放課後等デイサービスでは、令和6年度報酬改定において、報酬算定上「放課後」と「学校休業日」の区別がなくなり(重心除く)、学校休業日における基本報酬の単位が下がりました。それに伴って「延長支援加算」が創設されました。そのため、放課後等デイサービスの事業所運営においては、延長支援加算をできるだけ算定したいところです。
延長支援加算の算定要件
個別支援計画に定めている標準的な支援時間が「5時間(※)」とされており、かつ、あらかじめ個別支援計画に位置付けられている障害児については、発達支援を行う前後の時間帯において延長して支援を行った場合に、「延長支援加算」を算定することができます。
※放課後等デイサービスの平日(放課後)については「3時間」
延長支援加算を算定するには、あらかじめ保護者の同意を得たうえで、「延長支援を必要とする理由」「延長支援時間」を個別支援計画に位置付けて行うことが必要です。
個別支援計画に延長支援時間が位置付けられていない日に緊急的に生じた預かりニーズに対応するために延長支援を行った場合でも、「急な延長支援を必要とした理由」「延長支援時間」について記録を行えば延長支援加算は算定可能です。ただし、急な延長支援を行う状況が継続するようであれば、速やかに個別支援計画の見直しを行うことが必要です。
延長支援加算は「1時間以上」で設定することが必要です。発達支援の利用時間の前後ともに延長支援を行う場合は、前後いずれも1時間以上の延長支援時間を設定することが必要です。なお、延長支援時間に送迎時間は含まれません。
延長支援加算を算定する際の単位数の区分(延長支援時間の区分)の判定では、「実際に要した延長支援時間」によることを基本とします。
<延長支援加算の単位数>
延長支援時間区分 | 単位(障害児) | 単位(重心児・医ケア児) |
---|---|---|
30分以上1時間未満 | 61単位/日 | 128単位/日 |
1時間以上2時間未満 | 92単位/日 | 192単位/日 |
2時間以上 | 123単位/日 | 256単位/日 |
※30分以上1時間未満については、利用者側の都合で延長時間が計画より短くなった場合のみ算定可能。
実際の延長支援時間が個別支援計画に定めた時間を超える場合は、個別支援計画に定めた時間で算定します。利用者側の都合により実際の延長支援時間が1時間未満となった場合でも算定可能ですが、それでも30分以上の延長支援は必要です。
また、運営規程に定める営業時間(放課後等デイサービスについては「学校休業日」の営業時間)が「6時間以上」とされていることが必要です。
延長支援加算では、職員の配置も必要です。延長支援時間における障害児の数が10人以下の場合は、2人以上の従業者の配置が必要です。このうち1人以上は基準配置(※)することとされた従業者(児童発達支援管理責任者を含む)であることが必要です。
重心型の事業所においては、運営規程に定める営業時間が「8時間以上」であり、営業時間の前後の時間(延長時間帯)にサービスを提供した場合に、延長支援加算を算定することができます。営業時間には、送迎のみを実施する時間は含まれません。
また、重心型の事業所においても、延長時間帯における障害児の数が10人以下の場合は、2人以上の従業者の配置が必要です。このうち、1人以上は基準配置(※)することとされた従業者(児童発達支援管理責任者を含む)であることが必要です。
※ここでいう基準配置とは、指定通所支援基準の規定による配置のことであり、要するに基本となる人員基準を満たした配置のことをいいます。
医療的ケアを要する障がい児に延長支援を行う場合には、延長支援時間帯における従業者の配置のうち、看護職員(医療的ケアのうち喀痰吸引等のみを必要とする障害児のみの延長支援にあっては、認定特定行為業務従事者を含む)を1名以上配置することが必要です。
延長支援加算のQ&A
問1
個別支援計画に位置付けられた支援時間(例:14:00~17:00の3時間)について、利用者都合により開始時間が遅れた(例:15:00から利用開始)場合、当初個別支援計画に位置付けていた延長支援(例:17:00~18:00)はどのように取り扱うか?
基本報酬については、利用者都合により計画に定めた提供時間より実際に支援に要した時間が短くなった場合には、計画に定めた提供時間で算定することとしている。
そのため、問1の場合には、基本報酬については、計画的に定めた提供時間で算定することが可能であるとともに、延長支援についても、個別支援計画において定められている時間を基準として、実際に支援に要した時間に基づき算定することが可能である。(令和6年度報酬改定Q&A VOL.3)
問1の場合であれば、基本報酬は時間区分2(1時間30分超3時間以下)で算定でき、延長支援加算は、「1時間以上2時間未満」の区分で算定できるということになります。
問2
支援開始前に延長支援を行うことを個別支援計画に位置付けていたが、当該延長支援の途中で利用者都合により帰宅した場合(例:9:00~11:00を延長支援時間、11:00~17:00を支援時間としていたが、10:45に体調不良で急遽帰宅した)、どのように報酬を算定するか?
延長支援加算は、基本報酬が算定される支援が行われたことを前提にその支援時間(5時間(放デイ平日は3時間))を超える延長支援時間を評価するものであるため、基本報酬を算定できない場合に延長支援加算のみを算定することはできない。
問2の場合においては、欠席時対応加算の算定を可能とするが、この場合においても、障害児またはその家族等との連絡調整その他相談援助を行うとともに、当該障害児の状況、相談援助の内容等を記録すること。(令和6年報酬改定Q&A VOL.3)
問3
営業時間外においても延長支援加算が算定できるのか?(例:9時~16時が営業時間であるが、8時~9時の1時間延長支援を行った場合に、1時間分の延長支援加算が算定できるのか?)
できる。
問4
支援時間の前後1時間ずつ延長支援を実施した場合には、実際に支援に要した時間を合計して2時間以上(123単位)の区分で算定するのか?それとも前1時間(92単位)・後1時間(92単位)の両区分をいずれも算定するのか?
延長支援の算定にあたっては、個別支援計画において1時間以上の延長支援を設定(支援時間の前後に延長支援を行う場合には、前後いずれも1時間以上で設定)し、必要な体制を設けることとしているが、実際に加算する単位の区分については、実際に要した時間を合計した2時間以上(123単位)の区分で算定する。
なお、支援時間の前後に延長支援を行う場合において、利用者の都合により、前後の延長支援のうち片方(ないし両方)の延長支援が、1時間に満たない場合であっても、実際に支援に要した時間を合計して30分以上の延長支援が行われていれば、合計時間が該当する区分での算定が可能である(令和6年度報酬改定Q&A VOL.3)
問5
医療的ケア児に対して、延長支援を行う場合には、看護職員等を1以上配置することとされているが、医療機関等との連携などにより、必要な医療的ケアが提供できる体制がある場合には、看護職員等を配置しているものとみなしてよいか?
みなしてよい(令和6年度報酬改定Q&A VOL6)
問6.
医療的ケア児に対する延長支援を行う場合に1以上配置する必要がある看護職員等については、延長支援時間帯を通じて配置する必要があるのか?
当該配置については、医療的ケア児に対して、必要な医療的ケアを提供できる体制を求めているものである。そのため、延長支援時間を含むすべての支援時間帯を通じて常に看護職員を1以上配置することまで求めるものではないが、医療的ケア児に対して安全に延長支援が行えるよう、必要な医療的ケアを適時適切に提供できる体制を確保する必要があることに留意すること。
放課後等デイサービスについては、人員基準が複雑であるうえに、基本報酬も報酬改定ごとに下がってきています。そのため、事業所の運営においては、できるだけ加算を算定していくことが必要になります。
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