就労移行支援は、一般企業等への就労を希望する65歳未満の障がい者であり、一定期間、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います。
① 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識・技術の習得若しくは就職先の紹介その他の支援が必要な者
② あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を取得することにより、就労を希望する者
目次
就労移行支援事業の開業手順
就労移行支援事業を行うためには、事業所としての指定を受ける必要があります。
就労移行支援を運営する法人を設立する
就労移行支援を開業するためには、法人を設立しなければなりません。一口に法人といっても株式会社、合同会社、一般社団法人、NPO法人(特定非営利活動法人)、社会福祉法人など、いくつかの種類があります。就労移行支援を運営する法人の設立手続きの時間や費用、設立後の運営のし易さなども比較検討して、自分達の就労移行支援の事業所運営に適した法人形態を決めるようにしましょう。ここでは就労移行支援に比較的多い株式会社と合同会社を比較してみます。
<株式会社と合同会社の比較>
株式会社 | 合同会社 | |
資本金 | 1円以上 | 1円以上 |
定款認証 費用 |
40,000円 (電子認証の場合は0円) |
0円 |
定款認証 手数料等 |
約52,000円 | 0円 |
登録免許税 | 最低150,000円 (資本金額×7/1,000) |
最低60,000円 (資本金額×7/1,000) |
設立必要人数 | 1人以上 | 1人以上 |
役員任期 | 2年~10年 | 任期なし |
決算の公開 | 公告義務あり | 公告義務なし |
信用力 | 高い | やや低い |
特徴 | 所有と経営の分離 配当の金額は原則として 持ち株数に比例 |
所有と経営が一致 配当は持ち分(出資額)に 関係なく割合を決定できる |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員 |
就労移行支援の開業資金をできるだけ低めに抑えたいという理由で合同会社を設立する法人も増えています。合同会社の場合、役員任期もなく任期満了に伴う重任登記が不要であるという点も特徴です。株式会社や合同会社の法人設立手続きは当事業所と提携している司法書士が担当しています。。
就労移行支援の「指定」を受ける。
指定権者ごとに就労移行支援の指定申請手続きのスケジュールが決められています。その就労移行支援の指定申請スケジュールに合わせて役所担当課で調査や協議を行い、資料収集、書類作成をしていくことになります。就労移行支援の指定日(事業開始日)をいつに希望するかによって指定申請の締切日が変わります。
例えば、
【大阪市の場合】
就労移行支援の「事前協議」 → 就労移行支援の「指定申請・受理」(指定日前月10日まで)→ 就労移行支援の「審査」 → 就労移行支援事業所としての「指定」
【京都市の場合 】
就労移行支援の「事前相談」 → 就労移行支援の「指定申請・受理」 → 就労移行支援の「審査」(概ね2ヶ月)→ 就労移行支援事業所としての「指定」
【奈良市の場合 】
就労移行支援の「事前相談」 → 就労移行支援の「指定申請・受理」(指定日2ヶ月前末日まで)→ 就労移行支援の「審査」 → 就労移行支援事業所としての「指定」
就労移行支援の事前協議(事前相談)の次は、就労移行支援の指定申請を行います。就労移行支援の指定申請では、就労移行支援として使用する物件が適法な状態であることや人員基準を満たしていることなどを証明するために各種資料の収集や申請書類を作成していくことになります。
就労移行支援の指定申請の際には、様々な多くの書類を作成していくことになりますが、大きなポイントとなる部分を挙げるとすれば、Ⅰ:人員基準、Ⅱ:物件の適法性・設備基準、Ⅲ:協力医療機関の同意 がポイントとなります。
Ⅱ 就労移行支援として使用する物件の間取りが適切で、都市計画法、建築基準法、バリアフリー条例(京都市)、まちづくり条例(京都府)、消防法に 適合しているか。就労移行支援の設備基準を満たしているか
Ⅲ 協力医療機関の同意(ハンコ)を得られるか
Ⅰ.就労移行支援事業の指定申請が受理されるためには、就労移行支援事業の人員配置基準(人員基準)を満たしていなければいけません。
就労移行支援事業の指定申請が受理されるためには、サービス管理責任者を中心とした就労移行支援の人員配置が非常に重要となります。また、就労移行支援の人員配置は指定を取得した後の運営面でも非常に重要となる基準になります。就労移行支援のサービス管理責任者の要件と一緒に正しく理解しておきましょう。
指定就労移行支援事業の人員基準
職種 | 就労移行支援の人員基準 | 常勤要件 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 1名以上 | 兼務可 | |
サービス 管理責任者 |
・利用者60人以下…1人以上 ・利用者60人以上…1人に、利用者が60人を 超えて40 or その端数を増すごとに+1人以上 |
常勤 | ・資格要件 ・実務経験 ・研修要件 |
職業支援員 | 常勤換算で、利用者数を 6 で除した数以上 | どちらか1人は 常勤 |
資格不要 |
生活支援員 | |||
就労支援員 | 常勤換算で、利用者数を 15 で除した数以上 | 資格不要 |
Ⅱ.就労移行支援事業の指定申請が受理されるためには、物件の間取りが適切であり、都市計画法、建築基準法、バリアフリー条例(京都市)、消防法に適合していなければなりません。
就労移行支援事業所として使用する建物の使用部分が200㎡を超える場合には、建築基準法上の「用途変更の確認申請」という申請が必要になります。この「用途変更の確認申請」はかなり大掛かりな手続きになり、費用も高額になるのが一般的ですので、就労移行支援の物件を選ぶ場合には、就労移行支援として使用する部分が200㎡以下の物件を選ぶようにしましょう。
また、消防法の要請から誘導灯や非常警報装置(非常ベル)、避難器具などの消防設備を設置しなければいけない場合もありますので、関係各部署と慎重に協議を進めていきます。さらに、以下の設備要件を満たしていることが必要です。
指定就労移行支援事業の設備基準
設 備 | 要 件 |
---|---|
訓練作業室 | サービス提供に支障のない広さを備えること。 大阪市の場合は、利用者1人当たり約3.0㎡必要。 就労移行支援事業は、最低定員20名。 訓練指導室の最低面積は60㎡(20名×3㎡)が必要。 |
相談室 | プライバシーに配慮していること。 |
多目的室 | 相談室と兼務可能。 |
事務室 | 鍵付き書庫を設置すること。 |
洗面所・トイレ | 洗面所(手指洗浄)はトイレ内手洗いとは別々であること。 |
Ⅲ.協力医療機関の同意(ハンコ)を得られるか
就労移行支援事業所を運営する場合、サービス提供中に利用者が突然の体調不良になったり異変が起こった場合に備えて、すぐに連絡のとれる協力医療機関を定めておかなければなりません。
この協力医療機関の同意(ハンコ)を取るのに苦労する方もいらっしゃいます。就労移行支援の開業手順のはやい段階で協力してくれそうな医療機関に打診しておきましょう。
指定申請書類が受理されて審査を経た後に、就労移行支援の「指定」を取得することができます。
就労移行支援の指定を取得することも大切ですが、就労移行支援の指定を取得した後の「運営」こそが重要です。就労移行支援の指定を取得することによってようやく就労移行支援の事業運営のスタートラインに立てただけなのです。
とくに、就労移行支援事業のような障がい福祉サービス事業では、コンプライアンス(法令遵守)を意識した経営が必要になってきます。当事務所では、法令に適合した就労移行支援の運営を行っていただけるように運営コンサルティングサービスも行っております。
また、就労移行支援事業所は一定の実績を積むことによって就労「定着」支援の指定を取得することができるようになります。利用者さんへの多様なサービスを提供できるような体制を整えることは事業所としての重要な役割でもあります。就労移行支援の実績ができてきた事業所様におかれましては、就労を目指す利用者さんへのサービスの幅を広げるためにも、就労定着支援の指定申請も検討されることをお勧めいたします。
就労移行支援の開業支援に詳しい専門行政書士が支援
就労移行支援事業所をはじめとする障がい福祉サービス事業の指定申請では、行政によって申請スケジュールが決められており、そのスケジュールに合わせて調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなければ事業開始時点(開業時点)がどんどん後ろにズレてしまうことになります。これでは就労移行支援の利用者さんに来てもらえず、売上を挙げられないのに物件家賃や従業員給料などの経費が勢いよく出ていくだけになってしまいます。
そうならないためには、就労移行支援事業の収支予算シミュレーションを考えながら開業時点を目標設定することにより、必要となるタスクを逆算で洗い出し、適切なタイミングで調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなくてはなりません。就労移行支援として使用する物件の賃貸借契約の締結や従業員との雇用契約のタイミングも就労移行支援の指定時点(開業時点)を明確にすることにより、「いつ締結すればいいのか?」「いつ雇用すればいいのか?」が見えてくるのです。
また、建築基準法の用途変更や消防法の消防設備の設置などが必要になると建築士や消防設備業者とのやりとりもでてきますし、行政の各担当部署とも連絡調整が必要となってきます。就労移行支援の事業開始時点という目標時点を目指して一つ一つ手続きをクリアしてことになります・
これらの就労移行支援の申請手続きをスケジュールどおりに行うには就労移行支援の指定申請に詳しい実績のある行政書士でなければ難しいでしょう。就労移行支援事業の指定申請手続きの経験のない行政書士やコンサルタントが手続きを受託して「就労移行支援の申請手続きが途中で頓挫してしまった・・・」「就労移行支援をいつまでたっても開業できない・・・」という話はこの業界ではよく聞く話です。
当事務所では、就労移行支援事業の指定申請の実績も豊富でございます。その後の事業展開として就労定着支援事業の指定申請も対応可能です。
当事務所にご依頼いただく3つのメリット
手続きだけではありません!!
当事務所では、単に「就労移行支援の指定申請手続き」といった就労移行支援の開業時の申請手続きのみに対応するだけではなく、開業後の就労移行支援の運営面を見据えたコンサルティングも行います。例えば、就労移行支援の処遇改善加算や食事提供体制加算をとるにはどのような要件をそろえればその「加算」がとれて、その加算をとれば幾らぐらいの売上が見込まれるのか・・・などのアドバイスをしながら就労移行支援の指定申請の手続きをすすめていきます。
就労移行支援の指定後の運営コンサルティングにも対応!!
障がい福祉サービス事業は、厳しいコンプライアンスが求められる業界です。就労移行支援事業のような日中系就労系といわれるような事業でも定期的に行政による実地指導は入りますし、いい加減な運営をしていては、行政から返金を指導されたり最悪の場合は指定取消となるケースもあります。当事務所では、就労移行支援の事業所の収支を意識した戦略的な事業運営とコンプライアンス経営が両立するような運営コンサルティングを行っております。
地域密着型で顔が見えるので安心!!
当事務所は、大阪、京都、奈良のちょうど中心にある枚方を拠点としております。障がい福祉サービス事業は、指定権者(指定を出す行政庁)ごとに細かなルールが決められておりローカルルールの激しい世界です。そのため、オンラインだけで完結するのではなく就労移行支援の指定申請手続きの過程で何度も対面でのお打合せをさせていただきながら就労移行支援の指定申請手続きをすすめていきます。
就労移行支援事業の開業ご依頼の際の流れ
①就労移行支援として使用する物件の目途をつけましょう
この時点では、まだ大家さんと正式に賃貸借契約を締結しません。正式な賃貸借契約は役所との就労移行支援の事前協議(事前相談)を経た後に締結することになります。
就労移行支援事業は、一般就労を目指して職業訓練をする場であるので「予備校」のようなイメージがあり駅周辺のテナントビルに入居している事業所が比較的多いように思います。物件選びの際の参考のためにも他の就労移行支援事業所がどのような場所で開業されているのかネットで検索してみましょう。
②就労移行支援のサービス管理責任者を確保しましょう
サービス管理責任者は就労移行支援事業を運営していくうえで非常に重要なポジションにあります。サービス管理責任者は、資格要件・実務経験・研修要件によって成れるか成れないかが決まりますが、市場に要件を満たすサービス管理責任者が不足しているのが現状です。
これから就労移行支援事業を一緒に盛り上げていく仲間として就労移行支援事業所に勤務してくれる人をはやい段階で確保しておきましょう。
③当事務所へ依頼しましょう
上記1.2の目途がついた段階でご依頼いただくのが一番スムーズでありますが、できるだけはやい段階でご相談いただければ物件選びの注意点や人員基準の考え方などもアドバイスいたします。
就労移行支援事業の料金
料金 | 380,000円(税別) |
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※法人設立業務は提携司法書士が行います。提携司法書士との別途契約となります。
※建築士の用途変更や消防設備業者の工事などの費用は担当業者との別途契約となります。
※福祉・介護職員処遇改善加算の同時申請は別途料金となります。
ご依頼いただく際にご準備いただくとスムーズな資料
- 就労移行支援として使用したい物件の情報
物件の位置(住所地)、間取り(窓の位置がわかれば尚良)、面積がわかるもの - 就労移行支援のサービス管理責任者の情報
履歴書、資格証、実務経験証明書、研修修了証の各コピー - 就労移行支援を運営する法人の定款・登記簿
事業の「目的欄」が適切に記載されているかどうかを確認します。就労移行支援として適切でなければ変更手続きをする必要があります。