放課後等デイサービスの人員配置基準をわかりやすく解説

放課後等デイサービスの人員配置基準は、「サービス提供時間内」に従業者2人以上の配置が原則となりますが、自治体によっては「営業時間内」に従業者2人以上の配置が求められます。放課後等デイサービスを開業するエリアによって人員配置基準も異なりますので注意しましょう。

放課後等デイサービスの人員配置基準

主として重症心身障害児以外を通わせる場合(一般型)の放課後等デイサービスの人員配置基準は以下のとおりです。

管理者

原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するもの。

業務に支障がない場合は他の職務との兼務が可能です。

児童発達支援管理責任者

1人以上。

1人以上は専任かつ常勤であること。

児童指導員又は保育士

①1人以上は常勤(法人で定める常勤者の労働時間を満たす者)を配置。

  • 非常勤は「サービス提供時間を通じて配置」されること。
  • 大阪府基準の場合、非常勤は「営業時間を通じて配置」されること。

②半数以上は児童指導員または保育士であること。

③合計数が以下の区分に応じてそれぞれに定める数以上

  • 障がい児の数が10人まで…2人以上
  • 障がい児の数が10人を超える…2人に、障がい児の数が10を超えて5又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上
  • 機能訓練担当職員、看護職員の数を合計数に含めることができる。

機能訓練担当職員

機能訓練を行う場合に配置する。

看護職員

医療的ケアを行う場合に配置する。

常勤職員の法定週休日・有給休暇日の取扱い

Q .営業日が週7日の事業所の場合、常勤の職員については、労働基準法等の関係法令に基づき、週休2日とする必要等があり、法令上置けない日や、有給休暇等の取得により事業所に置くことができない日が生じる。

 指定児童発達支援事業所(児童発達支援センター以外で、主として重症心身障害児を通わせる事業所以外)において、常勤の児童指導員または保育士が休暇を取得する日は、当該休暇を取得する常勤職員とは別に、常勤の児童指導員または保育士を置く必要があるのか?

A. 指定通所基準では、児童指導員または保育士のうち1人以上は常勤職員であることとしているが、常勤職員がサービス提供時間帯を通じて児童発達支援の提供に当たることまでは定めていない。一方、児童指導員または保育士は、児童発達支援の提供時間帯を通じて2名以上置く必要がある。

 よって、労働基準法等との関係で、常勤の職員が休暇を取得する場合は、当該休暇を取得する職員以外の児童指導員または保育士を配置して、サービス提供時間帯を通じて2名以上配置する必要があるが、当該2名以上の職員が常勤職員である必要まではない。

(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 障害福祉課障害児・発達障害者支援室 令和5年3月3日事務連絡)

<具体的な取扱い> 大阪府の場合

  • 常勤の児童指導員または保育士(人員基準上の職員)の「法令で定める週休日」については、代わりの配置者について非常勤職員による配置でも可能。サービス提供時間帯(営業時間帯)を通じて、非常勤職員のみの配置となっても差し支えない。
  • 常勤の児童指導員または保育士(人員基準上の職員)の「有給休暇日」については、代わりの配置が必要であり、代わりの配置者について非常勤職員による配置も可能。サービス提供時間帯(営業時間帯)を通じて、非常勤職員のみの配置となっても差し支えない。

<具体例>

  • 営業時間6時間×週6日の営業日で、週の所定労働時間36時間の事業所

 常勤の児童指導員(基準1人目配置者)が勤務予定日の1日分を有給休暇日とした。当該日に、常勤者の代わりに非常勤職員が6時間分配置(児童指導員or保育士)され、当該有給休暇日は、非常勤職員のみで人員基準である「サービス提供時間(営業時間)6時間×2名」を満たす状態となっても差し支えない。

  • 営業時間8時間×週6日の営業日で、週の所定労働時間40時間の事業所

 常勤の保育士の勤務時間が8時間×5日の週40時間の場合、毎週1日分の不在日が発生するが、当該週休日(常勤者の不在日)は非常勤職員のみで人員基準を満たしているとして差し支えない。

※具体的な取扱いは指定権者によって異なる可能性がありますので、必ず指定権者にご確認ください。

放課後等デイサービスの人員基準の具体的な考え方

放課後等デイサービス(一般型)の人員配置基準を、具体的に勤務一覧表を使って考えてみましょう(シンプルに考えられるように一週間のみの勤務形態一覧表とし、管理者と児童発達支援管理責任者の配置は省略する。下記の勤務形態一覧はあくまで一例です。)

モデルケース①

  • 定員10人
  • 所定労働時間 週40時間
  • 営業日 月~金
  • サービス提供時間 14時~18時(4時間)
  • 常勤以外は「サービス提供時間」を通じて配置(大阪市基準)
職種 勤務形態 週勤務
児童指導員 常勤 8 8 8 8 8 40
保育士 非常勤 4 4       8
保育士 非常勤     4 4 4 12

上記の勤務一覧表では、

①全営業日について、常勤が1人以上配置されている。

②半数以上が児童指導員または保育士である。

③サービス提供時間を通じて2人以上配置されている。

よって、放課後等デイサービスの人員配置基準を満たしている。

 

モデルケース②

  • 定員10人
  • 所定労働時間 週40時間
  • 営業日 月~土
  • サービス提供時間 放課後:14時~18時(4時間)休校日:11時~17時(6時間)
  • 常勤者以外は「サービス提供時間」を通じて配置(大阪市基準)
職種 勤務形態 週勤務
児童指導員 常勤 8 8   8 8 8 40
児童指導員 非常勤 4 4 4     6 18
保育士 非常勤     4 4 4   12

上記の勤務一覧表では、

①水曜日に常勤がいないが、非常勤2人が配置されている。

②半数以上が児童指導員または保育士である。

③サービス提供時間を通じて2人以上配置されている。

よって、①水曜日に常勤がいないが、代わりに非常勤2人が配置されているので、放課後等デイサービスの人員配置基準を満たしている。

職種 勤務形態 週勤務
児童指導員 常勤 8 8   8 8 8 40
児童指導員 常勤 8 8 8 8 8   40
児童指導員 非常勤 4 4       6 14
保育士 非常勤     4 4 4   12

上記の勤務一覧表では、

①全営業日について、常勤が1人以上配置されている。

②半数以上が児童指導員または保育士である。

③サービス提供時間を通じて2人以上配置されている。

よって、放課後等デイサービスの人員配置基準を満たしている。

以上のように、放課後等デイサービスの人員配置基準では、営業日やサービス提供時間(大阪府基準では営業時間)をどのように設定するかによって具体的な人員配置が異なることになります。

放課後等デイサービスの開業時には、子供達を受け入れる時間だけを考えてサービス提供時間を決めるのではなく、人員配置のことも考えてサービス提供時間を設定するようにしましょう。

放課後等デイサービスで定員を超える場合

放課後等デイサービスの定員が10人とした場合、定員を超えて児童を受けいれることは可能なのでしょうか?

原則として、定員を超えてサービス提供を行うことは運営基準違反となり、解消する必要があります。

ただし、災害、虐待を受けた障害児の保護その他「やむを得ない事情がある場合」は、この限りではありません。

そして、「やむを得ない事情がある場合」であってやむを得ず定員を超えて児童を受け入れる場合であっても、従業員(児童指導員、保育士)の配置については、サービスを提供する時間(大阪府基準では営業時間)を通じて、「障がい児の数」に対応した「従業者の配置」をしなければ人員基準違反となり、「サービス提供職員欠如減算」となります。

障がい児の数
(実利用者数) 
従業者の配置
(児童指導員・保育士)
10人 2人
11人~15人 3人

※放課後等デイサービスの定員10人とする。

※従業者の半数以上は、児童指導員または保育士であること。

さらに、「やむを得ない事情がある場合」であってやむを得ず定員を超えて受け入れて従業者の配置を3人にしていた場合であっても、受け入れた児童の数が15人を超える場合は「定員超過利用減算」に該当することになり、減算適用となります。

放課後等デイサービスの定員を超えて児童を受けいれる場合(定員10人とする)

①、原則として運営基準違反になる。

②、「やむを得ない場合」は受け入れも可能。

③、②の場合であっても児童数が11人~15人になるなら、人員配置基準から従業者3人配置が必要。配置できないなら「サービス提供職員欠如減算」となり減算適用となる。

④、②の場合であっても児童数が15人を超えるなら、人員配置基準から従業者4人以上配置したとしても、「定員超過利用減算」(定員の150%超)となり減算適用となる。


放課後等デイサービスの人員配置基準は、基本となる人員配置についてはサービス提供時間内に2人配置といった考えを採りながら、児童指導員等加配加算などの加算の算定要件を考える場合には、常勤換算で人員配置を考えます。

そのため、放課後等デイサービスの開業時には、人員配置基準のことをきちんと理解したうえでサービス提供時間や加算のことも考えるようにしましょう。

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