保育所等訪問支援は、事業所の支援員が保育所等を訪問し、障がい児に対して、障がい児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他必要な支援を行います。
<保育所等訪問支援の対象者>
保育所、幼稚園、小学校、特別支援学校、認定こども園その他児童が集団生活を営む施設に通う障がい児であって、当該施設に訪問し専門的な支援が必要と認められた障がい児が支援の対象となります。児童発達支援や放課後等デイサービスの利用にかかわらず利用することができます。
保育所等訪問支援では、訪問支援員の訪問頻度は2週間に1回程度の訪問で、1人あたりの支援時間は1回につき2時間~半日程度を想定しています。
目次
保育所等訪問支援事業の開業手順
保育所等訪問支援事業を行うためには、事業所としての指定を受ける必要があります。
1、保育所等訪問支援を運営する法人を設立する
保育所等訪問支援の事業所は、運営主体が法人でなければ指定はとれません。個人事業主では事業所としての指定を受けることはできないのです。ただ、法人といっても株式会社、合同会社、一般社団法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、社会福祉法人など、いくつかの種類があります。法人を設立する際は、設立にかかる諸手続きの時間や費用などを比較検討して、自分達の事業所運営に適した法人形態を決めるようにしましょう。
もっとも、保育所等訪問支援の場合、児童発達支援や放課後等デイサービスを運営している事業所が保育所等訪問支援の指定を取る場合がほとんどでしょうから、この点はすでに法人も設立できているというのが通常でしょう。
2、指定権者(都道府県・市区)から「指定」を受ける
指定権者(都道府県・市区)ごとに保育所等訪問支援の指定申請手続きのスケジュールが決められています。その保育所等訪問支援の決められたスケジュールに合わせて役所担当課で調査や協議を行い、資料収集、書類作成をすすめていくことになります。指定日(事業開始日)をいつに希望するかによって指定申請の締切日が決まることになります。
例えば、
- 大阪市の場合 指定申請・受理(指定日前月10日まで)→ 審査 → 指定
- 京都市の場合 指定申請・受理 → 審査(概ね2ヶ月)→ 指定
- 奈良市の場合 指定申請・受理(指定日2ヶ月前末日まで)→ 審査 → 指定
保育所等訪問支援のような訪問系といわれる事業では施設系といわれる事業とは異なり、自治体にもよりますが、事前協議(事前相談)を経ないでいきなり指定申請書類を提出することはできます。ただし、保育所等訪問支援のような訪問系の事業であっても指定申請の前にできるだけ行政の担当部署に事前の相談をしておくことをお勧めいたします。事前に保育所等訪問支援の指定申請スケジュールの確認を必ず行いましょう。
保育所等訪問支援の事前協議(事前相談)の次は、保育所等訪問支援の指定申請を行います。保育所等訪問支援の指定申請では、保育所等訪問支援として使用する物件が法令に適合しているか、保育所等訪問支援の人員基準を満たしているかなどを、保育所等訪問支援の指定申請で提出する申請書類や添付書類で確認されます。
保育所等訪問支援の指定申請の際には、様々な多くの書類を作成していくことになります。大きなポイントとなる部分を挙げるとすれば、Ⅰ:人員基準、Ⅱ:物件の適法性・設備基準 がポイントとなります。
Ⅱ 保育所等訪問支援で使用する物件の間取りが適切で、保育所等訪問支援の設備基準を満たしているか
Ⅰ.保育所等訪問支援の指定申請が受理されるためには、保育所等訪問支援の人員配置基準(人員基準)を満たしていなければいけません。
保育所等訪問支援事業の指定申請が受理されるためには、児童発達支援管理責任者を中心とした人員配置が非常に重要となります。また、保育所等訪問支援の人員配置は指定を取得した後の運営面でも非常に重要となる基準になります。児童発達支援管理責任者の要件と一緒に正しく理解しておきましょう。
指定保育所等訪問支援の人員基準
職 種 | 保育所等訪問支援の人員基準 | 常勤要件 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 1名以上 | 兼務可 | |
児童発達支援管理責任者 | 1名以上 | 常勤 |
・資格要件 ・実務要件 ・研修要件 |
訪問支援員 | 訪問支援を行うために必要な数 |
・児童指導員 ・保育士 ・理学療法士、作業療法士 ・心理担当職員等 |
Ⅱ.保育所等訪問支援の指定申請が受理されるためには、物件の間取りが適切であり、保育所等訪問支援の設備基準を満たしている必要があります。
保育所等訪問支援事業として使用する物件では、相談室や手指洗浄用の洗面台などの設備が適切に設置されている必要があります。
指定保育所等訪問支援事業の設備基準
設 備 | 要 件 |
---|---|
事務室 | 鍵付き書庫を設置すること。他事業と同一でも可。 |
相談室など | 利用申込みの受付、相談等に対応するスペース。 |
洗面所・トイレ | 洗面所(手指洗浄)はトイレ内手洗いとは別々であること。 |
3、指定申請書類が受理されて審査を経た後に、ようやく保育所等訪問支援の「指定」を取得することができます。
保育所等訪問支援の指定を取得することももちろん大切ですが、指定を取得した後の「運営面」こそが非常に大切になります。指定を取得するということは言い換えれば、事業運営のスタートラインに立てただけといっても過言ではないでしょう。
とくに、保育所等訪問支援のような障がい福祉サービス事業では、コンプライアンス(法令遵守)を意識した経営が必要になってきます。障がい福祉サービス事業の事業所収益は税金が投入されているからです。当事務所では、法令に適合した運営を行っていただけるように運営コンサルティングサービスも行っております。
また、保育所等訪問支援のような訪問系の事業では、訪問支援員さんなどの非常勤職員を雇用する場合も多いので、適切な労務管理が必要となってきます。必要であれば福祉事業に詳しい社会保険労務士さんにお繋げすることも可能です。
保育所等訪問支援の指定申請手続きに詳しい行政書士が支援
保育所等訪問支援の事業所をはじめとする障がい福祉サービス事業の指定申請では、自治体によって指定申請スケジュールが決められています。その自治体に決められた指定申請のスケジュールに合わせて、調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなければなりません。うまくスケジュールどおりに手続きをすすめられなければ、事業を開始できる日(指定日)がどんどん後ろにズレてしまうことになってしまいます。
これではいつまで経っても開業できず収益をあげられないのに、物件家賃や従業員給料などの経費が出ていくだけになってしまいます。実際に、放課後等デイサービスや保育所等訪問支援の指定はとれたものの、資金繰りに窮してしまい開業してから2~3ヶ月で廃業してしまう事業所さんも現実にはあるようです。
そうならないためには、保育所等訪問支援事業の収支予算シミュレーションを考えながら開業時点(指定日)を目標設定することにより、必要となるタスクを逆算で洗い出し、適切なタイミングで調査、協議、資料収集、書類作成などを行っていかなくてはなりません。保育所等訪問支援は放課後等デイサービスを運営されている事業所を本体事業として指定をとる場合が多いと思いますが、本体の放課後等デイサービスの運営面と合わせて収支シミュレーションを行うようにしましょう。
そして、保育所等訪問支援事業の収支シミュレーションを考える際は、訪問支援員の配置が指定基準上1名となっていて常勤非常勤を問わず専任である必要もありませんので、本体事業である放課後等デイサービスの従業者と兼務させることできる点を考慮して、収支シミュレーションを考えましょう(本体事業の指定基準を下回らないように職員配置から兼務時間数を減ずる必要がありますので注意が必要です)。
これらの保育所等訪問支援の指定申請の手続きをスケジュールどおりに行うには指定申請に詳しい実績のある行政書士でなければ難しいでしょう。保育所等訪問支援の指定申請手続きの経験のない行政書士や、コンサルタントが申請手続きを受託して「開業手続きの準備途中で挫折してしまった・・・」「いつまでたっても保育所等訪問支援の指定がとれない・・・」という話は残念ながらよく聞く話なのです。無資格のコンサルタントが指定申請を代行することは行政書士法違反にもなりますし、トラブルの原因にもよくなっているようです。
また、保育所等訪問支援事業は、日頃から児童発達支援や放課後等デイサービスなどの本体事業や相談支援事業をとおして、地域の関係機関と良好な連携が取れていることが大切です。「ここの保育所等訪問支援事業所は、信頼できる事業所なので、訪問支援員さんを安心して受け入れられる」と言ってもらえるよう、保育所等訪問支援事業以外の日々のつながりを何よりも大切にしたいところです。
当事務所では、保育所等訪問支援事業の指定申請手続きの経験も豊富でございます。指定申請後の運営面も見据えた指定申請を行っていきましょう。
当事務所にご依頼いただく3つのメリット
手続きだけではありません!!
当事務所では、単に「保育所等訪問支援の指定申請手続き」といった開業時の手続きのみに対応するだけではありません。指定申請後の保育所等訪問支援の運営面を見据えたコンサルティングも行います。例えば、処遇改善加算や訪問支援員特別加算をとるにはどのような要件をそろえればその「加算」がとれて、その加算をとれば幾らぐらいの売上が見込まれるのか・・・などのアドバイスをしながら指定申請の手続きをすすめていきます。
指定後の運営コンサルティングにも対応!!
障がい福祉サービス事業は、事業所の収益に税金が投入されるわけですから、厳しいコンプライアンス(法令遵守)が求められる業界です。保育所等訪問支援のような訪問系といわれるような事業でも定期的に行政による実地指導は入ります。いいかげんな運営をしていては行政から報酬の返金を求められたり、最悪の場合は指定の取消となってしまうケースもあります。当事務所では、事業所の収支を意識した戦略的な事業運営とコンプライアンス(法令順守)経営が両立するような運営コンサルティングサービスを行っております。
地域密着型で顔が見えるので安心!!
当事務所は、大阪、京都、奈良のちょうど中心にある枚方を拠点としております。保育所等訪問支援事業のような障がい福祉サービス事業は、指定権者(事業所を管轄する行政庁)ごとに細かなルールが決められておりローカルルールの激しい業界です。そのため、ネットなどのようなオンラインだけでやりとりをするのではなく、指定申請手続きの過程で何度も対面でのお打合せをさせていただきます。お客様と当事業所が二人三脚となって指定申請の手続きをすすめさせていただいております。
保育所等訪問支援事業の開業ご依頼の際の流れ
① 物件の目途をつけましょう。
この時点では、まだ大家さんと正式に賃貸借契約を締結しません。正式な賃貸借契約は担当役所との事前協議(事前相談)を経た後に締結することになります。
もっとも、保育所等訪問支援を運営されようとする事業所では、放課後等デイサービスのような障害児通所支援事業を運営されているが通常ですから物件は契約済みという場合がほとんどでしょう。
② 児童発達支援管理責任者を確保しましょう。
児童発達支援管理責任者は保育所等訪問支援の事業を運営していくうえで非常に重要なポジションにあります。もっとも、児童発達支援管理者も放課後等デイサービスで勤務されている場合がほとんどですから効率的な事業展開ができるのではないでしょうか?
③ 当事務所へ依頼しましょう。
上記1.2の目途がついた段階でご依頼いただくのが一番スムーズでありますが、できるだけはやい段階でご相談いただければ物件選びの注意点や人員基準の考え方などもアドバイスいたします。
保育所等訪問支援事業の料金
料金 | 200,000円(税別) |
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※法人設立業務は提携司法書士が行います。提携司法書士との別途契約となります。
※福祉・介護職員処遇改善加算の同時申請は別途料金となります。
ご依頼いただく際にご準備いただくとスムーズな資料
- 物件の情報
物件の位置(住所地)、間取り、面積がわかるもの - 児童発達支援管理責任者の情報
履歴書、資格証、研修修了証、実務経験証明書の各コピー - 法人の定款・登記簿
事業の「目的欄」が適切に記載されているかどうかを確認します。
適切に記載されていなければ変更の手続きをする必要があります。