就労移行支援事業所又は就労継続支援事業所(就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)において、在宅でのサービス利用を希望する者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者(在宅利用者)に対して、就労移行支援又は就労継続支援を提供するにあたり、次のア~カまでの要件のいずれにも該当する場合には、報酬を算定することができます。
なお、在宅で就労移行支援又は就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)を提供する場合には、就労移行支援又は就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)の運営規程において、在宅で実施する「訓練及び支援内容」を明記しておくとともに、在宅で実施した「訓練内容及び支援内容」並びに「訓練状況及び支援状況」を記録し、指定権者から求められた場合には、提出できるようにしておきましょう。
その際、就労移行支援又は就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)での在宅支援の訓練状況(在宅利用者が実際に訓練している状況)及び支援状況(在宅利用者に訓練課題に係る説明や質疑への対応、健康管理や求職活動に係る助言等)については、本人の同意を得るなどの適切な手続きを経たうえで、音声データ、動画ファイル又は静止画像等をセキュリティーが施された状態で保存し、指定権者から求められた場合には個人情報に配慮したうえで、提出できることが望ましいでしょう。
※ 就労移行支援や就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)での在宅支援で間違った理解をされている事業所様もあるようですが、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所(就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)の運営規程に在宅支援の記載をすれば当該事業所を利用する障がい者の方全員について在宅支援ができるというわけではなく、個々の利用者さんについて「在宅利用に係る申立書」を提出することによって在宅での支援効果を審査され、その利用者さんについて在宅での支援効果が認められると判断された場合に、その利用者さんについて在宅支援が可能となり、その在宅支援について報酬が算定できるようになります。就労移行支援や就労継続支援では「通所」することそのこと自体が自立に向けた支援と考えられているため、「在宅」での利用はあくまで例外的な取り扱いとされるためです。
また、令和5年2月時点での話ですが、在宅支援を原則として認めないという自治体も出てきているようです(例外的に認めるという考え)。就労系の事業所はあくまで「通所」が原則ですので、在宅支援という制度そのものは無くなることはないと思いますが、今後、在宅支援が認められるための要件は厳しくなっていく可能性があります。
在宅支援の要件(就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型)
ア.通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者につき、就労の機会を提供するとともに生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援が行われるとともに、常に在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されていること。
イ.在宅利用者の支援にあたり、1日2回は連絡、助言又は進捗状況の確認等のその他の支援が行われ、「日報」が作成されていること。また、作業活動、訓練等の内容又は在宅利用者の希望等に応じ、1日2回を超えた対応も行うこと。
ウ.緊急の対応ができること。
エ.在宅利用者が作業活動、訓練等を行う上で疑義が生じた際の照会等に対し、随時、訪問や連絡による必要な支援が提供できる体制を確保すること。
オ.事業所職員による訪問、在宅利用者による通所又は電話・パソコン等のICT機器の活用により、評価等を1週間につき1回は行うこと。
カ.在宅利用者については、原則として月の利用日数のうち1日は事務所職員による訪問又は在宅利用者による通所により、在宅利用者の居宅又は事業所内において訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと。
キ.オが通所により行われ、あわせてカの評価等も行われた場合、カによる通所に置き換えて差し支えない。
在宅支援のその他の留意点
- 「在宅」と「通所」による支援を組み合わせることも可能です。
- 利用者が希望する場合には、サテライトオフィスでのサービス利用等在宅でのサービス利用と類似する形態による支援を行うことも可能だが、その際にもア~キまでの要件をすべて満たす必要があります。
※ 就労移行支援や就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)における「在宅支援」については、上記のア~キまでのすべての要件を満たす場合のみ、報酬算定が可能になります。在宅で実施した訓練内容や支援内容、訓練状況及び支援状況、毎日の日報、週1回、月1回の訓練目標に対する達成度の評価状況等、必ず記録に残すようにし、事業所にて保管するようにしましょう。
就労系サービス事業所(就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)での事務手続き
就労移行支援や就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)において在宅利用を希望される場合、利用者及び事業所により「在宅利用に係る申立書」の提出が必要になります。また、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所(就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所)の運営規程において、在宅で実施する訓練及び支援内容を明記しておく必要があります。
就労移行支援や就労継続支援で「在宅でのサービス」を提供されるにあたっては、
- 利用者本人が在宅でのサービス利用を希望し、かつ
- 在宅でのサービス利用による支援効果が認められる場合のみ
各就労系サービス(就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型)の報酬算定が可能となっています。
そのため、就労移行支援や就労継続支援(就労継続支援A型、就労継続支援B型)での在宅利用の適用開始を希望される場合には、「在宅利用に係る申立書」に、利用者本人の希望理由と在宅でのサービス利用における支援効果について詳細に記入し、担当部署(大阪市の場合は各区保健福祉センター)に提出する必要があります。
そして、その提出された「在宅利用に係る申立書」が担当部署で審査され、在宅での支援効果が認められると判断された場合には、「在宅利用対象者」と明記した受給者証が交付されます。
「在宅利用対象者」と明記された受給者証のイメージ
介護給付費の支給決定内容 | ||
---|---|---|
障がい支援区分 | 区分〇 | |
認定有効期間 | 令和02年07月01日から令和05年06月30日まで | |
サービス種別 | 就労移行支援 | |
支給量等 | 基本決定 原則日数 R02. 7. 1~R03. 6.30 在宅利用対象者 R03. 4. 1~R03. 6.30 |
|
支給決定期間 | 令和02年07月01日から令和03年06月30日まで |
※「在宅利用に係る申立書」については、障がいの特性上代筆が必要など、配慮が必要な方については、利用者本人の同意の上、代筆可能とされている自治体もありますので、詳しくは自治体の担当部署に問い合わせるようにしましょう。
当事務所では、就労移行支援や就労継続支援の運営支援も行っております。就労系サービスといわれる就労移行支援や就労継続支援では、「一般就労」や「生産活動」といったことも考えながら運営を行っていくことになります。就労移行支援では「一般就労」や「生産活動」の実績が事業所の報酬算定の単価に影響するからです。
就労移行支援や就労継続支援の運営でお困りの方は当事務所までご連絡ください。当事務所では電話での無料相談は行っておりませんが、直接にお会いさせていただき現状のお話を聞かせていただきながら、資料なども拝見させていただきつつ運営コンサルティングを行っております。