人あたり8,684円/日の報酬が算定されることになります。

大阪府の就労移行支援の地域区分

大阪府の就労移行支援の地域区分

地域区分 就労移行 大阪府
1単位
2級地 10.94円 大阪市
3級地 10.89円 守口市、大東市、門真市
4級地 10.71円 豊中市、池田市、吹田市、高槻市、寝屋川市、箕面市
5級地 10.59円 堺市、枚方市、茨木市、八尾市、松原市、摂津市、
高石市、東大阪市、交野市
6級地 10.35円 岸和田市、泉大津市、貝塚市、泉佐野市、富田林市、
河内長野市、和泉市、柏原市、羽曳野市、藤井寺市、
泉南市、四條畷市、大阪狭山市、阪南市、島本町、
豊能町、能勢町、忠岡町、熊取町、田尻町、岬町、
太子町、河南町、千早赤坂村
その他 10円 その他の地域

例えば、大阪市(2級地)で就労移行支援事業(一般型・定員20人)を運営する場合

  • 3割以上4割未満   820単位 × 10.94 = 8,971円/日

となり、大阪市の就労移行支援事業(一般型・定員20人)では、1人あたり8,971円/日の報酬が算定されることになります。


当事業所では、開業支援や運営支援においても就労移行支援の事業所としての収支を意識しながら、他方で人員基準や運営基準を順守して事業所運営をしていただけるように開業支援や運営支援を行っております。就労移行支援の開業や運営でお困りの事業所様は、問合せフォームよりお問い合わせください。

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