目次
居宅介護
居宅介護は、居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言、その他の生活全般にわたる援助を行います。
ただし、通院等介助(身体介護を伴う場合)を算定する場合にあっては、下記のいずれにも該当する者
(1) 障害支援区分が区分2以上に該当していること
(2) 障害支援区分の調査項目のうち、次に掲げる状態のいずれか1つ以上に認定されていること
- 「歩行」 「全面的な支援が必要」
- 「移乗」 「見守り等の支援が必要」「部分的な支援が必要」「全面的な支援が必要」
- 「移動」 「見守り等の支援が必要」「部分的な支援が必要」「全面的な支援が必要」
- 「排尿」 「部分的な支援が必要」「全面的な支援が必要」
- 「排便」 「部分的な支援が必要」「全面的な支援が必要」
重度訪問介護
重度訪問介護は、重度の肢体不自由者等で常に介護を必要とする方に、居宅において、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯等の家事、生活等に関する相談助言、その他の生活全般にわたる援助、外出時における移動中の介護を総合的に行います。
具体的には、障害支援区分が区分4以上であって、次のいずれかに該当する者
(1) 二肢以上に麻痺等があること
(2) 障害支援区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されていること
(3) 障害者支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上である者
居宅介護・重度訪問介護事業の開業手順
居宅介護・重度訪問介護事業を行うためには、事業所としての指定を受ける必要があります。
居宅介護、重度訪問介護事業を運営する法人を設立する
居宅介護・重度訪問介護の事業所として指定をうけるためには、運営主体が法人格を有していなければなりません。ただ、法人格といってもいくつかの種類があります。具体的には、株式会社、合同会社、特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団法人、社会福祉法人などです。
居宅介護や重度訪問介護の事業所では、上記の法人形態のうちでも設立手続きが比較的簡単で、費用も安くで設立できるという理由から合同会社での法人設立が増えているように思います。合同会社はもともと家族経営的な小さな会社を想定して制度化されたものですので、居宅介護や重度訪問介護のような訪問系の障がい福祉サービスの事業所に適した法人形態といえるのではないでしょうか?
合同会社であれば、定款認証費用は不要ですし、役員任期も決める必要がありませんので、その場合は後々の重任登記(任期を更新した際の登記)も不要となります。
法人を設立する際は、設立にかかる諸手続きの時間や費用などを比較検討して、法人形態を決めるようにしましょう。
居宅介護・重度訪問介護の「指定」を受ける
居宅介護や重度訪問介護の指定申請では、都道府県(市町村)ごとに指定申請手続きのスケジュールが決められています。その決められたスケジュールに合わせて役所担当課で調査や協議を行い、資料収集、書類作成をすすめていくことになります。指定日(事業開始日)をいつに希望するかによって指定申請の締切日が決まることになります。
例えば、
- 大阪市の場合 指定申請・受理(指定日前月10日まで)→ 審査 → 指定
- 京都市の場合 指定申請・受理 → 審査(概ね2ヶ月)→ 指定
- 奈良市の場合 指定申請・受理(指定日2ヶ月前末日まで)→ 審査 → 指定
居宅介護や重度訪問介護のような訪問系といわれる事業では生活介護のような施設系といわれる事業とは異なり、事前協議(事前相談)を経ないでいきなり指定申請書類を提出することが可能です。ただし、訪問系の事業であっても指定申請の前にできるだけ行政との事前の相談を経ておくことをお勧めいたします。やはり訪問系であっても事業所としての物件の設備基準や人員基準は守らないと指定はとれないからです。
事前協議(事前相談)の次は、指定申請を行います。指定申請では、使用する物件が適法な状態であることや人員基準を満たしていることなどを証明するために各種資料の収集や申請書類を作成していくことになります。
指定申請の際には、様々な多くの書類を作成していくことになります。大きなポイントとなる部分を挙げるとすれば、Ⅰ:人員基準、Ⅱ:物件の適法性・設備基準 がポイントとなります。
Ⅱ 物件の間取りが適切で、設備基準を満たしているか
Ⅰ.居宅介護・重度訪問介護事業の指定申請が受理されるためには、居宅介護・重度訪問介護の人員配置基準(人員基準)を満たしていなければいけません。
居宅介護・重度訪問介護事業の指定申請が受理されるためには、サービス提供責任者を中心とした人員配置が非常に重要となります。また、人員配置は指定を取得した後の運営面でも非常に重要となる基準になります。サービス提供責任者の要件と一緒に正しく理解しておきましょう。
指定居宅介護事業の人員基準
職 種 | 人員配置基準 | 常勤要件 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 1名以上 | 常勤 | 兼務可 |
サービス 提供責任者 |
次のいずれかに該当する員数 ①月間延べサービス提供時間が概ね450時間又はその端数を増すごとに1名以上 ②従業者の数が10名又はその端数を増すごとに1名以上 ③利用者の数が40名又はその端数を増すごとに1名以上 |
常勤 |
・介護福祉士 ・看護士、准看護士 ・実務者研修修了者 ・介護職員基礎研修修了者修了者【旧資格】 ・居宅介護従業者(訪問介護員)養成研修1級過程修了者【旧資格】 ・居宅介護職員(介護職員)初任者研修修了者+実務3年(※10%減算) |
従業者 | 常勤換算方法で2.5名以上 ※2.5名にはサービス提供責任者も含めて計算 |
・介護福祉士 ・看護士、准看護士 ・実務者研修修了者 ・介護職員基礎研修修了者修了者【旧資格】 ・居宅介護従業者(訪問介護員)養成研修1級過程修了者【旧資格】 ・居宅介護職員(介護職員)初任者研修修了者 ・障害者居宅介護従業者基礎研修(訪問介護員養成研修3級過程)修了者(※減算対象) |
※ 配置基準について、居宅介護と重度訪問介護では若干の違いはありますが、例えば1事業所で居宅介護と重度訪問介護の両方の指定を受けようとする場合は、従業員の兼務が可能ですので、別々に人員を配置する必要はありません。
Ⅱ.居宅介護・重度訪問介護事業の指定申請が受理されるためには、物件の間取りが適切であり、設備基準を満たしている必要があります。
居宅介護・重度訪問介護事業として使用する物件では、相談室や手指洗浄用の洗面台などの設備が適切に設置されている必要があります。
指定居宅介護・重度訪問介護事業の設備基準
設 備 | 要 件 |
---|---|
事務室 | 鍵付き書庫を設置すること。 |
相談室 | プライバシーに配慮していること。 |
洗面所・トイレ | 洗面所(手指洗浄)はトイレ内手洗いとは別々であること。 |
様々な審査を経て、居宅介護・重度訪問介護の「指定」を取得することができます
居宅介護・重度訪問介護の指定を取得することももちろん大切ですが、指定を取得した後の「運営面」こそが非常に大切になります。指定を取得するということは言い換えれば、事業運営のスタートラインに立てただけといっても過言ではないでしょう。
とくに、居宅介護や重度訪問介護のような障がい福祉サービス事業では、コンプライアンス(法令遵守)を意識した経営が必要になってきます。障がい福祉サービス事業の事業所収益は税金が投入されているからです。当事務所では、法令に適合した運営を行っていただけるように運営コンサルティングサービスも行っております。
また、居宅介護や重度訪問介護のような訪問系の事業では、ヘルパーさんなどの非常勤職員を雇用する場合も多いので、適切な労務管理が必要となってきます。必要であれば福祉事業に詳しい社会保険労務士さんにお繋げすることも可能です。
居宅介護・重度訪問介護の指定申請手続きに詳しい行政書士が開業支援
居宅介護や重度訪問介護の事業所をはじめとする障がい福祉サービス事業の指定申請では、行政によって指定申請スケジュールが決められています。その決められた指定申請スケジュールに合わせて、調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなければなりません。うまくスケジュールどおりに手続きをすすめられなければ、事業を開始できる日(指定日)がどんどん後ろにズレてしまうことになり、これではいつまで経っても開業できず収益をあげられないのに、物件家賃や従業員給料などの経費が出ていくだけになってしまいます。実際に、事業所としての指定はとれたものの、資金繰りに窮してしまい開業してから2~3ヶ月で廃業してしまう事業所さんも現実にはあるのです。
そうならないためには、居宅介護や重度訪問介護の収支予算シミュレーションを考えながら開業時点(指定日)を目標設定することにより、必要となるタスクを逆算で洗い出し、適切なタイミングで調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなくてはなりません。物件の賃貸借契約の締結や従業員との雇用契約も指定日を明確にすることによって、適切な賃貸契約のタイミング、雇用契約のタイミングが見えてくるのです。
これらの指定申請の手続きをスケジュールどおりに行うには指定申請に詳しい実績のある行政書士でなければ難しいでしょう。居宅介護や重度訪問介護事業の指定申請手続きの経験のない行政書士や、コンサルタントが申請手続きを受託して「開業手続きの準備途中で挫折してしまった・・・」「いつまでたっても指定がとれない・・・」という話はこの業界ではよく聞く話です。
当事務所では、居宅介護や重度訪問介護事業の指定申請手続きの実績も豊富でございます。指定申請後の運営面も見据えた指定申請を行っていきましょう。
当事務所にご依頼いただく3つのメリット
手続きだけではありません!!
当事務所では、単に「指定申請手続き」といった開業時の手続きのみに対応するだけではありません。指定申請後の運営面を見据えたコンサルティングも行います。例えば、処遇改善加算や特定事業所加算をとるにはどのような要件をそろえればその「加算」がとれて、その加算をとれば幾らぐらいの売上が見込まれるのか・・・などのアドバイスをしながら指定申請の手続きをすすめていきます。
指定後の運営コンサルティングにも対応!!
障がい福祉サービス事業は、事業所の収益に税金が投入されるわけですから、厳しいコンプライアンス(法令遵守)が求められる業界です。居宅介護や重度訪問介護のような訪問系といわれるような事業でも定期的に行政による実地指導は入ります。いいかげんな運営をしていては、行政から返金を求められたり、最悪の場合は指定取消となってしますケースもあります。当事務所では、事業所の収支を意識した戦略的な事業運営とコンプライアンス(法令順守)経営が両立するような運営コンサルティングサービスを行っております。
地域密着型で顔が見えるので安心!!
当事務所は、大阪、京都、奈良のちょうど中心にある枚方を拠点としております。障がい福祉サービス事業は、指定権者(事業所を管轄する行政庁)ごとに細かなルールが決められておりローカルルールの激しい業界です。そのため、オンラインだけで完結するのではなく、指定申請手続きの過程で何度も対面でのお打合せをさせていただきながら、お客様と当事業所が二人三脚となって指定申請手続きをすすめさせていただきます。
居宅介護・重度訪問介護事業の開業ご依頼の際の流れ
① 物件の目途をつけましょう。
この時点では、まだ大家さんと正式に賃貸借契約を締結しません。正式な賃貸借契約は担当役所との事前協議(事前相談)を経た後に締結することになります。
居宅介護や重度訪問介護のような訪問系事業では、指定申請手続きに事前協議もしくは事前相談は無いのが一般的ですが、指定がとれない物件で契約してしまわないように事前に行政との事前の相談を経てから、つまり「その物件で大丈夫だ」という裏を取ってから契約を締結することをお勧めいたします。
② サービス提供責任者を確保しましょう。
サービス提供責任者は居宅介護や重度訪問介護の事業を運営していくうえで非常に重要なポジションにあります。サービス提供責任者は、資格要件(実務経験必要な場合あり)によって成れるか成れないかが決まりますが、労働市場に要件を満たすサービス提供責任者が不足しているのが現状です。これから事業を一緒に盛り上げていく仲間として働いてくれる人をはやい段階で確保しておきましょう。
③ 当事務所へ依頼しましょう。
上記1.2の目途がついた段階でご依頼いただくのが一番スムーズでありますが、できるだけはやい段階でご相談いただければ物件選びの注意点や人員基準の考え方などもアドバイスいたします。
居宅介護・重度訪問介護事業の料金(居宅介護と重度訪問介護の同時申請の場合)
料金 | 180,000円(税別) |
---|
※法人設立業務は提携司法書士が行います。提携司法書士との別途契約となります。
※同行援護・行動援護を追加する場合、別途50,000円(税別)ずつの加算。
※福祉・介護職員処遇改善加算の同時申請は別途料金となります。
※移動支援事業は別途契約となりますが申請先市町村により報酬は異なります。
ご依頼いただく際にご準備いただくとスムーズな資料
- 物件の情報
物件の位置(住所地)、間取り、面積がわかるもの - サービス提供責任者の情報
履歴書、資格証、研修修了証、実務経験証明書(必要な場合)、の各コピー - 法人の定款・登記簿
事業の「目的欄」が適切に記載されているかどうかを確認します。
適切に記載されていなければ変更の手続きをする必要があります。